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2015年05月29日01:54

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プロヴァンスを歩く(6) Aix en Provence で小休止



2015年 5月 5日 

5日の朝、他の3人と Jouques で別れ、一人バスで Aix en Provence に向かった。 これから3泊するホテルとその周辺、観光地でもあるこの町の景観は前もってグーグルマップスとストリートビューで見てあったからバスが町に入ると急に来たこともないのに見たことがある通りに入ったので驚いた。 そこはホテル Globe の通りだった。 停車のボタンを押そうとするとバスはもうそこを通り越してそのまま終点の方向に進み、左足の膝が痛むのであまり長く歩きたくはなかったけれどバスターミナルは街の中心地に近いこともあるのでグーグルマップスの記憶をもとにそのまま終点まで乗って行った。 それまで毎日15km以上山坂を歩いていたから足が痛むといってもホテルまで1kmというのは何でもなく、それにこの街はプロヴァンスの都会でもあるから御上りさんの気分にもなり、見るもの全て物珍しく一人のんびりきょろきょろと杖を突きながらバスターミナルからホテルの方に大通りを向かうと400mほど行くと中心に大きな噴水のあるロートンデと呼ばれる周回交差点があり、そこには都合のいいことに大きなツーリストインフォメーションセンターがあったのでそこに入って英語で尋ねると、たどたどしい英語でオバサン係員がどっさり英語とフランス語のパンフレットをくれた。 国籍はと訊くので日本と答えると日本語のものを呉れたのだがそれにはポール・セザンヌゆかりの町であり彼のことがことが細かく書かれている観光案内だった。 よく見るとホテルの近くに彼にまつわる場所が幾つも示されているので後でそこを散歩がてら廻ってみることにしようと決めた。 日本から来る観光客はセザンヌがらみがほとんどなのだろうと想像した。 もし歩けるならば明日セザンヌが何枚も描いたサント=ヴィクトワール山に登るはずだった。 そこが今回のGR9のルートになっているからだ。 明日皆で山の北側の麓まででかけるのだがその麓というのは3人が今朝Jouquesを出発して夕方到着することになっている場所なのだ。 彼らはそこからバスで夕方このホテルに来ることになっている。 彼らにとっては明日の朝またそこまでバスで行きその麓から頂上をめざし山の稜線を6kmほど歩いて南側に下りてPuyloubier村からまたこのホテルに戻ってくる。 そして明後日はこの街で休憩と洗濯の予定になっている。

ホテルはその噴水から600mほど歩いたところだった。 ホテルの近くにセザンヌが結婚式を挙げた教会があるのだがそこを通り越してホテルに入り取敢えず午前中でもあるけれど事情を話しあとの3人は午後に着くことを言ってチェックインし自分の部屋のカギを貰い部屋に落ち着いた。 2週間の旅ではあるけれど連泊するのはここだけで、それは2週間の中間で洗濯日が必要だったからでもある。 リュックサックの限られた重量と容量では1週間分の衣服しか詰められないからこうなるわけで下着から上に羽織るものまですぐ乾き軽くて嵩にならないものを選んである。 それらは日頃身に着けるものとは少々趣を変え、綿を避けて、いわばジョギングウエアと同じ化繊のものが中心だ。 幸いこの期間中天気はよかったので寒さに悩まされることはなく流れる汗で日陰で冷たく感じるぐらいだけだった。 いずれにしても下着と靴下は洗濯する必要があり、ホテルのすぐ近くにコインランドリーがあるのを歩きながら見ていたので時間と距離を無駄にすることはなかった。

エクス・アン・プロヴァンス観光局公式サイト;

