「問題解決には、一番大きな、一番難しい問題から取り組まんとあかん。これが出来れば、後はひとりでに解決するんや。」(松下幸之助)
嘗て松下電器は東方電機というとんでもない会社を背負ってしまった。
この会社、今の基準からしても滅茶苦茶だった。
▼再建を任されたのは何と20代の正社員
▼その一方で80歳の庶務部長が存在する。
▼月商800万円(当時)しかないのに、毎月の全従業員の給与が1000万円
▼しかも遅配など当たり前
▼組合の仕事の中心は勿論スト中心
▼売掛金の焦げ付きは放置しまくり。誰も集金に行かない。
▼更にその理由が「電車賃が無いから」
・・・
書けば1万文字のブログの割り当てなど埋まりそうなほど凄いが、さしもの20代の再建を任された社員が幸之助さんに泣きついたのである。すると開口一番、幸之助さんはこう言い放った。
「何だ。これしかないんか。もっとあれば良かったのにな。」
「君なあ、ひとつひとつ解決すれば、皆財産に変わるでぇ。欠陥は宝なんや。欠陥の無い会社なんてひとつもあらへんで。松下然りや。現実を否定してはあかん。だからと言って、是認してもあかん。容認すれば、あるがままの状態が見えてくるんや。本質が見えてくれば、何をしたら分かるで。」
そしてこの言の葉が続く。今までこの会社は現実を否定はしていなかっただろうが、是認してしまっていた。だから売掛金の回収だって、「電車賃が無い」などという言葉が平気で飛び出したのである。ダメだと言っても始まらない。この会社で社員の飯を食わせて行かねばならない。再建を任されたこの人は、社員全員を集めて侃々諤々の議論。現実を見てもらった。それは凄まじいアレルギーを呈したが、全員が現実を受け入れると、うちみたいな倒産寸前の会社に何があるのか、何が出来るのか、意見を出してもらった。まともな技術としては、電機と機械があった。「このふたつを組みあわせて何か出来ないか」という商品企画の議題に移った。ある人は自動販売機、ある人は、精密小型モーター、またある人は、コピー機を挙げた。これらを上手く組み合わせ、今の仕事に近いものと擦り合わせを行なった。生まれたのがファクシミリだった。
東方電機は後に松下電送と名前を変える。ファックスで以後、世界一になったことは周知の通り。
幸之助さんの言の葉、意外と我々の実生活にも当てはまるではないだろうか。問題点は、全てはそのひとつから派生していることは多いし、簡単な問題から手をつけると、肝心かなめの問題が後回しにされてしまうことが多々あるものだ。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
関連の言の葉
「問題解決をしたければ、ヘッドピンを狙え。ヘッドピンとはボーリングの先端にあるピンのこと。これを崩せば、ストライクを狙える。それと一緒だよ。」
(斎藤一人、実業家)
ログインしてコメントを確認・投稿する