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2017年06月07日10:19

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【バレエ】 ボリショイ 「ジゼル」(2公演)

劇場入り口でもらったチラシを眺めていたら、
いくつか気になる公演があった。

ネットではすでに話題になっているが、
来年11〜12月にマリインスキーが来日する。
招聘元はジャパン・アーツで、
詳細の発表は来年春とのことだが、
演目は「白鳥」「ドンQ」ほか、とある。

また来日が予定されるダンサーは、
テリョーシキナ、コンダウーロワ、スコーリク、シャキロワ、
シクリャーロフ、キム、アスケロフ、パリッシュほか。

...キナ様の名前がない。(T T)

モスクワ・クラシックの予定も明らかになった。
チラシに載っているのは今年12月8,9日、場所は上野で、
演目はカサートキナ版の「くるみ」。

招聘元は光藍社、さりげなく値上げしているので、
薦める手前、上達してくれていないと困るのだが、(笑)
4年前に観た時は、上手い人もいるし、
変わった演出の面白い「くるみ」だった。
WEB先行発売は来週。

ファジェーエフさん効果がどこまで浸透したのか、
ちょっと気になるヤコブソン・バレエは、
今年年末から年明けにかけての来日で、演目は「白鳥」と「くるみ」。
招聘元はインプレサリオ東京、8月上旬に一般発売が始まる。

待望しつつも前回はちょっとがっかりしたシェフチェンコ(キエフ)、
東京近郊の予定が明らかになった。
12月24日の「くるみ」に始まり、
26日にウクライナ国立歌劇場創立150周年記念ガラ、
年明け3日に新春ガラ、4,5日「ドンQ」、6〜8日「白鳥」。

ゲストは毎度お馴染みのサラ坊で、
フィリピエワさん、カザチェンコさん、
ニェダクさん、ヴァーニャさんの名前はあるが、
今回も戦力は3分割の気がする。
光藍社も、ダメもとでいいから、一言言ってくれないだろうか。
来週から先行発売が始まるが、今回は観るのをちょっと減らそうと思う。

先日の「饗宴」映像を観て、興味が失せた牧の「眠り」だが、
ゲストとしてニーナさんのジョージアから、
ヌツァさんとフェドーロフさんを呼ぶという。

「ニーナ・ガラ」を御覧になった方は覚えていると思うが、
ヌツァさんは世界に通用しそうな、目を引いた踊り手のひとり。
牧さんもすでに80を超えているが、
ダンサーの力量を見抜く眼力は衰えていないようだ。


表題公演、互いに都合がつかず、
我が師は初日カプツォーワさんの日のみ、
私は3日目クリサノワさんの日のみを観てきた。

ザハロワさんの日はどんな様子だったのだろう、と検索していたら、
人がせっかく名前を伏せていたのに、
わざわざ名乗りをあげて絡んできた、(笑)
例のパリオペ・ファンの観覧事前日記がひっかかった。
ボリショイを観るなら「看板ダンサー」ザハロワさんという、
ある意味ぶれないスタンスには、ちょっと感心した。(笑)

それにしてもザハロワさんの人気は凄い。
もちろん私も、彼女が初めて日本に来た時の舞台を観るや、
躊躇うことなく「贔屓リスト」に登録したし、
パリオペと違い、彼女への賛辞には、おおむね首肯できる。

しかしいま、彼女のファンを名乗る人たちのうち、
彼女の「バレエ・ダンサーとしての個性」を目的に、
劇場に足を運んでいる人は、はたしてどのくらいいるのだろう。

「ブランド目当て」は、なにもパリオペ・ファンの専売特許ではなく、
「ボリショイ・ブランド」「ザハロワ・ブランド」に群がる人々も当然いる。
そんな中身を観ない人々にいくら褒め称えられても、
ザハロワさんは嬉しくないんじゃないだろうか。


またまた余談が長くなってしまったが、
表題公演を観終えた直後の率直な思いは、

「ロシア・バレエを観た気はしたけれど、
ボリショイを観た気はしなかった」(我が師談)

