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2017年06月02日12:14

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【バレエ】 Kバレエ「海賊」(4公演)

「本邦初」の単語に釣られてフィンランド・バレエも観たが、
時間に追われているうちに感想をまとめる時期を失してしまい、
細部の記憶もあやふやになってしまった。

大まかなイメージのみ記すと、メインの「ムーミン」は、
着ぐるみの形状があれなのでバレエというよりはマイム劇に近く、
ロール状の布を転がして広げると川になるなど面白い演出もあったが、
「バレエを観た」という気はしなかった。
むしろアシュトンの「ぴーらび」は巧いなあ、と改めて思った。

バレエ団の歴史を見るとロシア寄り、芸監の出自を見るとフランス寄り、
ダンサーたちの踊りのスタイルは、はたしてどちらだろう、
と興味深く眺めていたら、その中間だった。
芸監は一応ヌレエフ世代のようだから、なんとなく納得。(笑)

そのダンサーたちの質は玉石混淆で、
みな鍛えてはいるようだから伸び代はあるように思う。
今後どうなるかは教師、指導者次第か。

良い踊り手も複数いたので、
今のチケット代(S席9000円)を維持ないし少し下げてくれるなら、
古典の全幕作品も試しに観てみたい気もする。


表題公演、私は都合がつかず25日の1回のみだったが、
我が師は26、27日の計3回を御覧になったので、
我が師のコメントを主体に感想をまとめてみた。

ちなみに我が師は、
東バの「ドン・キホーテの夢」、新国の「眠り」も御覧になっていて、
感想をうかがっていたら観たくなってしまった。
両バレエ団ともレベルの上昇傾向は続いているようだ。


Kバレエの「海賊」は、初演が2007年で、
その後2008年、2010年、2012年、2015年、
と上演されたから、今回は2年振りの6回目となる。

初演時は、海賊というよりも、
薄汚い身なりの男たちが猿みたいな踊りをする、という印象が強く、
ラストのお涙頂戴演出も相まって、良い作品には思えなかった。

しかし回を重ねるごとに手が入り、
DVDにもなった2010年版でほぼ現在の姿になると、
見慣れたというのもあってか、(笑)
男性陣も活躍するスピーディでわかりやすい作品、
と思えるようになった。

個人的な好みを言わせてもらうなら、
冒頭の中国のジャンクみたいな艤装の帆船は西洋式に改め、
ラストも包帯をぐるぐる巻きにしたアリの姿が船上に欲しい。(笑)


25〜27日の主な配役は次の通り。

〇25日
メドーラ : 中村
コンラッド :遅沢
アリ : 伊坂
グルナーラ : 小林
ランケデム(奴隷商人): 堀内
ビルバント : 杉野

〇26日
メドーラ : 中村
コンラッド : 遅沢
アリ : 伊坂
グルナーラ : 小林
ランケデム: 堀内
ビルバント : 西口

〇27日マチネ
メドーラ : 矢内
コンラッド : 杉野
アリ : 益子
グルナーラ : 浅野
ランケデム: 篠宮
ビルバント : 兼城

〇25日ソワレ
メドーラ : 浅川
コンラッド : 宮尾
アリ : 山本
グルナーラ : 白石
ランケデム: 石橋
ビルバント : 西口


〇中村メドーラ

「上手いし舞台栄えはするけど、Kの他の主役ダンサーと比べると、
感情表現があっさりしてる気がする」(お師匠さま談、以下同)

「小林さんの後に見ると、踊りが大きくないんだよね。表現も控えめ。
迫力のある小林さんの踊りの後だと、余計にそう見える。
組み合わせを変えたほうが良くないかな。
洞窟のトロワだと、小林さんとの比較にはならないから、
綺麗だなぁと観てるんだけどね」

パリオペでの初演版と違い、グーセフ版やボヤルチコフ版では、
メドーラとギュリナーラ(グルナーラ)は仲の良い友だちなので、
グーセフ版をベースとする熊版でも、
友だちから姉妹(メドーラがなぜか妹)に設定は変わったものの、
2人のツーショット場面がけっこうある。

しかし身長は妹役の中村さんの方が高く、
小林さんの役作りも「妹を庇う強い姉」ではなく、
「悲しみに暮れる悲劇のヒロイン(のひとり)」だったから、
どうしても中村メドーラの方が姉に見えてしまう。

