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2015年08月22日11:44

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東京五輪のメリット

■現実には経済効果に乏しい2020の東京五輪

 
 最近の明るい経済のニュースとしたら、2020年に東京五輪の開催が決定したことではないだろうか?その経済効果は3兆円と試算されている。新国立競技場でひと悶着があったにしても、人々は何となく明るい方向に動くのではないかと希望を抱いている人が多いと思う。

 実際に3兆円の経済効果が出るとしても、オリンピックの開催まであと5年なので、1年当たりではたった6千億円程度の効果しか見込めない。日本経済はデフレで少しも経済が伸びていない。去年は491兆円だった。それと比較してもわずか0.1%程度。その程度の数字で、経済効果があると囃したてるのは殆ど意味がない。

 「五輪不況」という言葉をご存じの方もいると思う。五輪まではせっせとインフラを整備するから、景気は過熱気味になるが、五輪後はその反動で不景気になる仕組みである。1964年の東京五輪から2012年のロンドン五輪まで、五輪不況が当てはまらなかったのは1996年のアトランタ五輪の時くらいである。これは例外で、それまでボイコットの応酬ばかりしていたので、五輪自体が不人気で、インフラ整備は最小限だった。それでアメリカは五輪不況にならずに済んだ。ただし日本の場合、1964年の東京五輪の際、直後の1年だけは5.7%にまで落ちたが、その後は10%の経済成長を遂げ、V字回復している。

 ■生活インフラの整備の余地が少ない2020東京五輪

 しかし1964年当時と今は異なる。今は生活インフラが殆ど完成し、成熟しているので、画期的な社会基盤の整備といったことが考えにくい状態になっている。日本に限らず先進国ならば殆どがそうだ。

 1964年の東京五輪の際は10月1日に東海道新幹線が開通。五輪に合わせて開通させた。首都高速は1962年12月に京橋〜芝浦が開通していただけである。まだまだインフラの整備の余地がたくさんあった。大きな事業としてはリニアモーターカーだ。2020年の開通に間に合わないだろうかという意見もあったらしい。しかし推進したいJR東海ですら慎重だ。やっつけで造り、大事故でも起こしたら大変なことになる。そんな無茶はJR東海でもしない。

 2020年の東京五輪までに1964年の場合で見られたような庶民の生活に劇的に影響を与える画期的なインフラの整備はどうやら出来ないようだ。ということは経済効果で言えば庶民は無視しても構わないほどである。寧ろ五輪不況を招きかねないリスクの方が高くなってきているのが今の日本である。
 
 どうせやるならば、これから高齢化社会はますます深まるのは避けられないのだから、後になっても使えるインフラを整備して欲しいものだが、そうはならないだろうと前回の新国立競技場建設でのひと悶着では多くの庶民が考えたのだろう。個人的には新国立競技場の建設はあのデザインでやるべきだったと思っている。何しろ一度造ればずっと使えるものだし、またプロの方の意見として、一級建築士に言わせると、技術的にもかなりハードルが高いらしく、造れる国は日本以外には無いらしい。やることによって日本の建築技術はまた成長出来ただろうとのこと。

 ■意義を見直せるとき

 それでも震災で暗かった日本人の気分を多少なりとも明るくしてくれたのは間違いない。開催国の特権としては予選を免除される種目が多いことだ。このことによって、今まで中継など全くされなかった種目にもスポットが当たり、多くの人に関心を持ってもらう契機になるかもしれない。そういったスポーツの裾野を広げる効果はあるだろう。それこそまさに五輪の本来の意義につながるはずである。

 ■安倍政権が煽った「空騒ぎ」に興じるほど日本の大衆は愚か者ではない

 五輪不況と書いたが、過去の開催国ではアメリカのアトランタ五輪を除き、殆どが物価の上昇に苛んでいることだ。中でも酷いのがイギリスで、ロンドン五輪後、実質経済成長率を物価上昇率が上回っている。正に悪性インフレに近いのだ。

 日本の勤労者のうち73%は中小企業勤めである。この大多数の人達の間に

 「アベノミクスは自分達にとって、何一ついいことがない。」

 という認識が定着しつつある。景気条項なし(戦争や大災害は除き、不景気だろうが、好景気だろうが)で消費税増税を実施すると安倍首相は息巻いていたが、所期の予定だった実際最短で今年10月の消費税10%は延期になった。延期ではなく、撤廃にしてもらいたいところだが。生活を直撃する財政再建が無理であることは1997年の5%に消費増税した時点で分かり切って居るはずである。

 実質賃金の伸び以上に物価高が続き、名目経済成長率が高いという状態をあと5年も続くことはあり得ないと思う。そんなことを許すほど日本の大衆は愚か者ではないはずだ。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

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