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2018年04月18日05:52

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春の輝き



誰が植えたのかも知らない貧相な楓の細木が庭の通路を邪魔するように覆いかぶさって斜めに立っている。 楓なら楓らしく秋にきれいに色づけばいいものを燻んだ深いワインレッドの小ぶりのマリワナを思わせる葉が何時もそこにあってそこを通るたびに少々ウンザリした気分でため息をつきつつ足早に過ぎる。 ただそれでも一年に一回か二回雨に濡れて光の具合で美しく瑞々しい楓になることもある。 そのためだけにそこにそこに始終いると思うことにしている。 一年の殆どは無視する。

三日ほど家を留守にして戻ったらその間に春の陽気から初夏をも思わせる気候となり庭のあちこちでうちの春が始まっていた。 目の前に慌ただしく芽を開き花までつけて忙しく葉を開き始めている楓があった。 それまで鬱陶しい冬の裸の細木だったものが今迄この木では見たことのない命の息吹というか色の輝きを見せている。 こんな時期があるのを知らなかった。 ここにはもう10年ほど植わっているのだけれどこんな色彩は見たことがなかったので驚いた。 まさにこの時期、陽気に光が重なりそこに自分が偶々立ち会ったということなのだろうがこんな貌を見せることがあるのならこの楓を伐るわけにはいかない。
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