ただし我が師の言う「配役チェンジ」は姉妹の入れ替えではなく、
「踊りのスタイルが似た人」との交換の意。
ロシア流の全身を大きく使い、立体的な動きをする小林さんに対し、
中村さんはその長い手足に頼り過ぎと言うか、
せっかくの武器を有効活用していないからだ。

今回改めて中村さんの手足、首の長さに感心したが、
理想的なバレリーナ体型に近い彼女と比べてしまうと、
小林さんの体型は「一般人」。
(本当に「一般人」の中にまざったら、
スタイルの良さに注目が集まるだろうが。(笑))
そんな彼女(小林さん)がロシアのバレエ団に入ったらどうなるか。
踊りを大きくして、手足の短さをカバーするしかない。

そのような過酷な環境で育まれてきた小林さんが、
一転日本のバレエ団に入れば、基本もワガノワだから、
国内育ちのダンサーとの差は歴然となる。

海外育ちという点では中村さんも同じだが、
彼女が学んだのは、バレエがロシア/ソ連で進化する前の、
古式フランスの延長上にあるドイツ式。

体型の違いについても、中村さんはインタビューで、
自分と外国人の違いに愕然とした、と語っており、
たしかに胴体の長さはやや長いが、
手足や首の長さは日本人離れしているから、
小林さんほど切迫した状況ではなかった、というのは想像に難くない。

思うに中村さんがもっとも成長した時期は、
マラーホフさんの指導を受けられた、
ベルリン時代だったのではないだろうか。

〇矢内メドーラ

「(27マチネは)若手中心だからフレッシュで、
主要メンバーの一体感というか、チームワークが良かった」

「コンラッドとメドーラの一目惚れも、
ボーイ・ミーツ・ガールという感じで違和感が無いし、
奴隷市場で重宝されるのも美人はもちろん、若い娘だろうし、
一目惚れは若手の方が自然」

「祥子さんみたいな存在感はないけれど、
若さのキラキラ感があって、ギリシャ娘たちの場面は、
女の子たちのキャピキャピした感じが可愛い」

「(トロワの)コーダの最後、珍しく腕づかいが少し荒れたけど、
会場が盛り上がっているので、観客は気にしてなかったと思う」

「ソワレでクラシック・トリオに出てきた時は驚いたけど、
(前日にもクラシック・トリオに配されていた)バテは感じなかった。
キャスティングする熊さんも容赦ないけど、矢内さんのスタミナもすごい。
あの華奢な身体からは想像つかない」

「メドーラがビルバントに反撃する場面、観客にわかりやすいようにか、
コンラッドの身体の前、観客側の砂を投げつけていた。
明確に攻撃する意思が見える、ガッと掴んで思い切り投げつけ、
ナイフも振り上げてから切りつける、という勇ましさ。
小柄で華奢なメドーラが精一杯反撃、抵抗してる感じ」

「その辺りは、荒井さんの指導なのかな。荒井さんも小柄だし、
わかりやすい表現を彼女に指導してそうだよね」

「祥子さんと浅川さんは、コンラッドの背中側から砂をかけてた。
投げ方も、軽く掴んで払ったかのよう。
ナイフは取り上げた流れで斜め下から上にサッと切りつけた感じ。
切り傷にはなるけど刺し傷ではないから、
ビルバントの痛がりようは、ちょっと大袈裟に思えた。
でも矢内さんはザックリ刺してたので、
ビルバントは相当なダメージを受けたと思う」

〇浅川メドーラ

「彼女にしては押出しが弱く控えめな印象だったのは、たぶん妹設定だからかな。
白石さんのグルナーラがアクティブでハッキリしてるから、
しっかり者のお姉さんが、体は大きいけれど控えめな妹を守ってる感じ。
浅川&白石組は役づくりが細かい」

「浅川さんの透明感のある清らかなメドーラと、
顔立ちと雰囲気に甘さがある宮尾くんコンラッドの組み合わせは、
ベテランながら一目惚れに説得力がある」

「祥子さんと小林さんの時は、メドーラが姉と疑わなかったし、
矢内さんと浅野さんは双子みたいな感じ。もしくは年子で差がない姉妹」

「浅川さんは誰よりも透明感があって、純粋さと清らかさが特徴。
一緒に捕まった他の普通の娘さんとはちょっと違う。
高値がつくはずだし、パシャたちも欲しがるはず。
美しいだけでなく、透明感があるのは貴重」

