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2015年07月14日16:22

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歩いていると市庁舎前で記念写真を撮っていた




土曜マーケットのそばにあるカフェーでビールを一杯飲み、そこから1850年代に幕府派遣のサムライが歩いたこともある通りに出ると市庁舎の前の階段には結婚式を済ませて晴れの記念撮影をするために参列者たちが並んでカメラマンの指示に従って立っていた。 こんな天気のいい日には皆陽気で通りを行き交う人々も歩を停めてこれを眺めていたりそこにカメラを向けたりする。 自分もその一人だ。 今の時期、夏休みに入り徐々に世間の忙しさは緩みバカンス気分が充満しているこのような上天気の週末には誰もが多少とも気分が高揚している。 5月の後半から今頃にかけて結婚式の記念写真を撮るのには最適の季節である、と普通には思う。 けれど写真を撮るには光が少々強すぎるかもしれず静かな写真を撮るには春や秋の方がいいかもしれないけれどそれは写真の側からの話であって当人たち、周りの者にはやはり今の天気が一番だ。 だから殆ど毎週入れ替わり立ち代わり行われる結婚式とそれに続く記念撮影の一つでもある定番のここでは一年に少なくとも200回は繰り返されているだろう。 自分でも1年に5回近くは通り過ぎざまにこういう場面に行き当たる。 けれどいつもいつもカメラを向けるわけではない。 

だれもこういう処に行き会いこういう光景を見ると自分や友人、身内の、また義理で陪席した結婚式のことを想うに違いない。 自分の結婚式はハーグに隣接する町の17世紀に生きた詩人、外交官、文人、作曲家であった人の屋敷で済ませ、式の後このような写真はあるけれど季節が12月で鬱陶しく寒かったこと、それまでに日本では式を済ませていたから日本側からは身内の誰も出席しなかったこから数も25人ぐらいではなかっただろうか。 だから同じ写真であっても冬に撮られるのと春、夏に撮られるのではその印象に大きな違いが出てくるのは否めない。 そしてその後のカップルの運命がどうなるのかはこの時の天気が保証しないのは言うまでもないことではある。 

ここに並ぶ人たちを見ていてこれは平均的なオランダ人の家族だと思う。 同時に平均的でもないといえることもある。 服装からいえばオランダの平均のものだ。 けれど何か田舎の結婚式の記念写真のようにも見える。 けれどここは人口11万ほどの町で田舎とは言えない。 新郎新婦には二人の男の子がいて新郎は40半ば、新婦は40前、こどもたちはもう少しで中学校に上がる頃だろうか。 新郎の母親がいて新郎の妹、弟もいる。 新郎の方のオジ、オバ、いとこたちがかなりいるけれど新婦の両親、兄弟は見えない。 彼女のオジとその連れ合いが何人か散見する。 あとは友人、近所の人たちだろう。 新婦はスラブ系の人なのかもしれない。 平均的であり平均的でないという理由がここにある。 町のなかでは人種の混合がかなりみられるけれど地方ではそれが少ない。 ベルリンの壁崩壊前後から旧東欧からスラブ系の流入が雪崩を打って西ヨーロッパには多く見られ、労働市場でもポーランド人に見られるように新移民としては教育程度が高く文化的にも問題の少ない人々の移住に伴って時が経つにつれて新移民との婚姻も増えているのはここに見られるように当然のことだ。 

自分がこの20年来ここで見てき接してきたカップルでは白人新郎、有色人新婦というのも見られるし有色人新郎、白人新婦という組み合わせも見られるけれどそれでも比較するとここに見るように白人カップルの方が優勢だという印象がある。 日々屡々ここを通り過ぎ、自分でもこの階段を上がって右にある大理石を敷き詰めた結婚式用の広間で知人の式に参列したこともあるけれどそのかなりがこのようなものだった。 白人、有色人と書いたのは、この町に住む人のパスポートを集めれば世界の国の殆どのものが集まり、オランダ国籍と言ってもその皮膚の色、顔貌からは判断できにくく結局は話してみなければ分からないからだ。  

人は外見で判断しがちであり、それは一方では分からなくもないことでもあるけれどそこに落とし穴もあることも確かだ。  人は日々生活する環境に影響されそこで得た情報を基にして判断する。 それでは人の中身は外からは判断できない、というのは本当であるかもしれないけれど人はどのようにして人々の中身を知ることができるのだろうか。 それは当然彼らと話し接してしることになる。  

色、形に興味を持ち写真を撮るものには顔、表情、姿かたちがシャッターを押させる動機となる。 押して写真ができたものを見てそれから何が分かるのかを考える。 そしてそこから想像したものを自分の経験から多分そうだろうと暫定的に設定しそれが違うと指摘されるまで真とする。  写真とは真を写すと書き、写されたものは真だと誰かが考え、光がなすもの、画、と考えた者もいた。 自分は人と話すことなく見たことの判断でここに写されている人たちのことを書いた。 けれどそれを確かめる術はない。 
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