トヨタの新ブランド「GR」。このハイパフォーマンスブランドの語源が「画像」だったなんて…
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■ヴィッツRSの後継■
2010年、3代目ヴィッツがデヴューし、7年目となった。この間、2014年の消費増税後と前回と大がかりなマイナーチェンジを行なった。モデル終盤に差し掛かったが、次々とカンフル剤を撃っている。何しろ絶対王者と言われていたフォルクスワーゲン・ポロがWRC(世界ラリー選手権)に参戦しないことになり、混乱する中、トヨタはWRCの「レジェンド」と目されるトミ・マキネンをリーダーに迎え、今度はヤリス(ヴィッツ)でカムバック。初年からいきなり初戦は2位。第2戦と第9戦のマキネンの祖国・フィンランドでも優勝。ラリーを盛り上げている。
なお、ここでは2010年〜2014年4月までを初期型、
それ以降〜ハイブリッド導入までを中期型、
現行型を後期型、
と便宜上呼ばせて頂く。これほどマイチェンを行なう車種もトヨタにしては珍しい。これがプロボックス、ハイエースのような実用車ならば、外観を殆ど変えずに機構などをカイゼンしていくことはあるのだが。
前回のビッグマイナーチェンジでは既に欧州では販売されていたハイブリッドを愈々日本でも投入したものの、スポーツ仕立てのRSはカタログから下ろされてしまい、代わりにハイブリッド・U・スポーティパッケージ(223万8千円)なるものが現在はラインナップされている。
初代と前期型のRSに乗って来た身としては淋しい・・・と思っていた。
そんな中、RSの後継にあたる機種、GRシリーズが登場したのである。
ラインナップは次の通り。
GR SPORT:208万8千円
GR:230万4千円
GR GRMN:? 限定車。1.8Lのスーパーチャージャー搭載。220馬力。
スポーツ、というグレードの方が廉価なのも面白い。スポーツ仕立てのコンパクトカーで話題が沸騰しているのはスズキ・スイフトスポーツだが、果たしてヴィッツGRはどんな乗り味を見せてくれるのだろうか?
そんなところをお届けしたい。
■RSの後継がGR SPORT、Gスポーツの後継がGRという位置付け■
外観はラリーの影響を受けてか、勇ましいヴィッツ・ハイブリッドの顔つきではなく、寧ろ中期型、それもRSではなく、Uグレードを精悍にしたように思える。正直中期型のRSはやり過ぎの感はあったので、このシンプルさの中にクールなイメージが漂うデザインは好ましい。
ドアを開ける。至るところ、小さな「GR」のエンブレムがさりげなくノーマルモデルとの違いを主張している。ナビ、エアコンの位置は中期型のレギュラーモデルと同じ。オートエアコンのボタンは大きくて使いやすい。矢張りベースは中期型のようだ。だが、シートは明らかに別物。ホールド性がGR 、GRスポーツ共に高く、お尻がスッポリと入る感じ。ホールド性は高いが、適度な堅さが良い。この堅さであれば、遠出もOKだろう。比較した上での話だが、堅さが増しているのはGRの方。
後席もほぼ中期型と同等の広さ。スポーツモデルですから、という言い訳は不要だ。身長175cmくらいの人でも後席は15cm程度の隙間はある。お迎えも大丈夫だろう。
エンジンに火を入れてみる。
ここがGR、GRスポーツとの明確な違いかもしれない。GRはホワイトメーターで、タコメータが中央に来ている。その気にさせてくれる感じだ。一方、GRスポーツはRSと同じ配置だ。ペダルもGRはアルミペダルに対し、GRスポーツは樹脂製。これもRSと同じ。足回りもGRはザックス製のものを今回使用しているのに対し、GRスポーツはヤリスと同等のものにチューニングを施したもの。タイヤのサイズもまたGR SPORT:195/50R16、GR:205/45R17となっている。
RS⇒GR SPORT
Gスポーツ⇒GR
という位置付けのようである。
■10段CVTで走る楽しさを提案■
ヴィッツRS・G'sが出た時、カージャーナリストの河口まなぶ氏は「わずか1kmも走らせただけでも良いクルマなのが伝わって来る。」と仰せだったが、今回もGRはそんな感じだ。昔取った杵柄でMTに再挑戦したい、という人にも良い。何と言っても使えもしない6MTではなく、今どきスポーツモデルでは珍しくクロスレイシオ化した5MTだし。ギア比は初代のヴィッツRSと同じ。シフトストロークも短めでスズキ・アルトワークスほどメカニカルにカチカチと決まる訳ではないものの、GRもGRスポーツも気持の良いフィールだ。
しかしながら感心したのはGRのCVT車だ。GRスポーツは7段CVTだが、GRは10段CVTが搭載されている。これほど多段に区切ったCVTは多分トヨタ初だろう。今やMTだからスポーティという時代ではない。それを思うとこういうのも良いのではと思った。なお、トヨタによればその気になれば30段くらいまで作れるらしい。まるでスポーツ自転車並みだ。しかしそこまで行かなくても、この10段でも十分にスポーティ。それだけ段数があると流石にどのギアに入っているのか慣れるまで迷うのでは、と思いがちだが、シフトインジゲータに表示されるのでそれは大丈夫。10段もあるとクロスさせているので、以前のCVTの悪い癖は全く顔を出さず、都会の道を加速していく。勿論お任せCVTも受け付ける。
折角なので、10段CVTで奥多摩周辺の道も走ってみた。
CVTのマニュアルモードはマニュアルモードにあわせ、シフターにタッチするだけでシフトアップ、ダウンがスパッ、スパッと決まり、下手なMT車よりもずっと気持が良い。
CVTスポーツモードも初期型のRSと比較して上品になった。あの時は「いつもよりも回転が回っています」という印象が強かったが、GRはアクセルのレスポンスが俊敏になり、いきなり回転が上がる癖はでない。流石に全日本ラリーで鍛え上げられただけに良く出来ていると思った。
