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2015年09月29日07:00

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ゆるゆるの西部劇だけどジョン・ウェインだから許せる、というのが今の評価だと思われる、ヘンリー・ハサウェイ監督「アラスカ魂」(1960)。

いや、imdbの特典が7点なので、前記の印象を持ったわけです。公開当時すでに、“ジョン・ウェインも年だ”と言われていた。だから大して評価されなかったけど(僕は公開時には見ていません)、銃撃戦よりも殴り合い場面が多いという、“平和な諍い”が今となっては受けているように思います。しかし2時間2分は長い。

物語は、ゴールドラッシュに沸く19世紀末のアラスカが舞台。サム・マコード(ジョン・ウェイン)は、友人のジョージ・プラット(スチュアート・グレンジャー)とその弟ビリー(フェビアン)と共に大金鉱を掘り当てます。念願かなったジョージは、3年も会わなかった婚約者のジェニーを連れてくるよう、大型掘削機械を買いに行くサムに依頼します。しかしジェニーはすでに結婚しており、困ったサムはジェニーと同じフランス系娼婦エンジェル(キャプシーヌ)を口説いて連れ帰る。しかしエンジェルは、サムに口説かれたと思ってついてくる、という展開です。

昨日、マイミクさんの“研究会”で見ました。スクリーンで見るのは初めてですね。
一攫千金を狙っている山師たちが、酒で憂さを晴らしていて、何かきっかけがあると殴り合います。そして“すっきりした”と笑顔で酒に戻る。この感覚がポイントの映画でした。スチュアート・グレンジャーという英国人俳優さんがちょっと異質な気がしましたけどね。←僕には中途半端なハンサムで、ジョン・ウェイン映画に合わない気がします。

それと“研究会”でしゃべったとき、キャプシーヌのことを“テキサス生まれじゃなかったかな”と言いましたが、これは僕の間違い。ちゃんとフランス生まれで、ジバンシーのモデルをしていて、この映画の製作者でもあるチャールズ・フェルドマンに見出されたとか。当初監督はリチャード・フライシャーの予定でしたが、フライシャーが“キャプシーヌは娼婦役に向かん”と交代させようとしたら、キャプシーヌが出たがって、フェルドマンは監督をヘンリー・ハサウェイに交代させたそうです。

僕は今まで(「ピンクの豹」を含め)キャプシーヌという女優さんが好みではなかったのですが、今回見るとけっこうエレガントでストライクゾーンでした。←最近はストライクゾーンが広すぎるけど、27歳のキャプシーヌはなかなか魅力的。日本人俳優で彼女と共演したおっさんが、しょーもないデマをしゃべっていましたが、よい子の皆さんは信じないように。なんせあのおっさん、死後の世界を見た人ですから。

ところでこの映画、アラスカはノームが舞台という設定ですけど、アラスカロケはしていないようです。サムたちが住んでいる小屋は、「勇気ある追跡」や「ネバダ・スミス」で使われた場所と同じだそうで。←ジョージたちの新婚ハウスは、この2作にはありませんが。

俳優では、女を見ると怒鳴り出すレナおばさんがキャサリン・フリーマン。「ブルース・ブラザース」でジョン・ベルーシとダン・エイクロイドを小学生みたいに叱りつけていた尼僧長ですね。20年後も性格は一緒や。そのレナのパーティーでエンジェルに言い寄り、サムに殴られるオリーがロイ・ジェンソン(写真3)。若いもので見間違えかと思いました。「組織」などで黙って立っているだけで存在感ある傍役です。あとはフォードやウェインの作品でおなじみの傍役さんたちがかなりいます。でも、ハンク・ウォーデンは出ていませんでした。寂しいな。

こういう、ゆるゆる西部劇の方が、CG合成がうるさいアクションより落ち着きます。それが時代の流れなら、時代の中心から身を引いてもかまわないとさえ思う。しかし本心では、今ならではの、現実社会のリアリティーと正面から向き合う映画を見たいと思っているのです。
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