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2015年07月23日02:25

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プロヴァンスを歩く(13) Belgentier  から Rocbaron まで 14km



2015年 5月 10日  14km   総計 126km

7時起床、手早く支度を整えて出発。 カンカン照りになりそうな日には日中午午後に距離を稼ぐのはきついので朝の光が弱いうちに歩き始め谷底の村から高くはないものの尾根に出て山脈を辿らねばならない。 カンカン照りの14kmは楽ではない。 斜面を登り始めて1時間かかってやっと登山に値する山道に出た。 それまでは傾斜がかなりあるといっても果樹園やオリーブ畑の縁を薬や水を撒く機械の音を聴きながら狭い石畳の農道を登っていた。 いつもの通り11時に小休止する。 ここまでで登りだけではこれまで十分汗として水分が蒸散していたものを補給する。  尾根からの眺めはよく、晴れた空の下南方には地中海に浮かぶ3つの島、イエール島、ポールクロ国立公園島、ルヴァン島が見える。 大体距離にして30kmぐらいだろうか。 幸いなことに登山道は木陰を通るところが多く、尾根道に出ると背丈ほどの灌木に覆われているだけで直射日光に炙られるので辛いけれどそれでも上り下りをしていると木陰の道も続くからカンカン照りでもなんとかなった。 尾根伝いにくるとローカルの中年女性のグループ幾つか見られた。 我々のように一切合財を担いで歩くのではなくデイパックや人によってはペットボトル一つで歩くものもいる。 どこかで他のグループと合流するのかもしれない。 山脈のほぼ終わりの峰は多分980メートルぐらいだったのだがそれまでに我々が2時ごろ昼食を摂ったあたりは1140mだった。 いつもそうなのだが登り始めてからそれを1時間ほど続けるのはきつい。  けれど尾根筋を歩いていて目の前の峰にたどり着くには50m急な斜面を下りまた向う側の急な斜面を50m登る。 すると先ほど眺めたところが反対側に見えるのだがこの峰はそこよりまだ50m高いから結局合計で100m登ることになる。 こういうことを1日に2,3回やれば1日の終わりにはエネルギーを消耗しているのは当然のことで、こういう時にはただ熱いシャワーを浴びたあと冷たいものを喉に通し旨いものを喰い大きなベッドで寝られればそれだけでいい。 単調な毎日であるけれどある種贅沢でもある。

山の上から見えていた村の端にある何と言うこともない新興住宅地に来てそこを抜けると村役場がある古くからある村の中心になり、そのあたりでヤープから聞いていたこの日の宿舎を探した。 ヤープは Belgentier からバスを乗り継いで既にその宿舎に入っているはずだ。 この宿はこの旅行中では飛び抜けて高いものだった。 素泊まりで安いものが25ユーロだとするとここは2食付きで一人頭110ユーロ(約14500円)である。 食い物に目のないヤープがミシュランの星クラスだといって探してきたB&Bで La Maison de Rocbaron と言った。 4時を周って入るとそこは豪邸の別荘のような佇まいだった。 英語を話すオーナーに家の中を案内されたあとヤープがプールのそばにいるからそこで泳ぐなりなんなりと、と言われヤープに合流した。 皆デッキチェアーによっこらしょと横になりダイエットコークの栓を抜き冷えたのを喉に流すとやっと一息ついた。 ヤープは明日バスでフランス海軍の軍港のあるトゥーロンに行きそこで整体師や医者にかかって膝と踝を診てもらうのだというからあと2,3日はハリーと家人の3人で歩くことになる。 ハリーの優柔不断さと方向感覚のなさは多少の時間のロスとなっても我々で地図はちゃんと読めるから心配したものでもなく今日1日で3人で歩くコツは少しづつ分かってきたようだ。

この日の夕食は長く記憶に残るものとなる。



前菜; 挽肉の大蒜味、甘く炒めた玉ねぎ、焼いてマリネにした茄子

主菜; カリカリにローストした皮付きの野鴨の胸肉、オリーブオイルで炒めた青無花果添え、プロヴァンス産赤米のリゾット風

チーズ3種;ブリー、ヤギのチーズ、ブルーチーズ

デザート; 自家製ヴァニラアイスクリーム、パイナップルのバター焼き、コーヒー、ティー

間には各種地元の赤、白、ロゼのワインが供された。 自分は期間中は酒絶ちをしているので残念ながら舐めるだけだったのだがどれも旨いものだった。

このあたりの習慣かオーナーが一緒に食卓に就き我々のホストを務め一緒に食事をしながら様々な会話を楽しみ場を進める。 ホステスは表に出ず隣の整ったキッチンで料理を作りホストと一緒にゲストに提供する。 当然我々が口にする料理と同じものが彼女の口に入っているのだからそれにより味をチェックしているわけでホステスの視覚、味覚、が直接我々5人分に反映していることになる。 このような高級レストラン並みの食事を誰にも邪魔されずにゆったりとした食堂でほぼ3時間に亘って行うというのは贅沢である。 破格の宿泊料といっても後々まで残る味は今まで一食だけに14500円払った以上の味だったからヤープが見つけてきたこの宿は贅沢で格安だったとも言えるだろう。

幸せな気分で眠りに就いた。
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