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2015年12月20日04:36

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鍵穴



1950年代に田舎の農家で育った。 戸締りといっても鍵はなく夜に戸につっかい棒をして置くぐらいで日中は開いていた。 近所も同様で何かあるとその家の玄関を入って土間まで行って声をかけて挨拶する。 返事がなく誰もいなければそのまま帰って来る、といった具合でどこも開けっぴろげだった。 けれど村に泥棒が入ったなどということは聞いたことがなかった。 60年代に入ると徐々に戸締りするようになっている。 青年団の冬の行事に寒い夜の何日か2,3人で拍子木をもって「火の用心」と大声で囃し村の通りを行ったり来たりすることがあった。 青年団の集会所に酒や摘みにお菓子が村の有志から届けられそこで休憩してまた夜回りに行くというのがルーティーンだった。 それも単に習慣行事で実質シリアスなことはなにもなかった。 若者は集まって摘みを肴に酒を飲むのを楽しみにしていたのだ。

ほぼ成人して母と小さな借家に住み入口の鍵一つ財布に入れていたし大学時代4畳半の下宿の部屋の鍵が一つ、それだけだったのがオランダに来て初めは学生アパートの部屋の鍵、自転車の鍵と鎖の鍵3つになり、そのうち車のキーが加わった。 助手として働いていた大学の建物の鍵、研究室の鍵もあってキーホルダーが必要になる。

今の家を買ってからはそれに加えて鍵がやたらと増えた。 大小の鍵を束ねて軽く10はあった。 それが4年ほど前に家の鍵を共通にして数がいくつか減ったものの仕事場の鍵の数は相変わらず多く、それにUSBスティックやナイフもぶら下がっていた。 8月で定年退職し仕事場の鍵を戻したから鍵の束はかなり減った。 今では家の鍵二つに自転車の鍵、射撃クラブの電子キー、USBスティックにスイス・アーミー・ナイフだけで大分軽くなっている。

この4,5日裏庭から台所に入る、うちでは一番頻繁に使うドアの鍵穴が上手く入らない。 それは自分だけではなく家人もそんな具合で錠が緩んでいるのか鍵穴の方向が曲がったのか入らなくてイライラしていた。 無理に押し込んだり入っても力を込めて取り出すようなことをするからどうみてもまともではなく壊れそうな気配で、この鍵にしてもまだ4,5年しか経っていないから鍵を修理してもらうのに鍵屋をよぶのかと腐っていたところ、たまたまネットで鍵穴がひっかかるようなときには鍵のギザギザの部分を鉛筆でこすればスムーズになると書かれていたのを見かけたのでそういう風にやってみた。 ついでに家人の鍵にも同じようにやってみたら驚くほどすんなりと出し入れできてこれまで引っかかって苦労したのが嘘のようだった。 なんとも不思議なトリックだ。  
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