隣家とうちの間の仕切りのないカーポートの中心線に共同で3本の梨の木を植えたのは2010年だった。 そしてその翌年初めてその木に花が咲いた時のことを喜びをもって写真を載せ次のように記している。
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/61736688.html
けれどそのとき梨の木がどのように成長してどのように結実するのか見当もつかなかったもののただ家人が造園をやっている友人に条件をつけて選んでもらったのは甘くなく煮て喰う小ぶりの梨だった。 デザートにしたりオランダの国民食ともいえる潰したジャガイモに色々混ぜてつくるスタンポットにも入れると美味いものであり、屡々クリスマスのディナーにはポートワインで煮てアイスクリームや熱いチョコレートソースとともに供されるデザートにも登場する。 甘くない林檎と同じくパイにも用いられ日持ちもするので自家に木があれば重宝する。 それに甘い木はたくさん生って放っておけばその糖分で汚くすぐ腐り、その分甘くない林檎や梨の木は周りの処理が簡単だ。 何年か前には11個できてそれから順調にいくのかとおもいきやそれがなかなか進まず去年は一個しか実にならなかった。 その上その一個も落ちて腐り、自分の気分も腐った。 それを次のように書いた。
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/64848362.html
2016年度には春から夏にかけて大して花が咲かず心配し今年も駄目かと思っていたものが夏の終わりから秋にかけてそれでもそろそろ幾つか結実し始めて折に触れ赤子の拳ほどのものを数えてみたら13,4個あった。 その後毎日その前を行ったり来たりするのに気に架けず何やかや放っている間に隣人が収穫していた。 互いに留守になることもあり年が明けてからあの梨どうした、と訊いてみた。 沢山できたのでそのまま物置に並べてそのまま熟してみようかと思うんだ、と言う。 はて、たかが13,4個やってみてもそれまでの辛抱と出来てからあとが呆気ないだろうというと40個以上あるという。 10月にオランダにいなかったその中頃に収穫して、親が言うには凍らない物置に入れておけば時間をかければ硬く甘くない梨でも甘くなるというので軽くストーブをつけて保存していると真面目なロバートが禿を光らせて言う。
それで今2か月以上経ってどうだと聞くとまだ硬い、味は中の糖分で決まるからどうだろうな、というので家人がそれじゃ試しに煮てみるというので家の分から6個持ってきて2個を使ったのが夕食のデザートとして出た。
白ワインに八角(スターアニス)や桂皮(シナモン)、レモンの皮少々などを入れて小ぶりの2個を煮た。 冷ましたものを四つに切って小さなグラスに2個づつ放り込み煮汁だけ熱したものにジェラチンを溶かしグラスに注ぎ冷ましただけの簡単なものだ。 砂糖は一切いれなかった。 それが家人から聞いたレシピだった。 冷蔵庫に入れるほどでもなかったので自然に冷まし必要ならホイップクリームでもと用意したがそれも必要なかった。 そのうち一つは造った家人が味見と称して食事の前に喰っていた。
二つ煮たもののうち一つをそのまま半分づつ食べてみた。 四つ割りにしたものをデザートナイフで林檎の四つ割りのように剝いたのだが煮てあるので簡単に剥けた。 翌日硬い2個を使って一辺15cmほどのパイを4つ焼いた。 作り方は冷凍のパイ皮のパッケージに書いてあったレシピーで焼いた。この煮た梨とワインジェラチンより簡単だった。 220℃、25分というのがオーブンの設定でそれだけ守っていれば誰にでも簡単にできるからこれから追々他の材料でも試してみようとも思う。
自分はどちらかというと林檎より梨の方が好きだ。 10月に泉南の幾つかのスーパーで見たのだが梨の様相が変わっている。 40年前には二十世紀という瑞々しく大きな玉と長十郎というのが好みで秋の日、二十世紀を二個リュックに入れて山登りをすれば水筒は要らなかった。 古風な強い甘みのあったのが長十郎でその歯ごたえ様相は二十世紀と対照的だった。 それが見当たらずこちらでも見る洋梨のコンファレンスが多かった。 コンファレンスでも大きくよく熟れたものは発酵がはじまっているような何かリキュールのような味がして美味いものだが日本のものはどこか違うのかこちらで見慣れているものとは少し違い試さなかった。 10月にはヨーロッパにはない種類の蜜柑を専ら毎日喰った。 長十郎というのはもうないのだろうか。 自家の梨を見ると格好は別として甘くない長十郎だと思う。
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