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2015年07月10日05:35

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妙な車に狗



スーパーの前にあるガランとした駐車場に妙な車が停まっているので普通ならわざわざそんなところに行かないのに他に予定もなく暇なものだからノコノコ寄って行って眺めていた。 トラックだというのは遠くから見て分かっていたけれど何か座高が高い。 後ろの部分に入るには梯子を登らなければならないようなものだ。 それに車輪とキャタピラーが付いていればそんな車はこういう所では使わない。 車輪は地面から数センチ浮いていているから妙だなと思って横に書かれた文字を見ると地質技術環境調査会社と書かれていて隣町とアムステルダムが会社の住所となっている。 会社名のロゴの f は剣のような形で下に刺さっている。

自転車を停めて後ろに廻り、覗くというよりそのまま立って見ているとその箱の中に男が二人計器が詰まった空間で油圧コンプレッサーを操作している。 赤いコードが入った長さ1m直径5cmほどの鉄管が垂直に地面に突き刺され、鉄管が下に降りると繋がったコードの入った次の鉄管を前の鉄管の上にねじ込み、そうするとコンプレッサーが上がってきてきて新しい鉄管を掴み下に鉄管を押し込むというメカニズムのようだ。 しゃがんで車輪の間を見ると敷石を一つだけ取った穴に鉄管が入っていく。 そういうのを5本か7本ほど下に押し込むのを見ていたのだがそのうち一人がこちらを見て退屈な仕事だ、と言った。 今日はここは56mだと言う。 なぜ60mでもなく50mでもなく、また55mでもなく56mなのだか分からないけどそれには何かちゃんとした理由があるのだろう。 ここはもともとライン川の砂地でとか何とか言っているけれど機械の音がやかましくてはっきり聴こえないからもういいと帰ろうとして向うを向いている若者の首をみればそこに「狗」というタトゥーが見えたので手招きして、なんでイヌなんだ、と尋ねると急に笑顔が破れ出て、犬が二匹いたけど一匹が死んだからそれを覚えておくのにいれたんだ、中国に動物が年の順に12並んでいるのがあってそこにイヌがあるので入れてもらった、ちゃんとこの漢字がイヌだったと分かって嬉しい、と言った。 なるほど彫師はイヌだと言ったけれど自分はそれを確かめる術がなくぼけーっと自分らの作業をみている東洋人がイヌだと言ったからそれでやっとイヌだったと分かって喜んでいるわけだ。 

広場になったようなところに停めてあった自分の自転車の方に他の車が来たからこれを機会にそこを離れたけれどその後で自転車を漕ぎつつ、さて、十二支のイヌは「戌」で「狗」ではなかったのではないか、「狗」というのは何か獣のニュアンスがあるとも思い、屈託のないまだ少年を残したような青年の小さなペットにはそぐわないような気がしたのだがそれでもこれから少しは野生性も出て逞しくなっていくだろうその青年には合っているかとも思い納得もする。 
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