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2015年07月16日08:18

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モンテーニュの言の葉(7月16日)

「運命は人に幸福も不幸も与えない。与えるものは種のみ。」(モンテーニュ、フランスのモラリスト)


 人の運命はそれぞれ個人の運命と云いながら、肝心要のことは何一つ分からない。自ら命を断つ場合は別として、一体いつ死ぬのかも分からない。どこからどこに行くのかも分からない。ただ貧者も資産家も確かなのは、訳の分からない暗黒のようなところから出てきて、また人生を終えると訳の分からない暗黒に還って行くことだけだ。

 スタート地点も不平等だ。ある人は資産家の子どもとして生まれるが、ある人は貧しい家庭の下に生まれる場合だってある。

 同じ人間と云いながら、特徴も能力も全く違う。

 誰しも能力の無さを先生、先輩、或いは会社の上司に指摘され、酷く落ち込んだことはあろうかと思う。

 ノーベル賞を取った山中氏は学生の時は助手をやらせても足手まといでしばしば「邪魔ナカ!」と罵倒されたという。

 しかし・・・それでも取れたのはなぜだろうか。

 同じ努力をするのでも、実務能力を上げるのは勿論必要だし、彼は当然やっただろうが、最も力を注いだのはパラダイム転換ではないか。コンプレックスを抜けだし、それを力に変えてしまう考え方を身に付けたのだろう。

 物事を旨く出来ないからと言って嘆くことは無い。表面的にはマイナスでも、別の面から見たら何でも無いし、場合によっては有利に働くかもしれないのである。

 山中氏は散々罵倒されたため、「出来ない人の気持ち」が分かるのだと思う。実際、彼の授業では失敗は叱らないが、その分、その人の人間性を疑うような行動には厳しく叱りつけるという。特に遅刻した生徒にはとても厳しいと聞いた。

 彼のように欠点までも力に変える生き方は、松下幸之助さんもそうだ。

 彼は後年成功の秘訣についてインタヴューされた。インタヴュアーは、彼のヒロイックな答えを期待していたが、その期待は見事に裏切られた。しかし幸之助さんの答えがふるっていた。

 「学歴が無かったこと、身体が弱かったこと、そして貧乏だったこと」

 インタヴュアーは「それはなぜですか?」と聞くと

 「学歴はないから、知恵は無い。でもだから誰に対しても聞く耳が持てた。
身体が弱かったからこそ、他人の能力を信じて任せるしかなかった。貧乏だったからこそ、一生懸命働くことが出来たし、安月給でも感謝出来たのだ。」

 モンテーニュのこの言の葉に続く言葉があるとしたら、

 「それを理解するためには、兎に角人と比較することは止めて、多様な視点を持つこと」

 ということになるだろう。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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