mixiユーザー(id:6327611)

2017年08月22日05:59

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こういう切れ味の“娯楽”映画は、やはり楽しい。マルガレーテ・フォン・トロッタ監督「もうひとりの女」(2006)。

有料BSで「生きうつしのプリマ」(2016)を見て、「ハンナ・アーレント」(2012)を作ったおばさんは、娯楽映画を芸術的味付けで楽しませる人だと感じました。そして11年前にAFMで見た「もうひとりの女」がDVDスルーで出ていたことに気づき、さっそくレンタル。こちらは「生きうつしのプリマ」のような展開ではなく、ミステリアスな展開が“芸術”を感じさせます。そういう芸術の香りを楽しむ人専用、という感覚の映画でした。

物語は、若手建築家のロベルト(アウグスト・ディール)が出張先のホテルで、赤い服を着た娼婦のような女と出会います。ホテル側は娼婦は不要と追い出しにかかりますが、ロベルトは友人を装って女を部屋へ招く。そしてあくる日、仕事先でその女と再会するのですが、相手先企業の弁護士カロリン(カーチャ・リーマン)だった、という展開。

ロベルトは娼婦まがいの女に惚れこみ、カロリンにアタックするのですが、カロリンはそんなロベルトを受けつけない。そしてカロリンの父カール(アーミン・ミューラー・スタール)は大物クライアントで、複雑な家庭の事情が明らかになります。カロリンの母親がカリン・ドールで、カールは秘書のシェーファーを情婦としていたり、その事情に精通している雇い人ブルーノは、舌を噛み切って秘密を守ろうとしている、などなど。

はい、こういう映画はアメリカでは受けないようですね。imdbのポイントは5.4と低い。僕だって、AFMで見ていなかったらレンタルしようとは思いませんでした。というか、ドイツ語が主体の会話で英語字幕ですから、ほとんど詳しい事情が分からない。おかげで今回、結末を1分前くらいまで思いだせなかったので、初めて見たような印象となりました。

カリン・“ヘルガ・ブラント”・ドール(写真3)は、今なおたくさんの映画に出ているようですが、トロッタ監督とはこの2本だけのようです。たまたま見た2本の両方にキーパーソン役で出ているというのは奇妙な偶然でした。imdbのプロフィール写真がヘルガ・ブラント時代のものなのが微笑ましい。

てなわけで、「ハンナ・アーレント」という女性哲学者を、みごとに噛み砕いて紹介してくれたトロッタ監督は、芸術的香りを娯楽の中に持ち込む“天才”なのではないかと思います。それがウザいときは問題だけど、ま、この映画に関しては及第点でしょう。と、どこまでも上から目線でした。
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