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2015年09月13日06:38

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トニー賞を受賞したヒット舞台ミュージカルだそうだけど、シネマスコープの画面を16:9にして見せられたら全く面白くなかった。ジョセフ・L・マンキウッツ監督「野郎どもと女たち」(1955)。

NHK−BSで録画しておいた作品ですが、タイトル場面は上下に黒が入ったシネスコサイズなのに、本編になると16:9にトリミングしてしまいます。だから画面の両端に立った俳優たちが半分ずつ切れてしまうという妙な画面になったりする。こういうの僕は興ざめしてしまい、全く乗れませんでした。

物語は、ニューヨークで非合法の賭場を開催して儲けているネイサン・デトロイト(フランク・シナトラ)が、賭場の場所を確保しようと、名うての賭博師スカイ・マスターソン(マーロン・ブランド)に、救世軍のカタブツ軍曹サラ(ジーン・シモンズ)を誘惑してハバナへ連れだせるか?という賭けを提案します。ということでスカイとサラ、ネイサンと七年越しの婚約者アデレイド(ビビアン・ブレイン)ら、野郎どもと女たちの恋愛合戦が展開します。

作詞作曲がフランク・ローサーという人で、僕はこの中のナンバーをどれ一つ鼻歌で歌えません。ロジャース&ハマーシュタインのミュージカルなら、見ているうちに鼻歌で歌える曲が1つや2つあります。あるいはアービング・バーリンやコール・ポーターの曲なら、いつの間にか耳にして覚えている歌が多い。それがほぼ皆無のミュージカルって、ちょっと苦痛ですね。おまけに歌うのがマーロン・ブランドにジーン・シモンズですよ。

僕はジーン・シモンズが大好きですが、役どころが救世軍の軍曹ですから「黒水仙」の鮮烈な野性美は感じられません。後年の「大いなる西部」「スパルタカス」の毅然たる美貌も感じられない。せいぜい神経質になって服の第二ボタンをはずしてしまうあたりでニヤリとする程度でした(写真2参照)。ハバナでレスリングまがいの格闘を披露するあたり、もうええわ、という感覚。

やはり僕がこの映画で最重要要素だと思う、マイケル・キッドのスペクタクルな振付が、16:9のサイズに収めたため左右がカットされてしまい、それにいらいらして見ていられませんでした。ビビアン・ベインが美女ダンサーをずらりと従えて踊るシーンも同じ。こういう余計な“配慮”をするソフトメーカーって、嫌ですね。上下に黒味が入るのもテレビの常識からするとおかしいけど、だからって不完全なシネマスコープのほうがマシか?

最初、シナトラが主役のスカイを演じたかったらしいですね。だから撮影中、ブランドとはずっと犬猿の仲だったとか。マーロン・ブランドとジーン・シモンズが自分で歌っているらしいのですが、ゴースティングでよかったんじゃないかな。ブランドは“歌に合わせて撮影したから、リップシンクさせるために窒息しそうになった”とか言ってます。無理せんでもええがな。

それとすべてがセット撮影だというのも、僕には残念でした。ブロードウェイのヒット・ミュージカルを映画化する場合この手が多いけど、僕は映画を見たいのであって舞台を見たいのではありませんから。スタジオ内にタイムズスクエアを再現して、地下鉄の入口まで作ったからと言って、セットの雰囲気を楽しむ気にはなれませんでした。

やっぱり最大の問題は曲ですね。フランク・ローサーには「努力しないで出世する方法」という作品もあるようで、こちらもヒット・ミュージカルだと聞いているけど、映画化版は全く好きではありません。覚えている曲がない。←それに比べると「モダン・ミリー」は好きだな。“タピオカ”なんか、一回で耳に残ってます。

ジーン・シモンズの後見人役でレジス・トゥーミーが出ていたり(写真2)、ニューヨークの腕利き刑事ブラにガン役でロバート・キース、そしてナイスリー役でスタッビー・ケイ(写真3中央)が出ていました。スタッビー・ケイは後の「キャット・バルー」でナット・キング・コールと語り部役を演じて鮮烈でした。あのときより太っている気がするけど。ということで、2時間半は長すぎるというミュージカル大作でした。
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