「本格推理�� 奇想の冒険者たち」
鮎川哲也（編）
光文社（光文社文庫）
一般公募した短編本格ミステリの、入選作を集めたアンソロジー。
記念すべき第１回目の秀作が多すぎて１冊に纏めきれなかった分の、２冊目になります。
素晴らしい投稿が続き、このアンソロジーはこの後も長く続いていくことになるのですが…。
１冊目に引き続き、素晴らしい短編が揃い踏みでした。
また、司凍季氏や田中啓文氏など、これを切っ掛けにプロデビューした作家さんの初期の短編も収録されています。
「双子神社異聞」 北野安曇
謎解きや、細かな伏線の回収はお見事！
ただ一々括弧してページ数書くのはしつこいかな。
短編だから、戻って読み返すのは簡単だしね。
「落研の殺人」 那伽井聖
落語好きには嬉しい一編。
冒頭の「厩火事」、私には違和感は無かったのだけれど、そういえば本で読んだだけで実際の落語は観たことないかも。
今度観てみよう。
「汚された血脈」 乙蘭人
探偵と探偵助手のキャラクターが気になる！
一読、重い余韻を残す素晴らしい一編。
最初の鮎川氏の解説に若干のネタバレがありますが、まあ予見できなかったのでセーフかな…。
「推理研の冬休み」 佐々木重喜
重い話の後に、このほっこりする話が来てくれてありがたかった。
収録されてる12編、全てが殺人事件じゃ流石に重い。
謎解きがラストの３ページであっさりと終わってしまうのも、他とテンポが違って面白かったです。
「数文字」 藤田将文
名探偵の苦悩。
快刀乱麻を断つどんな名探偵も、こんな苦悩を抱えているのだ…。
「落下する緑」 田中啓文
最高に好き。
「調香師の事件簿（１）見えない移り香」 蒼井直人
やな奴なんだけど、なんとなく神山が憎めない。
探偵役の村中とのコンビで続編が読みたいなぁ。
（１）ということはきっと……。
「アンソロジー」 江島伸吾
こちらは招待作品。
文章も綺麗で、アンソロジーというテーマが本編とも噛み合ってて素晴らしい。
趣きある一編。
今回も素晴らしい作品ばかりで、読み始めたら一気でした。
書き手の本格愛が伝わるんでしょうね。
とても面白かったです。
（古）
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