ザックス製の足回りは適度な堅さを持ちながら、路面をいなしてくれる。ハンドリングは俊敏だが、剛性感もあり、少ししっとり感を残してくれているようだ。コーナーが続く山道をハイスピードで飛ばしてもどうやっても破綻を見せそうにない。
さてチョイスだが、街乗り重視であればGRスポーツだろう。こちらはガタガタ道に差し掛かった時はGRよりは快適だ。但しこちらは10段CVTがつかないのは惜しい。GRスポーツとハイブリッドスポーツパッケージUと違うのはエンジン以外にはタイヤ、足回り、全輪ディスクブレーキが付くことくらいしかない。ただハイブリッドUスポーティパッケージが223万円もするのであれば、こちら(209万円)を選んでも間違いではない気がする。矢張り全輪ディスクブレーキは個人的に安心する。ブレーキの効きが極めて良いことはRSからの良き伝統である。取り回し半径はやや大きめで、5.6m。このあたり女性には使いにくいと感じるかもしれない。
個人的にはRS、Gスポーツの後継かと思っていたが、ただの後継ではなかった。トヨタも漸く色々な味付けをCVTに施せるようになったなあと思った。ヴィッツやカローラのように4AT?と間違えさせるくらいスムーズなCVTを出すかと思えば、オーリスの1.8Lのように断つきのものもあり、その一方ではGRのようにクロスレイシオをCVTで実現している。
参考までに燃費は共にレギュラーガソリンが標準で、高速道路3、山道2、東京郊外の一般道4、23区が1で、15.6km/L。
シャシ、ボディ、ハンドリングがしっかりとしていて、足回りもしなやかでスポーツモデルとは思えない、良い意味で「柔」のモデルだった。乗り心地はしっとりしていたが、といって、ふわふわのふにゃふにゃ、という訳ではない。芯がしっかりと通っている感じだ。
しかしそれだけに設計年度の旧い20年前の1NZ−FE型1.5Lエンジンが未だに使われているところは何とも惜しい。もう少しハイパワーなエンジンの方がバランスが取れている。次期モデルには心臓部を大規模リニューアルして欲しいところだ。
■次期モデルに期待■
正直言って、ヴィッツGRを以ってしても、先日新しく出た4代目・スズキ・スイフトスポーツの敵では無い、というのが結論である。何しろスイフトスポーツはGR スポーツと同等か、それよりも少し廉価で買える。商品性が高いだけでなく、パワーが段違いだ。雑誌・「driver」では0−400mで15.9秒(6MT)という結果が出ていた。更にスイフトスポーツの取り回し半径は5.1m。これに対しヴィッツGRは5.6m。実燃費ではヴィッツの方が優勢かもしれないが、流石に50cmも取り回し半径が違うと、実用性でもスイフトスポーツが街中で運転しやすいはず。スイスポに差をつけられたのはエンジンだ。ヴィッツGRとて、ハンドリング、剛性、シャシ、ボディも良い。MTは5速というのはちょっと物足りない気もするが、実用性には問題無し。長く付き合える点では及第点か。CVTも新しさを提案している。そんな中、エンジンだけが既存のままという差が出た格好だ。
★4代目・スズキ・スイフトスポーツのmixi内の試乗記はコチラ
★
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963131689&owner_id=58808945
ヴィッツGRは今のところデータが公表されていないが、初期型のRSの場合、5MT車で17.4秒、CVT車で17.8秒というのが公表値である。今回新しく出たGRもそれくらいか0.1から0.2秒速い程度だと思えば大過なかろう。スポーティカーは速いではない。しかしその気になれば矢張り速いという部分があっても良いのではないか。初代の1.5LのヴィッツRSは0−400mで16秒前半だった。GRMNは14秒台に突入するという噂もあるが、これは限定車ゆえ、相当高いお値段になりそう。矢張りGRを名乗るならば、せめて初代のRSくらいの加速性能は欲しいところだ。
勿論そんなことはトヨタとて分かってはいるだろう。
トヨタという会社はヒエラルキー(車格)を大切にする会社だから、エントリーモデルのヴィッツが(パッソは厳密には純トヨタ車ではない)上のクラスを食い散らかすことを恐れてカローラと同じエンジンを載せたままにしているに違いない。しかし最早カローラはヴィッツのフロアパネルとシャシを使って作られている以上、ベース車となるヴィッツに新エンジンをそろそろ載せても良いのではないか。例えばオーリス120T、CH−Rに積まれている8NR−FTS、1.2L直噴ターボエンジン(116馬力、トルク18.9キロ)とCVTのマッチングはとても良い。以前オーリス120Tにも乗ったが、速度上昇と回転が必ずしもマッチしないことが多々あるCVTもこのエンジンならば全然そんな悪い癖を見せなかった。ターボは1500rpm〜4000rpmと常用域でいきなり効きだす。まるで回転数によって排気量が変わるような、可変排気量的な性格。しかしドッカンターボにならないようCVTが見事に制御している。言われなければこのクルマは1.8L?と思ってしまうほどジェントル。オトナのクールなスポーツハッチ、そんな性格のヴィッツGRとこのエンジンはマッチしている気がするがどうだろうか。
また愈々トヨタの新プラットホーム・TNGAがBセグメントに適用されると聞く。2019年頃から順次という話だ。当然ヴィッツも対象になっているはずだから、それを見てから購入しても遅くは無いだろう。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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