「ボリショイよ、おまえもか!」(その弟子談)

初日はオケのミスタッチも目立ち、
敢えて語りたい踊り手は、主役のオブラスツォーワさんと、
ハンスのサーヴィンさん、ドゥ・ウィリの2人くらいだったそうだ。
群舞も足音が耳に付いたという。

私の観た3日目は、オケも群舞もそこまで酷くはなく、
オケに関してはロシアらしい荒っぽい演奏を楽しんだが、
群舞は一昨年のシェフチェンコ群舞の方が、
はるかに静かで優雅、統制感もあったし、
統制感、ダンサーの鍛え具合で言えば、
今のK群舞の方がレベルは上だ。

ペザントやミルタも悪くはないし、
若いだけに今後が楽しみな踊り手だとは思うが、
「ボリショイ」の看板の下で観るには物足りない。

総じてダンサーたちは若く、マリインスキー同様、
日本(海外)公演を、若手の練習台にしているのは見え見えで、
(だから「ボリショイよ、おまえもか!」)
かつてのキラ星ひしめく圧倒的な迫力の舞台の面影はなかった。
もっとも、その予兆は前回の来日公演で感じていたから、想定内ではある。

ちなみにミルタの代役コワリョーワさんは、
写真の愛らしい笑顔から勝手に小柄な人だと思い込んでいたら、
思いのほか背が高かった。(笑)
しかも小顔で首も長いから、さらに背が高く見える。

動きはまだ雑なところもあるが、腕使いは柔らかく、
長い手足を存分に生かした、
大きくはじけるような踊りは観ていて清々しい。
大きなジャンプ後の着地音はうるさいが、
毎回音が大小し、音質も変化しているところをみると、
彼女なりに消音すべく試行錯誤しているように思う。

演技も先生に教わったことをそのまましているのでなければ、
拒絶の仕方をジゼルと男性で変えたりと工夫はしているようだ。

ミルタ(ウィリ)の定番通り基本無表情だが、
ジゼルと対峙すると、
自分の辛い過去を思い出すかのような遠い目になり、
アルブレヒトを見れば、責めるというよりも、
なぜ自分にはここまで思ってくれる人がいないの!?
と拗ねているようにも見えなくもない。(笑)

クリサノワさんは、前回の来日公演で注目したひとりで、
ザハロワさん、アレクサンドロワさんと言う主軸が、
直前の怪我や体調不良の影響から、本人比でいまひとつだった中、
攻守走を高いレベルでバランスさせていたのが印象的だった。

今回の来日でも、
安定した技術や豊かな表現力にはさらに磨きがかかっていて、
はにかむ内気な少女から一転する狂気の表現は見事。
足音も静かで、浮遊感いっぱいの動きはウィリそのものだった。

ラントラートフさんは、仕草が子供っぽく、
バチルド役のジャルコワさんが落ち着いた感じの美女だから、
並ぶと年上の婚約者との政略結婚という背景が見えてくる。(たぶん。(笑))

ゆえに彼の本命はジゼルで、
若さ故、将来の事はあまり深く考えていないがための悲劇、
というストーリーが成り立つ。
ジゼルが亡くなったあとの悲嘆具合は涙を誘うが、
ラストはルジさんやマラーホフさんのように、
一生彼女の面影を背負って生きます、ではなく、
助けてくれてありがとう、だったから、泣けなかった。
(クリサノワさんの演技には泣けた)

ハンス役のサーヴィンさんは、我が師推奨の踊り手だけあって、
1幕のジゼルを想う演技や、ミルタに操られる踊りなど、たしかに見応えがある。
コルプさんから妖しさ成分を除いた二枚目なのと、
初日のツヴァルコさんが王子にしては粗野な雰囲気だったから、
初日は王子役とハンス役を交代しても良かったのでは、とお師匠さま。(笑)


さて、白鳥の群舞たち、どこまで頑張ってくれるだろう。
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