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2016年05月23日22:54

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一億総勘違い

 太古の昔から勘違いしている人は一定の割でいたが、21世紀以降、日本で言えば一億総勘違い社会になった。小金井市で女性アイドルが全身20箇所を刺された事件のテレビニュースを見たとき、不謹慎な感想だけど、アイドルというのは偶像崇拝の「偶像」で、自分の生きている地平からかけ離れた存在であるはずなのにいまや話も出来れば握手だって交わすことが出来る身近な存在になったことがこんな勘違い男を生んだのだろうと思った。売れっ子の芸能人だってTwitterやブログ日記を書いて素顔を見せる時代だ。元祖アイドルオタクの商魂たくましいアイドル商法で、大勢の女の子が踊るステージは10メートル手前で毎日見られるようになったし、年に何度も1メートル半の距離まで近づいて握手までしてもらえる。隣のクラスに好きな女の子がいたとして、そう簡単にこんな至近距離に行くことは出来ないし、握手なんて告白でもしない限り100パーセント無理だが、アイドルだとそれがいくばくかのお金と引き替えに可能になる。アイドルのほうが隣の女の子より手軽な存在、というのは著しくおかしい。ナイフで刺すなんて勘違いという度を越えているが、その一歩手前には何万何十万人もの勘違いのファンがいて、彼らは犯罪予備軍みたいなもんだと私は思う。
 晩ご飯を食べて風呂に入ったあと、伏本和代の『デパスな日々』を読んでいて、この日記を書く前にアマゾンのレビューを読んでみたら、3人が3人とも厳しいコメントで、しかも全くの的外れな内容だった。アマゾンのレビューを読むと、しばしば口汚くののしる感想があって、そういうひとはほぼ著者を見下している。おまえ何様? 明らかに著者より言葉遣いが劣っているおまえが「文章がダメダメ」なんてどのツラ下げて言うのだと、私が著者に成り代わって征伐したい気になることがしばしばだ。この手の輩もとんだ勘違い男(女)で、まだアマゾンなんていいほうだろう。2ちゃんねる系に行けば、罵詈雑言の沼で腐臭が漂っているような荒み方だろう。ともあれ私としては伏本さんに賛辞を寄せるかたの感想を読みたかったからアマゾンにアクセスしたので、がっかりした。
 私について言えば、小学校の3年くらいから勘違いをしていた子どもだったので、一億総勘違い社会になってしまうと、自分の特長が埋没化し、むしろ歳を経るに従ってだんだんと勘違いをあらためざるを得なかったためにニュートラルで内省的な人間になった。ゆえに、この社会的傾向に対して非常に不快だ。勘違いは俺の専売特許であって、そこらのぽっと出のあんちゃん・ねえちゃんが根拠なく自我を肥大させてんじゃねえよ、と言いたい。中学高校大学と一貫して、「俺は掃きだめに鶴みたいなもんだ」と周りに公言して嫌われたくらいの筋金入りだっただけに、老いて謙虚になってしまったことは痛恨の極み。そんな俺をごく一般的なひとたちが置き去りにして、勘違いに走っているこの時代は、けしからん。もっと作家に敬意を払え、アイドルは自分の手の届かぬ永遠の憧れであると思え。
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