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2016年08月05日23:42

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松永 安左エ門の言の葉

「勝ち負けの順序、最上は『上手な勝ち方』、次は『上手な負け方』、その次は『下手な負け方』、最低は『下手な勝ち方』である。」(松永 安左エ門) 

 
 人間については何にしても、優劣が付くのは当たり前である。勤労者の出世レースも同様だ。同じ勤続年数でも歴然とした差がつくことがある。就いた役職で勝ち負けが決まるとしたら、勝つ人もいれば、負ける人もいる。勝てば役員になれる人もいるかもしれない。普通役員は賞与こそつかないが、その分役員手当がずっと付き、更に平社員よりも定年は遅い。場合によっては子会社の社長になれる人もいるかもしれない。同期入社組の中では生涯給与も違ってくるはずだ。

 勤労者の社会に入る以上、会社のパワーゲームから超然としているのは無理である。たとえ出世など諦めた人であっても。勝った方が良いにこしたことはないが、問題はその勝ち方だろう。

 「電力の鬼」と言われた松永 安左衛門のこの言の葉で解釈すれば、こうなる。

 上手な勝ち方をしているのは、成果を挙げ、周囲の誰もが昇進を正当なものと見做している人を言う。

 上手な負け方をしているのは、一生懸命頑張ったが、結果が伴わなくてダメだった。これは運が無かったと諦めるしかない。しかしその悔しさに腐ることなく、粛々と努力している人。周囲から信頼と尊敬は得られる。

 下手な負け方をしているのは、仕事に対しても余り一生懸命ではなく、会社からも周囲からもそれなりの評価しか得られない人を指す。まあこれは自己責任。

 下手な勝ち方をしているのは、成果こそ挙げたが、そのやり方が競合他社に対してエゲツない勝ち方をしているか、他人を騙して昇進した人。このような人間を出世させる人事も人事だが、そうやって勝ちぬいても、周囲から尊敬を得られることはまずない。常に仕返しに警戒しなければならず、幸福な人生を送るのは先ず難しいと思った方が良い。

 下手な勝ち方をしている人は先ず居ないだろうが、下手な負け方をしている人は意外と多い。今現在、よく耳にする言葉は「フリー・ライダー」という言葉だ。読んで字のごとく、タダ乗り人間だ。大体40代後半〜50代の男性社員に多いと聞く。バブルの好景気の世代だから、給与は抜群に良い。が、実務的な仕事は皆後輩にやらせる。女子社員にも横柄だ。年下の上司にはまるで顔を下から覗き込むように見て、言葉づかいは慇懃無礼そのもの。

 上役の居ないところでは会社の悪口ばかり言っている。最早自分の会社を敵としか思っていない。まるで評論家のような物腰である。守衛さん、掃除のおばさんには年配者であっても、驚くほど横柄。

 勤労者の社会は建前上、「機会は平等」(今の就職氷河期の世代から見たら、何言っているのだ、機会すら不平等ではないかと叱られそうだが)となっている。が、それ以外は不平等が「普通」だと知るべきだろう。運も勿論平等ではない。相性の悪い上司にくっついたら、出世できないことの方が多い。

 しかしながら、だからといって「フリー・ライダー」になっていいはずがない。

 F1のレースを見ていると、周回遅れでも完走目指して一生懸命走っているレーサーもいるではないか。走りでも手は抜かないのだ。それと同様、出世コースから脱落したとしても、一生懸命、誠実に働いている人は多い。彼らがしていることは「上手な負け方」である。そういう生き方でもいいのだ。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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