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2016年06月14日21:56

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秘境に住みたい願望

 雨で昨日の散歩量は少なかったので、今日はラズリを存分に歩かせよう。
 普段はあまり足が向かないエリアに遠征するつもりで、家を出るときにデジイチを首に掛けた。観光客の気分になる。だから観光客目線で緑や史跡を見られそうだ。
 向かったのは東勝寺橋で、滑川沿いの一帯は閑静な住宅街。地価が高いこともあって広い敷地の邸宅は少ないものの、お金がかかった家が多い。橋のたもとには『Vin茶家 OMOTE』という敷地に立ち入っただけでも千円くらい取られそうな高級カフェがあって(http://vinchaya.com/)、ラズリを玄関前に座らせて写真を撮ってみた。一度、本当に入ってみたいものだ。
 そのまま先に進むと、「北条高時腹切りやぐら」がある。一部の好事家には有名な鎌倉心霊スポットだそうで、落ち武者を見た者が多数いるという。こういうお迷い事を言う連中というのは必ずいるもので、たちが悪い。私見であるが、この手のヒトはひとの尻馬に乗ってありもしないことを妄想するファッショ気質だと思う。北条高時が新田に追い詰められて自決した地だとされているのだが、緑が深い高台にやぐら(山肌に横穴を掘った小さな洞窟で鎌倉時代の墓とされている)がたまたまあって、いかにも歴史的な自然である印象があるから、「お化けが出た」などと不信心なウソをつく人がいるのだろう。もし仮に自害した武士らが幽霊として彷徨っているとするのなら、JR中央線のような自殺者が多い路線や帝国ホテルのような一流ホテルに浮遊する霊は腹切りやぐら一帯の比ではないほど多い(笑)。ちなみに、誰でもが知っている大きな一流ホテルというのは、年間に少なくとも2人は自殺者がいるそうだ(かつて複数のホテル関係者から聞いた)。
 ラズリと歩いていると、いろんな人から声を掛けられる。今日は新聞配達員がわざわざラズリに寄って来て、頭を撫でてくれた。犬にとって、人間は怖くないという学習効果があるので、礼を言われたら必ず私も「ありがとうございました」と礼を返すことにしている。
 散歩から帰って、図書館へ行った。昨日の夜、ネットで図書館の蔵書検索をしたところ、大谷藤子の本が1冊、閉架扱いであった。『青い果実』、昭和34年刊だ。
 小説というのは作り話であるが、書き手も読み手も共にその時代に生きているので、100パーセントのがフィクションということはあり得ない。
 自分の生まれ年に近い時代に書かれた小説をいま読んでみる、という行為は、時間旅行をしているようなものだ。大谷藤子は埼玉県の最奥部にある秘境に住んで小説を書いていた。舞台はその地であり、登場人物もそこの住人であり、話す言葉も当時使われていた方言だ。うちに戻って早速100ページまで読んでみたのだが、この時代の田舎の日常がよく伝わってくる。小説の強みとして、宮本常一の民俗学とは違う生々しさがあって、とくに書き手が女流作家ゆえに、封建的で儒教的な田舎の有り様がねちねちと綴られている。この先小説の面白さがないとしても、秘境暮らしに興味津々な私にとって構いはしない。図書館には一冊きりしかないので、古本で買ってでも読もうという気になっている。
 今年に入って明治から大正の文学や翻訳書を読んできたのが、こういうところで役に立つとは思わなんだ。多少わかりづらい文章があっても意味がつかめるし、たとえ意味がわからなくてもするりと先に進む心構えも出来た。オレ、一皮剝けた、としたら、嬉しいんだけんど、そう甘いものでもないでしょうや(田舎弁)。
 
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