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2017年01月05日18:42

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【バレエ】 キエフ/シェフチェンコ 「新春ガラ」「白鳥の湖」(3、4日)

あけましておめでとうございます。

お互い、良い事、楽しい事に、
沢山出会える年でありますように。


昨年はKバレエの見事な「くるみ」で締めくくることができ、
年明けも好みの舞台観覧でスタートすることができた。

光藍社の「新春ガラ」は、ガラというよりもトリプル・ビルに近く、
3作品の1幕を、まるまる演ってくれる。
今年は「パキータ」の最終幕、「白鳥」の2幕(1幕2場)、
そして「眠り」の最終幕。主役はみな違うから、
来日メンバーの顔見せ公演的な意味合いもある。

キエフ/シェフチェンコの本格公演は、
2013〜14年シーズン以来3年振りだが、
プログラムの末尾には、
今年末から来年頭にかけても来るよ、とあるので、
ウクライナ情勢次第では、今後毎年観られるかもしれない。

マールイの後釜には、育成も視野に入れるなら、
タッチキンやモスクワ・クラシックもありだろうが、
即戦力ならダンチェンコかここくらいだろう、
と思っていたから嬉しい。

海外の著名バレエ団の舞台は2,3年置きに観られる日本だが、
顔馴染みとなるダンサーは一握りのトップ・カテゴリーに限られ、
その優れた踊り手たちも、毎回必ず来てくれるとは限らない。

その点、マールイは精鋭部隊を毎年夏冬に送り込んでくれたから、
年に2,3演目しかやらない多くの国内バレエ団よりも観る機会に恵まれ、
主要ダンサーはもちろん、群舞の成長過程まで観察することができた。

シェフチェンコ/キエフは、
まだ名前と顔の一致するダンサーは多くないが、
今後それが増えてくれば、舞台を観る楽しみは、
さらに増すことだろう。

このバレエ団は、優秀な踊り手を、
各国のバレエ団に供給していただけあって、
元々レベルの高いところではあるが、
帯同するオケの存在も大きい。

3日、4日とも、まだ本調子ではなかったが、
朗々と歌い上げる金管や、艶やかな弦、
小気味よい木管の音色を聴いていると、
バレエとオケは一心同体ということを、
改めて感じさせてくれる。

ロシア系のバレエ団にしては、
ダンサーたちの体型にはばらつきがあるので、
群舞の見た目はロイヤル的であるが、
容貌やスタイルに恵まれた側の踊り手たちの、
ビジュアルのレベルは半端ない。
ザハロワさん級、さらには彼女を凌ぐ容姿の踊り手が何人もいる、
と言えばイメージは伝わるだろうか。(笑)

技術的にも注目すべき踊り手は何人もいるが、
その筆頭は、やはりフィリピエワさんだろう。
千変万化の表情と演技力、音楽とともに流れるような踊りは、
まさに「バレエの美」そのもの。お薦めのダンサーのひとりである。
http://www.koransha.com/ballet/kiev2017/


昨夜(4日)の舞台を見終えたあと、
ニェダクさん(王子)の踊りも優雅で美しいねぇ、
スペインの男性、格好いいねぇ、
などと我が師と雑談をしていた時、
ふと群舞が話題になった。

「バヤ」「くるみ」と続いた昨年のKの群舞は、
その統制感といい、鍛え抜かれた踊り手の力量といい、
感涙にむせぶレベルであったことは日記に記した。

それと比べると、今回のシェフチェンコの群舞は、
まだ来日直後だからか、2年前に比べいまひとつで、
上手い人は上手いが練習不足の人もいて、
統制感、鍛錬の度合いともKの方が上なのだが、
にもかかわらず、シェフチェンコの群舞の方が、
なぜか観ていてしっくりくる。

我々の好みがロシア系寄り、と言ってしまえばそれまでだが、
それで片付けてしまうには、Kの群舞のレベルは高すぎる。
いったい何がどう違うのだろう。理由が知りたい。
...と、2人揃って沈思黙考。

「“力み”がないから、じゃない?」 と、お師匠さま。

その一言に、私も閃いた。(笑)
良くも悪しくも、ロシア系の群舞は「自然体」なのだ。

教育体系が確立し、公演数も多いという環境で育った、
ロシア系のバレエ・ダンサーたちは、
バレエの基本的な動きが染みついているから、
音楽に合わせて踊っていれば、群舞もそこそこ揃ってくる。

ただし、ガチで揃えることは目的にしていないから、
並んだ時の間隔には多少ばらつきがあり、
手足を上げ下げするタイミングも若干ずれたりするが、
見苦しいほどではない。

一方、Kの群舞は揃えることが目的のようだから、
踊り手たちも気合い十分で、観ている側も力が入る。(笑)
定規を当てたようなフォーメーションに一糸乱れぬ動き、
片足立ちになってもバランスの怪しい者がほぼ皆無な様子は、
群舞とはかくあるべし、指標とも言える見事な出来映えで、
ロシア系の群舞とは、明らかに目指しているものが違う。

ストイックなまでのKの群舞と、ゆるいロシア系群舞、
両者の一番の違いは、抑制感の有無にあるように思う。

Kの群舞は、
手足の長さなど体型の違いや個々の技量の差といった、
精度の向上にはマイナスとなる要素に対処するため、
犠牲と言うと語弊があるが、
踊り手本来のパフォーマンスを全開とせず、
やや抑制することで調整しているのではないだろうか。

それでも個々の踊りが美しく見えるのは、
レベルの高いKだからで、
中途半端なところがこれをやろうとすると、
手足の動きが縮こまったり、直線的になって、
ただ揃っているだけの、面白味のない群舞となる。

これに対しロシア系の群舞は、
そもそものアプローチが異なるようだ。

バレエは音楽と踊りの融合体だから、
音痴だったり、極端なレベルの差が無ければ、
音楽に寄り添うように踊るだけで、
動きは自然とシンクロする道理である。

したがって、音楽性を養い、技術を磨いていけば、
群舞の精度も自ずと向上し、
あえて合わせようとせずとも、それなりに揃った群舞となる。

抑えることによる「もどかしさ」はあるが、
完璧なシンクロを目指すか、
多少のほつれには目をつむり、
肩から力の抜けた健やかな踊りの群舞とするかは、
ある一定以上のレベルにさえ達していれば、 ←コレが大切。(笑)
指導する側、そして観る側ともに、
あとは好みの問題と言えるだろう。
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