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2015年12月03日06:42

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コズモポリス (2012);観た映画、Nov.  ’15




コズモポリス   (2012)

COSMOPOLIS



フランス・カナダ映画;  110分


監督: デヴィッド・クローネンバーグ
製作: パウロ・ブランコ
マーティン・カッツ
原作: ドン・デリーロ
『コズモポリス』(新潮社刊)
脚本: デヴィッド・クローネンバーグ
撮影: ピーター・サシツキー
プロダクションデ
ザイン: アーヴ・グレイウォル
衣装: デニース・クローネンバーグ
編集: ロナルド・サンダース
音楽: ハワード・ショア
出演: ロバート・パティンソン エリック・パッカー
ジュリエット・ビノシュ ディディ・ファンチャー
サラ・ガドン エリーズ・シフリン
マチュー・アマルリック アンドレ・ベトレスク
ジェイ・バルシェル シェイナー
ケヴィン・デュランド トーヴァル
ケイナーン ブラザ・フェズ
エミリー・ハンプシャー ジェイン・メルマン
サマンサ・モートン ヴィジャ・キンスキー
ポール・ジアマッティ ベノ・レヴィン

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のデヴィッド・クローネンバーグ監督が、アメリカ文学を代表する巨匠ドン・デリーロの同名小説を、主演に「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンを迎えて映画化した文芸サスペンス。金融界で時代の寵児となった青年を主人公に、その栄光からの転落を、彼がオフィス代わりにするハイテクリムジンの中を主な舞台に観念的かつスリリングに描き出す。

ハイテク装備のリムジンをオフィス代わりに、国際情勢をチェックしては相場を的確に予見、若くして巨万の富を築き上げた青年、エリック・パッカー。ところが、そんなあらゆるものを手に入れた資本主義の申し子を、不穏な運命が待ち受けていた。その日、大統領のニューヨーク訪問を前に、街では大勢の市民がデモに繰り出し、床屋に向かったエリックのリムジンはなかなか目的地にたどり着けない。そんな中、人民元取引で壊滅的な損失を出したエリックの運命の歯車は大きく狂い始めるが…。

上記が映画データベースの記述である。

ジュリエット・ビノシュ、マチュー・アマルリック、サマンサ・モートン、ポール・ジアマッティ がそれぞれ気持ちよく力を存分に発揮しているように見えるのを画面に発見する体験は楽しいものである。ことに初めから誰が出るかも何の予備知識もなしに観はじめるとそのときその時思わず微笑みがでるのを禁じ得ない。 クールな主人公が現すのは80年代からミラ二アムを越してきた金融繚乱世界の一時的結末であるようなのだがそれも既存のエシュタブリメントが手綱を緩めたからであっていつも若者は走れるところまで全速力で駈け、躓き、それをどのように締めくくるかという青春譚の変種でもあるのだろう。 そこでの普通の人間ではあるけれど何かを持つのが散髪屋であって散髪屋に行かなければ、という強迫観念にもなりかねない想いは主人公の狂乱から日常(普通)に無意識にでももどろうとする営為なのだろう。 クローネンバーグの不気味、狂気というのはその人物像にあるのではなくて時代のその裏にあるものを感じるからそれを真摯に表現しようとする形がそれぞれの人物像の総体なのだろうと思う。 多くのことがリムジンの中で起こることが題名を示唆しているのだろうと思うし、社内のカメラワークとそこから出てビルやその他のロケーションに落ち着いた時のトーンの違いが際立っているようで終盤のポール・ジアマッティを査問する辺りに我々の見知ったクローネンバーグのおどろおろろしたムードが見られるのだが、それは特にそれまでの車の中でのシーンと対照されて興味深い。
 
もともとコスモポリスと名付けられた幾つもあるSFなりなんなりの映画には初めから陽気で明るい雰囲気を持たせている映画は殆どないのではないか、そこでは機械化・技術の進歩とそれとの人間の乖離や、或る(政治)力に圧迫をうける人間などといったパターンが多いように思ったが、本作では中国の株の暴落、というありそうな経済問題に翻弄され破たんする若年投資家というような姿を持っていているところに新しさがあるのだろう。 実際の投資の世界はおどろおどろしい要素が詰まったものと理解されていて本作の例はその中核的投資家ではなく成功した若者の蹉跌であるので経済映画ではなく単なるそういう設定だけであってあくまでこの青年にフォーカスが置かれているのはいうまでもない。
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