「踊りは細部まで丁寧で、彼女が喜びの表現を踊ると真実味が増す。
洞窟でギリシャ娘たちと再会して踊る時の嬉しそうなことと言ったら。
それもパアッと朗らかに喜ぶというよりも、喜びを噛み締めるに近い。
コンラッドもパシャも心を鷲掴みにされるのが分かる。私も鷲掴みされたクチ」

「拒絶も強くない。力強く意思表示をするキャラではなく、
お姉さんの後ろにいる妹キャラで、
今まではおとなしい妹をお姉さんが守ってくれていたんだろうな、と思わせる」

「だから、コンラッドが意識を失ってビルバントに反撃したのは、
相当なことだったんだ、と思えてくる。
切りつけた後で自分でびっくりしてナイフを手放して、
恐ろしいことをしたとショックを受けていた。
思わずガムザッティにナイフを向けたニキヤの心境。
しかも、相手を傷つけているわけだから、ニキヤ以上か。
で、その攻撃心が弱まった隙に、さらわれてしまう」

〇遅沢コンラッド

「跳躍に少し重さを感じたけど、大きな腕づかいの美しさとキレ、
という緩急の使い分け、メリハリのある回転は健在」

海賊の頭領らしい力強さと押し出しは、3人の中で一番だろう。
踊りの大きさも、キャシディさんに似ているところもある。
けれど動きは美しく優雅、という彼の長所は、
観るのが今回初めてなら満足しただろう。
だが、ニーナさんと組んだ時の観客を圧倒する迫力が今回はなかった。
あの時の踊りがデフォになれば、彼は「世界級のスター」と言い切れるのに。

〇杉野コンラッド

「威厳はともかく、熱く血気盛んなリーダー。ポーズが大きくて、
踊りの荒っぽさもまた海賊のリーダーらしくていい感じ」

「演技が濃いし、若手の中ではサポートも上手い。
踊りはまだ若干のぎこちなさが見える箇所もあるし、
踊り慣れた役のようにのびのびとしてるとはいえないけれど、
綺麗にまとめるより大きく踊ろうとしているのは伝わってくる。
決めポーズは思い切りよくて、気持ちがいい。
若々しく明るい雰囲気のコンラッド」

〇宮尾コンラッド

「普段はリーダーとして統率しているけど、
あまり力で押さえつけたり恫喝したりしていなさそう。←だからビルバントが強く出る」

「でも、普段怒らない人を怒らせると怖いの典型で、
ビルバントとその仲間をやり込める場面が、すごく迫力あった。
熱いとかじゃなくて、怖い。
最後のビルバントに銃を向ける時の迫力も同様で、息を呑むくらい。
こんなに演技派だったっけ。いろいろな外部での経験が活きてきたのかな」

〇小林グルナーラ

「大好きなロシア・バレエ。全身を思い切り使った、表現豊かな濃い踊り。
小林さんの個性が余すところなく発揮されてる」

一貫してパシャやランケデムを厭う演技は、つい涙を誘う。
かと思えばメドーラと再会した時の、
もしかして妹? という疑念が確証に変わり、
けれど喜びをパシャたちに気付かれてはいけない、という抑えた笑顔から、
グルナーラの気持ちのうつろいが、きちんと観客に伝わってくる。

どのような演技や解釈をするのか、
彼女のジゼルやキトリ、スワニルダも見てみたい。

〇浅野グルナーラ

「小林さんより感情表現はあっさりしている。踊りが大きく柔らかい。
困り眉で嫌がっているのだけど、口角が上がっているのか、
角度によっては微笑みを浮かべているように見えてしまう時も。
最後まで見た印象では、強い拒絶ができない、か弱いグルナーラ」

〇白石グルナーラ

「小林さんの全身で嫌がるのとも少し違う。もっとハッキリ、キッパリ拒絶。
柔らかな踊りと意思表示のメリハリがある。
小林さんは湿度の高い表現だけど、白石さんはもっとドライな感じ」

「グルナーラのヴァリエーションはエスメラルダのタンバリンの曲、
音楽に合わせてメリハリを上手くつけてる。
タンバリンを叩くところのフレーズは力強く、途中の穏やかなパートはしなやかに。
この使い分けは、小林さんや浅野さんよりも明瞭だった」

〇伊坂アリ

「伊坂さんは熊さん印がついてるね。もっと彼らしさが出ても良いのに。
持ち味の熱さや軽妙さはなく、アリだから控えめにしてるのかな。
伊坂さんはランケデムで見たいなぁ」

