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2016年12月12日13:10

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20歳の岩崎加根子に惚れても、“ロリコン”じゃないよね。佐伯清監督「浅草四姉妹」(1952)。

なぜかオールシネマ・オンラインのデータにはない、新東宝映画です(Movie Walkerにはあります)。日本映画専門チャンネルで見ました。浅草の小料理屋の娘4人をめぐる物語。父親が三島雅夫、母親が沢村貞子、娘が相馬千恵子、関千恵子、杉葉子、岩崎加根子でした。←公開当時44歳の沢村貞子が、28歳という設定の長女の母親というのがかわいそう。でも、そう見えるから不思議。三島雅夫だって公開時46歳か。

長女の美佐子(相馬千恵子)は医師で、家では“姉ちゃん先生”と呼ばれ、町を歩けば“先生、先生”とあいさつされています。同僚医師の田中(山内明)にまんざらでもないのに、冷たくしている。次女の幸子(関千恵子)は、日舞の世界を目指して精進していますが、その合間にお座敷に出て、妻子持ちの優しい客(二本柳寛に惚れます。三女の千枝子(杉葉子)は、銀座の洋服店のお針子。5万円(当時、大学出の初任給が5〜6千円)もするウェディングドレスを前に、ロマンスを夢みています。そして末娘が恵美子(岩崎加根子)でした。

監督の佐伯清は、伊丹万作が弟子の橋本忍を託した監督という印象しかありませんでした。この映画では“大衆の娯楽”としての家族劇を手堅くまとめている感じ。あのころの日本映画の常識を一歩も出ていません。脚本は井手敏郎と橋村美保。って、橋村美保という人、検索しても出てこないんですけど。誰ぞの変名?

ほかに小料理店の若い板前役で高島忠夫、姉ちゃん先生に釣書を渡し、下調べに診察してもらう男が田中春男、“氷り水”(かき氷です)を売ってるばあさんが飯田蝶子、幸子のパトロンとして最初の方に登場するのが山村聡、そして看護婦の中に久保菜穂子(ニューフェースとクレジット)がいます。天知茂の名前もあったけど、野郎は熱心に探さないから分かりませんでした。

しかしまぁ、なんですねぇ(by桂小枝、古い?)、二本柳寛が幸子のバックアップをするというあたりで僕は、大声を上げて止めにかかりました。だって「青春残酷物語」で桑野みゆきがどうなったか知ってるんだもの。一方、岩崎加根子が高校生役というのにびっくり。当時20歳ですから、高校生役OKですけど、「人間の條件」とか「宮本武蔵 一乗寺の決斗」を見ている僕には鮮烈でした。幸子姉さんが夕食で、だし巻をいらないとパスしたので、恵美子が2つもらえて狂喜する(写真2)。その感覚が僕にはツボでした。あの喜びようで、当時の食料事情を思い出す。

というわけで、たいした映画ではありませんが、“個人の自由を尊重する”とか、“お母さんの考え方、古い”とか、あの時代を思い出させるセリフがポンポン飛び出します。それを今聞いてもぴんと来ない人は、それはそれで幸せでしょう。古いアルバムを覗き見る感覚の映画でした。

ちなみにテアトル銀座(テアトル東京になる前)で上映中の映画は「二人でお茶を」で、デンマーク映画「姿なき軍隊」の看板もあります。写真1が四姉妹、左から関千恵子、岩崎加根子、杉葉子、相馬千恵子。
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