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2017年10月22日22:00

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ジャンク・フードを喰おうとして喰えなかった



図書館で本を読んでいてそれに没頭し過ぎて昼飯の時間を過ごしてしまった。 だから今更ランチというのも何だからオランダで言うスナック、ジャンクフードで済まそうと揚げ物中心のそんな「スナック・バー」に入ってオランダの定番、パタト・スぺシャ―ルに何の肉か分からない胡散臭い肉の練り物を細長いソーセージ状にしたフリカンデールというどちらも揚げ物、を注文してアイス・ティーで喰った。 ジャガイモを揚げたものはフレンチ・フライなのだがオランダではそれをパタトといい、マヨネーズをつけて喰う。 イギリスのように酢は振りかけない。 

他にトマトケチャップやそれに甘いとんかつソースのようなものが混ざったケチャップ、ケチャップにカレー粉が混ざったドイツで好まれるケリーなどもあり、ピーナッツ・ソースのピンダ・サウスというのまである。 スぺシャールというのはマヨネーズにケチャップ、その上に刻んだ生玉葱が加わったものだ。 それにピンダ・サウスをかけたらパタト・オーロフという。 オーロフ(oorlog)はオランダ語の戦争であってソースがパタトの上で乱戦状態であることからそんな名前がついたと言われている。 こういうスナック・バーは大抵の街角や村には必ず見られる。 最近は中国人が経営しているスナック・バーが増えてきている。 スナック・バー、ジャンク・フードは良識ある市民の敵である。 なまじ安くて美味いものだからこればかり食っていると栄養が偏り肥満の原因になると言われている。 けれど誰もが好む。 良識ある市民も嫌いながらも隠れて喰う。 見つかればなにかと理由を付けて罪の意識に苛まれながら、その意識が特別の味付けソースとなって喰う所謂「罪悪感をもちながら行う密かな愉しみ」の一つとなる。 

最近は良識のある人々を見こして無農薬、自然食パタトがぼちぼちと町にでてきている。 土曜のマーケットにもそういう屋台があって繁盛している。 値段は良識のない奴らが喰うジャンク・パタトの1割は高い。 ソースにしても何やら能書きがたくさんついたソースがいくつもあってそれも割高だ。 けれど良識のある市民はこれで大手を振ってパタトを喰うことができる、罪の意識なく喰うのだ。 けれどジャンクはジャンクであってジャガイモの質が多少いい、美味いというだけで良識のない奴らが喰うものと大して変わらない。 3週間ほど前に家人に誘われて初めてこれを喰った。 美味いけれど別にどうということのないものだった。 芋の質が大きく、長く、揚げたてがカラッとして粉っぽくなければ良識のない奴らが喰うスナック・バーのもので結構である。

昔、もう35年以上前北の州都グロニンゲンに住んでいた頃、人口17−18万のその街にあるいくつものスナックバーのパタトをそれぞれ試したことがある。 その時分は車も持たず中古のサイクリング車で毎日10km以上漕いで走っていたのだから健康で、3日に一度ぐらいこのジャンク・フードを喰っても栄養にさえなり悪いことはなかったものの今の町に引っ越して来て流石40の坂を越えると3週間に一度ほどになっていた。 ことにこれを缶ビールで喰う。 ビールがいいのかパタトがいいのか難しいところである。 これが世間の非難をいちばん浴びるこの年齢の男にとって諸悪の根源となる。

今回手術後この缶ビールのない「献立」は初めてだった。 20%しか本物の胃がない現在、半分ほどしか喰えなかった。 不味かったからではない、美味かったのだが胃がもうすぐ満腹になり冷たいアイス・ティーが入ると痛みさえ覚えた。 これから何年もかけて胃を鍛えて成長させるつもりだが果たしてこれを完食できる日が来るのだろうか。 ジャンク・フードさえ喰えなくなるというのは世界の終わりでもある。
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