古典を読んでいました。
皆様は狭衣物語(さごろもものがたり)を読んだことありますか。
平安後期の作品で、その時代では歌人は源氏物語と並んで必読書とされていました。
源氏物語と似た恋愛小説です。
主人公は、美しい貴公子、狭衣(さごろも)の女性遍歴の物語です。
作者は紫式部の影響を受けた源頼国女(みなもとよりくにのむすめ)です。
狭衣大将が美貌の従妹(いとこ)源氏宮へのかなわぬ恋心を抱きながら、女性遍歴をする、悲劇と哀愁をはらんだ長編作品です。
冒頭の文章が当時では斬新なものと評されていますので少し紹介します。
『少年の春は惜しめども留まらぬものなければ弥生の廿日余りにもなりぬ』
少年の春を人は惜しむけれども、過ぎ行く時はとどまらないもので、
もう三月の20日過ぎになってしまった。
世間の人は狭衣のことを
「狭衣こそ末法の世に現れた、仏の化身ではなかろうか」と手をすり合わせ涙を流すほどだ。
狭衣に会う人は、誰でも我が身の心配も悩みもすっかり消えてゆく心地がする。
父母も狭衣が過ちを犯したとしても、
傷つけ、不愉快に思われるのが恐ろしく、決して逆らうような事はしない。
光輝く姿と、学問や書も勝れ、琴や笛の音は
鬼神も涙するというなどの才能をしめし、
一晩を、共に過ごした女たちは、暁の別れに身も心も消え入るような思いをし、袖口を涙で濡らすのだった。
しかし、狭衣の心は一途に15歳になった、素晴らしい美貌の源氏宮に恋してしまったのだった。
そんな時、美貌の源氏の宮を東宮(皇太子)がご所望になられるという噂が立ったため、心を打ち明けることができなく、切ない恋心を胸に秘めて過ごしているのだ。
出始めはこんな感じです。
古代も今も恋心は
切なくて、哀愁を感じますね。
秋の夜長に狭衣物語を少しずつ読んでいきたいと思います。
もうひとつ別の、
古代の人の感性を紹介します。
『秋風に
たなびく雲の
絶え間より
もれいづる月の
影のさやけさ』
(新古今集・左京大夫顕輔)
秋風に吹かれてたなびいている夜空の雲の絶え間から、月の光がこぼれ出ております。
なんと清らかな美しさでありましょう。
現代人もこのように
素直に肌で感じる心を
忘れないようにしたいものだと
反省しています。
古典を読むと
ほっとして、
見失った心を
取り戻します。
感謝
合掌
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