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2017年10月29日14:04

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年齢差別奨励大国の汚名を返上できるか

■「70歳以上でも働けます」企業の22%、人手不足受け
(朝日新聞デジタル - 10月28日 09:53)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4834129

■117就活世代と就職戦線異状なし世代とのダイアローグ■

 今夏、アルバイトに来ている就活生がうきうき顔だ。その学生は東洋大学という中堅どころの関東の私大なのだが、一部上場企業を数社、内々定獲得した、と誇らしげだった。

 「へぇぇ。君はさぞや優秀な学生さんなんだね。」

 と言うと、

 「僕だけじゃないです。みんな。今はそんなものです。」

 長らく私の下で働いて来てくれたので、彼の身を案じる意味でこう言った。

 「就職戦線異状なしって、いいね。私は阪神・淡路大震災の年に就活だった。君と同じくらいのCランクの中堅どころの学校だったけど、一部上場企業はCランク以下はどこも『門前払い』だったよ。理系は知らないけどね。」

 「ええっ。(窓から指をさして)そこのセブンイレブンも、マックも、イトーヨーカドーも、NTTドコモも、三井銀行も、今使っている(パソコンを指さして)NECも、ですか?」

 「ああ、それが『普通』だった。Cランク校といったら、法政、日大、政令指定都市以外の県庁にある大学もそうだね。関東だったら、埼大、千葉大、梨大(関東ではないけど)、群大、宇大もさ。中堅大で行ける上場企業といったら、消費者金融かメガネメーカーか、外食産業、クルマのディーラー、保険の営業、運送屋さん程度しかない。それが現実だった。」

 「そんな学生を蹴るなんて、当時の上場企業は随分とまあ尊大だったんですね。」

 「尊大だったのではない。企業は大企業ほど大きな間違いをしている。現在進行形で言わねばならないのがとても残念だけど・・・。企業の人材採用の意義を取りちがえている。口先では実力主義で採用しているかのように喧伝しているけど、本音では景気第一主義でしか採用していない訳さ。大体新人が使いものになるのにどれくらいの年月がかかると思う?最低でも10年だよ。10年後も今と同じくらいの景気である保証は何処にも無いはずだよね?だったら、会社の未来を背負う人達を採るのに、景気に左右されるのはおかしいだろう。

 そんな景気最優先の採用活動を延々と続けた結果、今になって慌てふためいているという訳さ。

 だからせめてこれらの企業のお店に行く時は手厳しい客になってやろうと就職して今の会社に入ったときは心に決めた。君は労働社会から期待されているのだから、私たちがクソ扱いされ、『人財の墓場』と化した分、頑張れよ。」

 「期待されっているって・・・。とんでもないですよ。政府や企業からは上っ面は期待されていても、基礎学力が低い『ゆとり』が、と世間から陰で随分と小馬鹿にされているので、しょ気る時もあるんです。企業の採用活動のいい加減さ、よく分かりました。でも不景気が長引けば、人件費を圧縮したくて、それで新卒を採用しないというのも合理的ではないですか?」

 「確かに。ならば、きっぱりと『景気に採用活動は左右されますから、うちは中途しか採用しません』と言えば良い。それでは格好つかないのであれば、採用活動と新卒に払う給与は未来への投資だから聖域、と認めるのが妥当だろう。」

 「なるほどですね。新卒採用は未来への投資と考えられるかどうかですね。う〜ん(彼は腕を組み、顔をしかめる)。そういう基準で企業を選べばよかったなぁと思います。新しく勤めるところがそういう企業であることを期待したいです。」

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■人財の墓場から、お宝の発掘作業が今後進むかも?■

 ニュース記事のこれらの一連の動きは明らかに企業の採用活動が景気第一主義、年齢差別の採用を奨励して来た今までのやり方ではデッドロックしつつあることの証左である。

 笑ってはいけないけど、笑ってしまったのは、ある大衆紙の朝刊で、

 「うちは実力のある学生を●●名、実力主義で採用いたしました!!」

 と大見栄切って喧伝しまくっている、言えば誰でも分かる一部上場企業がいざ採用した学生に基礎学力が無く(特に記事では文章力がまるでない、と書かれていた)、毎月読書感想文を社内ネットワークに書かせ、SNS調に全社員からコメントをつけられるようにしたという(激爆)。

 大企業の「実力主義にもとづいた採用」なんて所詮その程度でしかないことを露呈したものといえよう。

 私が社長ならば人事担当者を呼び付けて責任を取らせたいところだ(笑)。まあ、当然と言えば当然。何しろ彼らの多くは「円周率は3」と教わり、大学入試はセンター試験しか受けていない、大学では卒論がありません、という例は珍しくも無い。基礎学力が無いのは推して知るべしといったところではないか。

 しかしこれは一部上場企業だからまだ明るみに出たに過ぎない。中小企業ではこんなところもある。

 そこはあるローカルなスーパーだが、そこではアルバイトの入社試験すら四則計算をやらせるという。数学では無く、算数に強くないと商売にならないからだという。その結果、大学生で全問正解出来る人はここ数年いない、と人事部長がぼやいていた。

 またある中堅のホームセンターでは簡単な足し算引き算を100個くらい延々と続くものを数問解かせているという。これは単に計算能力を問うのではなく、根気があるかどうかを見たいからだという。

 一部上場企業はまだ黙っていても人は集まって来る。企業のバッチをしたスーツ姿出合コンに行けば受けは良いだろう。だが、そんなステイタツも無い中小企業からすれば、危機感は強く、学歴は兎も角、基礎学力のある人材を獲得したいと考えるのは当然のことである。

 日本の労働市場が極めて歪なのは、米・欧などの先進国が年齢差別禁止法を年々厳しくしているというのに、寧ろ未だに年齢差別を暗黙のうちに奨励しているようなところである。
 
 年齢差別禁止法とは、同等の能力がある人が面接に来た場合、年齢を理由に不採用にしてはならない、という法律である。

 最も高齢化が進み、生産年齢人口は60%を割り込んだではないかと言われている。60%未満、ということは最早バブル期を凌ぐ人手不足になったということを意味している。にも拘らず、年齢差別を奨励しているのが現実だが、数字を見ればそんな贅沢を言っている場合ではないでしょ、という感じ。

 竹中平蔵氏あたりは相変わらず外国人労働者を入れれば良いじゃないかという主張を繰り返しているが、ニュース記事に出て来た企業は「そんな異邦人に任せていられないよ。」と考えているのだろう。極めて現実的だ。

 新卒者が期待したほどの基礎学力も無く、外国人労働者も意外と使いものにならないとなれば、企業側がゴミ扱いし、「人財の墓場」と見做して憚らなかった就職氷河期世代の人たちから人財の発掘をしていくしかないだろう。少なくとも彼らの基礎学力はゆとり世代よりはずっと上だ。10年も20年も前の勉強なんて、忘れちゃったよ、と言うかもしれないが、物事はやったことが無いのとやったけど忘れた、とではその差は歴然としている。更に勤労意識も大差がある。ゆとり世代は残業代がしっかり出る方よりも、時間で帰れる方が良いという人達が殆ど。それに引き換え氷河期世代は残業代が欲しくても貰えず、サービス残業も止む無しと受け容れて働いている人たちが多い。

 ニュース記事の動きはあらゆる業種で加速していくに違いない。この実例は高齢者だが、新卒重視の企業の採用活動はどんどん変わらざるを得ない。そうしなければ企業自身が今後生き残れなくなるはずだからである。


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