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2015年06月07日01:41

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ザ・ラストウォー

■現実味を帯び始めた「ザ・ラストウォー」

 先日休日に落合信彦氏の近未来シミュレーション小説・『ザ・ラストウォー』を読んだ。一体どことどこの国が戦端を開くのかと言えば、誰も触れないことだが、第三次世界大戦は米国と中国の軍事衝突から始まるということだ。

 以前名前もイニシャルも明かさないことを条件にお会いした元防衛省、自衛隊に近しい人からもほぼ同様の事をお聞きした。落合氏も中国VSアメリカから全アジアが戦火に見舞われる危険があることをこの小説で警告している。シナリオはもう過ぎてしまったが、北京五輪直前の中国が有頂天になっている状態で、アメリカが戦争を煽る謀略をめぐらす。その挑発に乗った中国が凋落著しい日本を調略(たらしこみ)し、内部切り崩しを図る。結局日本は米中衝突にアメリカに与しない態度を取る。一方、韓国はこの時既に親中国となり、アメリカから離反している。小説そのものは米中衝突が中国有利下だが秒読み段階で終わって居る。

 「読者がその後は想像してくれ」ということなのだろう。

 外れたのは北京五輪ということ、日本の安倍内閣がアメリカに一蓮托生の態度を見せているところだけ。
 
 中国はその一方でAIIBに有頂天になっている。韓国が親中国家になっているのはこの小説と同様だ。中国はAIIB設立に対し、韓国人を副総裁にすると匂わせた。しかし現実にはそんな気はさらさらなく、韓国は良いように利用されている。この点も良く似ている。中国の習近平は安倍総理との会談でAIIBの参加を促したが、安倍総理は不透明さに参加しないと無碍には言わず、見合わせると答えている。自民党には福田元総理のように親中派もおり、必ずしも一枚岩ではない。よく踏みとどまったと言えるだろう。

 この中国がお山の大将気どりで有頂天になった今、危険なゲームに出たようだ。

 南沙諸島の珊瑚柵を次々と埋め立てて、3000m級の滑走路を建設し始めた。中国外相の王毅(ワンイー)はアメリカの国務長官のケリーに対し、

 「国際法と歴史的に見ても、南シナ海は中国のものだ。」

 と言い放った。これにはさしもの中国に弱腰のオバマ政権も黙っていなかった。直ちに米海軍がこの施設の空撮写真を全世界に公表し、国防総省は軍の派遣も検討し始めた、という報道が出た。

 中国はこれまで経済的に依存してきているフィリピン、ベトナムが反撃しにくいことをいいことに、埋め立てを急ピッチで進めて来た。

 今まで中国に弱腰だったアメリカがここまでシビアな対応に出始めているのは、南沙諸島を中国に奪われてしまったら、太平洋に直行出来てしまう。これはアメリカが安全保障の重心をアジア・太平洋に置こうという「リバランス」という戦略を揺るがすことになるからだ。

 5月18日、横須賀に停泊中だった原子力空母・ジョージ・ワシントンが出港した。予定では、2、3カ月後にサンディアゴにいるロナルド・レーガンと交代するかららしいが、たかがその程度のことに、2、3カ月もかかるのだろうか。どう考えても掛かり過ぎである。では、他に理由があるのか?

 実は、南シナ海に行くのではという憶測も流れている。ただし、空母には護衛艦などフリゲート艦、戦艦も引き連れて行動するのが普通だから、単独で向かう可能性は低い。が、サンディアゴにいる空母・ロナルド・レーガンがトモダチ作戦で活躍したF−18スーパーホーネットを大量に搭載して、南シナ海に行く可能性は低くは無い。そうなれば軍事的緊張は一気に高まる。

 アメリカは第一次オバマ政権時には騙されても中国大陸の市場は魅力だから利用したいという空気が蔓延していた。が、今は散々騙されてきたことに気付いたのではないだろうか。ケリー国務長官は与野党からしばしば指摘される親中派だが、その彼ですら、警戒を募らせている。

 ■「ザ・ラストウォー」は意外と呆気なく起きる

 中国の王毅外相は「南シナ海の80%は中国のものだ。」と強弁を弄している以上、米軍が入ってくれば、すぐさま反応を示す可能性が高い。知り合いの中国人留学生にお聞きしたが、現在人民解放軍の主力は一人っ子政策で「小皇帝」のように甘やかされた世代。しかもこの世代は好景気しか知らない。逆上せ上った人間が多いとのこと。そのパイロットが英雄気取りで中国の最新鋭ステルス戦闘機・J−20に乗り、アメリカの空母に爆撃をしかけようとすれば、一気に戦端が開かれる。

 だが、幾ら何でも中国軍と米軍とでは武装度が違いすぎる。中国のウクライナから購入した中古の空母・ワリャーグを改造して建造した「遼寧」は友邦国のロシアからも「これで戦争しようものならば、ギャグだ。」と馬鹿にされているありさまだ。何しろ夜間離発着が出来ない空母など聞いた事が無い。もう一隻は建造中と聞く。

 J−20にしても、アメリカのF−22ラプターとは比較にならない。元自衛隊の田母神氏によると、今の空中戦は嘗てのパイロットの腕前に期待するドッグ・ファイトによるのではなく、ネットワークの充実さで勝敗が決まるのだという。スクリーンには無駄な表示は全く出ないようになっているらしい。

 いくら弱腰大統領に率いられているとはいえ、兵員の質、武装度ではアメリカに勝てないことを習近平は思い知るようになるだろう。

 ■ザ・ラストウォー、その時尖閣を自前で守らねばならない日本

 安倍総理は頻りに「米国の戦争に巻き込まれることはない。」と言っている。そんな虫の好い話を信じている人は多くないだろう。南沙諸島で戦端が開かれれば、日本に当然後方支援の依頼は言って来るはずだ。間違いなく、日本とフィリピンは後方支援の主役になる。

 ということは、中国に攻撃される可能性はゼロではない。

 ただでさえ今の日本には中国の公安部、国家安全部の人間が入り込み、留学生を集めては情報収集に余念がない。いざ、戦端が開かれれば、国会議事堂、駅、空港などでテロが起きる可能性は多分にある。
 
 もっと別の危険もある。

 中国が別働隊を率いて、尖閣上陸を企てる危険があるのだ。

 実際、民主党の菅直人内閣の時、東日本大震災が発生し、菅総理(当時)は、陸上自衛隊11万人(ほぼ全軍)を東北に指し向けた。これにより、北海道と西日本は防備がガラ空きとなった。アメリカが慌てて、五島列島に空母を派遣し、大規模な軍事演習を行い、中国を牽制したことがある。あの時も、もしアメリカが軍事演習をしなかったら、震災の混乱に乗じて中国が勝手に上陸してきた可能性は高い。

 しかも南沙諸島に比べて、尖閣諸島はアメリカにとって、軍事的にそれほど重要でもない。水際では日本が撃退しなければならないことになる。

 今からでも遅くは無い。日本は「尖閣をどうやったら中国から守れるか」という議論を喚起すべきではないだろうか。

 南沙諸島の紛争に日本が巻き込まれるかどうかよりも、今やいつなのか、そこまで問題は切迫している。

 米軍基地周辺住民の自分としては、基地が中国の兵器で攻撃されることも視野に入れ始めている。

 週末のお寛ぎの折、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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