熊さん直々の指導に加え、ディスクを擦り切れるほど観ていたのだろうな。(笑)
技以外の表現も含めて熊さんを完コピできれば、それはそれで凄いことだが、
残念ながら、力みすぎて踊りが小さくなってしまった。
肩から力を抜いて、再挑戦してほしい。

〇益子アリ

「精悍で友人というよりは忠臣的。コントロールされた踊りは健在ながら、
初めは怪我前より少し慎重だったり、
ちょっとしたぎこちなさも感じられた箇所があったりしたものの、
洞窟のヴァリは見事なコントロール力で、舞台をはみだしそうな勢いで踊り、
コーダまで非常に完成度が高かった」

「マチネで一番湧いたのは、やっぱり洞窟のトロワで、益子くんの力が大きかった。
自身の他のパートよりも練習したんだろうな。完成度が明らかに違ってた。
憧れの役の見せ場だから、思い入れが違うのだろうね」

〇山本アリ

「正直に言うと、枠が3つしかないのなら、今なら井澤さんのアリが観たかった」

「伊坂さんや益子くんも演じていたような、忠誠心の強い、
いわゆる典型的なアリとは違って、独特な解釈。
なんとなく、ゆとり世代のアリという単語が頭に浮かぶ。
忠誠とか傅くとか、身を挺するとか、そういう言葉とはちょっと距離がある感じ」

「少年ぽさがあるので宮尾コンラッドの弟分という印象。忠誠心は薄めかな。
他の人は、奴隷にもかかわらずコンラッドによくしてもらって、
恩義を感じて忠臣となっているイメージ。
熊版は奴隷ではないけど、イメージ的には引っ張られてると思う。
だからこそ熊版独特のラストにも繋がるのだろうけど、
山本くんの解釈だと、ラストが唐突な感じになる。
ただ、幼い雰囲気なので悲劇性は強く、宮尾コンラッドの嘆きも深くなる」

「軽やかな跳躍は清々しいけれど、最後が流れてしまう。
ビシッと決めるというのが課題らしく、本人も自覚しているみたいだけど」

「決めポーズが流れるのは石橋くんも多少あって、力強くやるとお釣りが出てしまう。
ランケデムはそれでもキャラ的に大丈夫なところがあるけれど、
アリの振付でピリッとするところがないのは、ちょっと物足りなく感じる」

「ランケデムとの追いかけっこで回転にスピード感が無いのも、
すばしっこさが出ないので、捕まえられないランケデムがドンくさく見える。
ちょっと盛り上がりに欠けてしまう」

「益子くんのシェネは速いので、すばしっこさが出る。
篠宮くんもキレの良い踊りだから、二人でじゃれてる感じ。
ジェンツ仲間でもあるし、一緒に踊る機会が多いからか、一番良かった」

「シェネの速さが、すばしっこさの印象に大きく影響すると気付いたのは、
山本くんのシェネが速くなかったから。他の踊りは良いのに、
回転の速さでずいぶんと全体の印象が違う。もったりしてしまう」

「軽やかで綺麗な踊りは山本くんの特徴で、長所だし好きだけど、
キレやメリハリが表現とともに課題なのかも」

〇堀内ランケデム

「意外と生き生きしてる印象。もともと綺麗な踊りの人だけど、ヴァリが良かった。
深くて綺麗なプリエから、軽やかな跳躍の流れが滑らかで力みがなく、とても美しい。
全体的には、もっと弾けた方が好みだけど。
アリとランケデムの追いかけっこは、もう一声」

「綺麗に割れた腹筋と厚い胸板は、
今回の衣装のためにブラッシュアップしたのかな。 見事だった」

2010年のDVDでは、熊さんアリ、伊坂ランケデムが、
息のあった追いかけっこを映像に残してくれているが、
25日は26日同様、タイミングがいまひとつでリアルさが足りなかった。
予定調和というか、振付がそうなってます、という動きで、
捕まりそうになるのを咄嗟にかわす、という緊張感がなかった。

〇篠宮ランケデム

「穏やかな優しい顔立ちからは想像がつかない悪役ぶり。
こんな引出しを持っていたんだなぁ。お茶目な感じが無くて、むしろ狡猾さを感じる。
首を少し前に出す仕草もチンピラ風で雰囲気がある」

