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2017年10月15日06:02

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江之浦測候所

空は曇っていたけれど。

小田原文化財団
江之浦測候所

現代美術家の杉本博さんが人生の集大成として
小田原市江之浦に作った施設。
この10月から公開が始まりました。

といっても１日2回の限定人数完全予約制。

敷地がとにかく広くて
取得農地を含めると38000㎡

「お一人様占有面積230坪(760㎡)」で「近代以前の人口密度を感じてほしい」のだそう。

山を背負い海に臨む傾斜地の測候所はアクセスがいいとは言えません。
JR根府川駅から無料の送迎バス(要予約)で行きました。

さて。

なにを観測しているのか。

たとえば茶室「雨聴天」。
春分/秋分の日には、手前の鳥居をくぐった日の出の光がにじり口を通って床の間までまっすぐに差し込むような設計。
(軸が"日々是好日"ならぬ"日々是口実"なのは杉本さんの茶目っ気)

たとえば「100メートルギャラリー」。
夏至の日、日の出の光はこの空間をまっすぐに駆け抜けるような設計。

たとえば「光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席」。
海を臨む舞台は京都・清水の舞台と同じ桧の懸造り。
舞台面を構成するため並べられたガラスのバーは、冬至に海から昇る日の出の方をさしています。
その瞬間にどのように輝くのでしょうか。

そう、これらは天空の暦を測っているのでした。

そのほかガイドブックに掲載解説されているポイントは36。

・明月門(明月院→根津美術館より。室町時代)
・石舞台(四隅は江戸城築造用)
・礎石(渡月橋、五条大橋、元興寺、川原寺など多数)
・内山永久寺十三重塔
・生命の樹石彫大理石レリーフ(ヴェネチア 12-13世紀)
等々…

時代も地域も様々な杉本コレクションがちりばめられています。

なかでもいちばん長いときを過ごしたのは
円形石舞台から硝子舞台の下を平行してはしるトンネル。
出口はもちろん相模湾が広がり、方角はまっすぐに冬至の日の出の方角を指しています。
トンネルの中程には光学ガラスをたたえた井戸があり、
その真上は採光のために開けられ、地上には石の井戸枠。
折しも落ちてきた雨に地中の井戸が色を変えるさまは、それは美しいものでした。