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2017年10月10日16:54

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【バレエ】 牧阿佐美バレヱ団 「眠れる森の美女」(10月7日)

我が師から、
「ザハロワ・ガラ」と下村さんの「ロミジュリ」感想が届いた。
どちらも良かったらしい。
Kの新作「クレオパトラ」の感想もぽつぽつ来ているので、
これらは後日紹介したい。

そのKの新作、今回は日程の都合がつかず、諦めることにした。
唯一動けた7日も、先に表題公演を取ってしまった。 _| ̄|○
年明けのシネマ、行けるだろうか...。


牧バも最近、生では観てないなー、
団の実力を測るのに「眠り」はちょうど良い演目だから、
久しぶりに足を運んでみようか、
と思った矢先に「バレエの饗宴」映像を観てしまい、
スルーすることにした。(笑)

記憶から完全に消去されたある日、お師匠さまからメールが。

「ゲスト、ヌツァさんだって。」

...はい?

何も考えず、速攻でチケットを買ってしまった。

ジョージア・バレエ団の公演をご覧になった方は、
ヌツァ・チェクラシヴィリさんのことを覚えておいでだろう。
容姿と技術、音楽性を兼ね備えた、
同団の気になる3女性ダンサーのひとりだ。

だがジョージアが次に来るのはいつになるかわからないし、
彼女たちの知名度を考えると、
ガラ公演などに客演する可能性も低い。
と言うわけでチケット取ったところ、
期待を裏切らない、「きれかわいい」オーロラだった。

あの美貌だから、ぱっと観は綺麗なお姉さんだが、
両親や王子たちを前にした時の、
甘えたりはにかむ仕草が可愛いらしく、
そのギャップがまた萌える。(笑)

ローズ・アダージョやGPDDと比べると、
2幕幻想の場のヴァリやPDDは、
ややぎこちなさを感じたが、あくまでも当社比の話で、
アマの中にプロがひとり、というくらいレベルが違った。
舞台の完成度として考えると、それはそれで問題だが、
彼女を観るのが目的だったから無問題である。

ちなみに後から知って驚いたが、
彼女が「眠り」の全幕を踊るのは、これが初めてだという。
(ローズ・アダージョやGPDDはガラで踊っているのだろう)

本国では芸監からもマンツーマンの指導を受けているのか、
表情や仕草、踊り方がニーナさんにそっくりで、
観ているうちにちょっとうるうるきた。牧さん、ありがとう!

ちなみにニーナさんによれば、ヌツァさんは、
「努力家で、言われたことをきっちり守る誠実な生徒」
「テクニックに秀でている」「非常に跳躍力がある」
「『ジゼル』のような情感豊かな役もこなせる」
「とても呑み込みがよい」という。

*ニーナさんのインタビュー
http://bunkyocivichall.jp/special_mail_magazine/premium/kikidokoro/002/index.html


牧バの「眠り」はウエストモーランド版。
マイムが多く、金銀財宝は男女2ペア、
2幕と3幕の間に間奏曲を用いたPDD、
見慣れない振付(原典には元々あったらしい)など、
よく目にするセルゲイエフ版とは異なる部分もあるが、
オーロラと両親が生き別れるような斜め上の演出はない。(笑)

指揮はガルフォースさん、
演奏は東京オーケストラMIRAI。
2015年に活動を開始したこの新しいオケが、
まあまあ良い仕事をしてくれた。
音がダイレクトに届く上方席のおかげでもあるが、
迫力のある演奏で、
ガルフォースさんの指揮振りも耳に馴染むテンポ。

やや速めなため、あっぷあっぷな奏者もいたし、
ダンサーの要望に合わせての指揮者の指示を見落として、
アンサンブルが崩れる場面もあったが、
薄味な舞台上を演奏がカバーしていたから、よしとしよう。

良くも悪しくも印象的だったことを記すと、
まずヌツァさんの相方フィリップ・フェドーロフさんは、
同じくジョージアからのゲストだが、階級はソリストで、
一人で踊るところは力量もそれなり。

ところが彼、サポートがうまい。
ポアントするヌツァさんをくるくる回す時は軸がぶれないし、
上げ下げも丁寧、回り込む時のステップも自然で、
なおかつ自分の立ち姿も崩さない。

リーズの母親が面白かった保坂アントンさんだから、
カラボスも期待していたら、予想外にあっさりとした演技だった。
そういう演出なのだろうか。ちょっと残念。

王妃様はエリザベス・マクゴリアンさん。
ロイヤルの「眠り」はコジョカルさんとデュランテさん、
新旧2枚がリリースされているが、
その両方で王妃様を務めているだけあって、
気品と威厳が衣装を着ているかのよう。
英国の王族を生で見たら、こんな感じなのだろうか。

ところが、対になる三船王が、
もっとしっかり演技せんかい!? と活を入れたくなるほど、
威厳も迫力も気品もやる気もなかったので、
2人が並ぶと女王様とただのお付き。
背が高くて体格が良いから仕方なく、というのならまだわかるが、
マクゴリアンさんと並ぶと身長も同じくらいしかない。

演技でいけば、ここには逸見さんがいるし、
もう踊ってはいないみたいだが体格の良い森田さんもいる。
なぜこの程度の人を、わざわざ舞台に上げたのだろう。

リラ精とフロリナ王女も、下手とは言わないし、
他のダンサーよりは明らかに上手いが、
この作品における役の重要性を考えると物足りない。

逆に少々気になったのが、上級妖精の4番目と5番目、
(ここでは歌い鳥/雄弁、黄金のぶとうの木/活気という役名)
財宝男女の4名。この6名、もしかしたら上手いかもしれない。

というのも、演奏のテンポが比較的速いにもかかわらず、
慌てふためいた感じがなく、筋肉もしっかり付いていたからだ。
妖精のヴァリはちょっと特殊だし、
財宝の4名は役のイメージに合わせたのか、
直線的なシャキシャキした動きだったので、
まだなんとも言えないが。

猫の2人組も、芝居は猫っぽくなかったが鍛えてはいるようで、
赤ずきんは、あの短い出番に限っては演技も良かった。

踊りではないが、「眠り」の2幕冒頭には、
何の役だかよくわからない女性貴族が登場する。
配役表を見ると「公爵夫人」とあり、
だからといって王子との関係性はやはり判然としないが、(笑)
演じ方が面白かった。

王子のお付きに自ら目隠しして鬼ごっこを始めるが、
次第に飽きてきて、最後に自分が捕まると、
露骨に不愉快そうな表情を浮かべる。
わがまま貴族のやな感じが上手く、つい笑ってしまった。

その貴族の中や群舞に、元Kの吉田太郎くんが。
なんともったいない使い方だ...。

特筆すべきは青鳥の清瀧さん。
まさに飛ぶ鳥のような跳躍と、溌剌とした動きは、
単に上手いと言うだけでなく、観客をわくわくさせる、
「魅せる踊り」だった。


S席価格で比べると、
今回Kは新作とあって1.6万だったが、
それ以前は1.4万だった(「くるみ」を除く)。
一方、今回の牧は1.1万。

上から下まで腕達者揃いのKが、
年明けの次回作から再び1.4万に戻したら、
牧の1.1万は少々、いや、かなり分が悪い。

しかしKが今後1.6万をキープし、
牧が毎回ヌツァさん級かそれ以上のゲストを招き、
オケも最低でも今回の演奏を聴かせてくれるのなら、
他のダンサーが見劣りしても、5千円も安いのだから、
まあいいか、という気分にはなる。(笑)
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