「跳躍が高く、回転のキレもいい。プリエは浅めでジャンプに移っていたけれど、
彼は決めポーズがどうだ! とばかりに派手。
ハッタリもかまして図太く商売してきたんだろうなぁというキャラクターにつながって、
役づくりにブレがない」

「ランケデムとアリの追いかけっこも、息が合っていて面白かった」

〇石橋ランケデム

「マチネの篠宮くんとはまた違う悪役。狡猾というよりガラが悪い。←褒めてる
それで、ちょっと人を食ったところや下卑た感じもある←褒めてるんだよ」

「鞭の鳴らし方は、堀内さん、篠宮くん、と見てきて一番上手い。
大きく強い音で観客までビクッとさせる迫力。
それでいて、踊ると綺麗というギャップがまたいい。
深くて柔らかいプリエからの軽やかで綺麗なジャンプ、
回転も綺麗で振付が滑らかにつながり淀みがない。
雰囲気は淀みまくってるのに。←褒めてる」

「傷を負ったビルバントを蹴り倒すランケデムが、三者三様で面白い。
ランケデムが縄を解かれた時もそう」

「堀内さんは、縄を解かれた時、結構余裕で、いやぁ参ったよ、じゃあよろしくな、
と特に腹に何か抱えてなさそう。そんなに悪い奴じゃないというか。
蹴り倒すのも、女にやられるドンくさいヤツは仲間にいらねえよ、とからかう感じ」

「篠宮さんは、縄を解かれた時にも腹に抱えるものがありつつ結託。
蹴り倒す時は、俺を痛ぶったお前が、今度は仲間に裏切り者として痛ぶられな!
みたいな嘲り」

「石橋くんは、縄を解かれた時も飄々としていて、何か魂胆もありそうで信用ならない。
蹴り倒す時は、ざまあみろとばかりに思い切り嘲り、弱っている相手に容赦ない。
傷に塩を塗るタイプで卑劣な感じ。←褒めてる」

〇杉野ビルバント

ビルバントと言うと、コンラッドと張り合う「つわもの」というイメージだが、
彼がやると、やはりどこかチャラくなる。(笑)
さらってきた女性たちへの態度や目つきもちょっとやらしいし、
コンラッドやアリと対峙するときも、対等、比肩ではなく、どこか卑屈感がある。
でも、こういう悪役もいるよな、と納得してしまう。
オレンジマンの時もそうだったが、彼の役の解釈は楽しみで仕方がない。

イメージからすると、ランケデムも似合いそうな気がする。
次回はぜひ、それもお願いします、熊さん。

〇兼城ビルバント

「ちょっとキャラクターが弱かった。
悪そうではあるけれど、もっとアクが強くていいかな。
コンラッドに刃向かうわけだし、賛同する仲間もいるのだから、
それなりの求心力も必要。
他の人のキャラが立っている中、ちょっと線が細く存在感が薄い」

「見せ場の鉄砲の踊りも力を発揮するに至らず、振付を追うようになってしまっていた。
あの場面の導入部は、要所要所でアクセントをつけて片脚で踏み込み、
片脚を後ろへ水平近くまで伸ばし上げ、両腕の鉄砲を上げるのが特徴だと思うけど、
余裕がないのか上げる角度が浅く、脚の美しさが際立たない」

〇西口ビルバント

「雰囲気のある悪役ぶりと鉄砲の踊りの脚が綺麗!
コンラッドに押さえつけられた後の、アイツ殺してやるぜ! がいい。
最後の弾切れで焦るところは、もっと大げさに滑稽なくらい狼狽えてもいいかな」

〇オケについて

「とにかく、舞台全体に躍動感があるのに、足音がしないので音楽が際立つ。
目の前のやさぐれた海賊に比べて、演奏は上品だけど。
ロシアの迫力ある演奏が、ちょっと恋しい」


他のソリスト、群舞も、あいかわらず足音がほとんどせず、
動きもプロフェッショナルで、
このあと誰が頭角を現すのかが楽しみになってくる。

熊版は作り込みがしっかりしているから、
大雑把なロシア版ほど登場人物のキャラにブレはないが、
それでもこうして比べてみると、個性の違いがはっきりしてくる。
(観察眼の優れたお師匠さまだから、というのも大きいか。(笑))

「見比べないと気付かないんだよね」

それが見比べの醍醐味でもある。
だから公演の回数は多い方が良いし、
何度も観るためには、チケット代も安い方が良い。
回数が多ければ、観に行く日の自由度も高まるし。
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