http://www.aixenprovencetourism.com/ja/

このサイトには街のあちこちが360度回転して見られる写真があり、上に書いた周回交差点もある。 けれどそのなかの Place des Precheurs という青空マーケットが出る場所では今回の旅行の救いの神ともなった店があってそれが写っている。  L’ORTHOPEDIE という骨・関節・筋肉の運動器系に問題のある人のための助具などを売る専門店なのだが、このあたりを歩いていて角に薬局が見えたから入って運動の時に使う膝のサポーターを買おうと思い女性に英語で話しかけてもなかなか通じない。 ようやく分かる人が出てきて持ってきたのが包帯でそれでは話にならないと話を繰り返すとここにはないから隣に行けという。 隣に行くとそこは化粧品店で話を繰り返すとそれは隣だという。 なるほどその隣のショーウインドウにはそういう専門店に見え幸いなことに店の年配の主人は流ちょうな英語を話すので話はとんとん拍子に行き巻尺で膝周りを測ってもらい適当なのを選んで身に着けてみた。 すると不思議なことに今まで悩まされていた痛みがどこかに消えて杖を置いてピョンピョン飛び上がることもでき、その主人も驚くほどだった。 これがなければここで自分の徒歩旅行も終わっているはずだったものがこれで一度に希望が湧いた。 それに加えてこれまで山登りで汗が流れ眼鏡がずれるのでフィットネスでも使う眼鏡を留めておくコードのようなものを訊ねるとスポーツ用具の店は旧市内にはなく、そういうものは皆郊外のスポーツ用品量販店か眼鏡屋だと言われそれは後日探すことになる。 

言葉の不自由なところで意思が通じるというのは安心するものだがこれでもフランス人は英語を話すようになったと思う。 35年前はほぼ絶望的だった。 それでも25年ほど前パリでは夜中に街を歩いている時警官と英語で立ち話ができるようになり楽になったと思ったけれどそのうち田舎でも大型スーパーでは店の責任者は英語を話すようになり観光地なら今は少々の不自由はあってもほぼ英語は通じるのではないか。 今回の旅では自分を除く3人はフランス語が自由にできるからこちらは何もしゃべる必要がないから楽ではあるけれど一人きりになると相手の言うことは朧ながら分かってもこちらからは話せないから困る。 だから押し付けるようにして英語でフランス語の分からない外国人で通すしか仕方がないわけだ。 それでもないも喋らないよりはよっぽどいいので話し続けることだ。 まだ日本語で押し通したことはないので分からないけれどそれでも黙っているよりはましなような気がする。

膝にサポーターを着け足取りも軽く市庁舎の前の小さな広場から路地を抜けて長方形のだらだらと少し坂になっている広場に来た。 Place des Cardeurs というらしい。 レストランが集まっているので昼食にパスタでもとそんな一つのテラスに座った。 メニューを見るとリゾットがあったので海のものが入ったものを注文して白ワインでもと思ったけれどこれだけ足が軽ければ明日からのあと半分の徒歩旅行も続行できると思い酒は止めて炭酸水のボトルを伴に旨いリゾットを口にした。 夕方他の連中とホテルで合流して夕食にまたここにもどってくることになる。

細い路地を抜けてセザンヌの家族が冠婚葬祭に使った教会がありその前が彼が絵を志す前に通っていた大学の法学部の建物だというので行ってみた。 今の大学は味もそっけもないコンクリートの箱に教室があるだけのものが多いけれど古いヨーロッパの町には古くからの建物があって味わい深い。 機会があればいろいろな街の大学の建物を観たけれどこの建物も味わい深かった。 隣には多分大学院であろうと思われる政治政策・経済研究部の静かな佇まいの建物があったので由緒ありそうなドアを潜り中庭に出てみれば少人数用の講義室から講義の声が聞こえていた。 このような大学の建物で学問を修めた若者と味気ないマスプロ教室から押し出されて世の中に出る若者の質には違いがあるかないか入れ物だけでは中身は判断すべきではないのかもしれないけれど日常こういう環境で生活する若者の方が将来への希望を育めるような気がする。 掲示板には講時間表が小さく出ているだけであることからすると上級コースの建物のようだ。 

セザンヌゆかりの様々な場所を歩き回ることでこの街の旧市街を見ることができて都合もよく5時を周ってホテルに戻ってみると他の3人が到着していた。  彼らがシャワーを浴びた後皆で街の中心に出かけた。  自分にとっては2回目で何がどの辺にあるか大体分かるようになっていた。 旧市街はそんな小さな地区にある。 ホテルから300mも離れていないようなところにほとんどがあるようなところだ。 ヤープは食い物にはうるさいほうで夕食のレストランは粗方頭の中に入っている。 古いミシュランレストランガイドのページを破って手帳に挟んでありこういう旅だから星のついているところにはいかないけれどガイドのお勧めレストランに目星をつけてそこに行くというのが方針だ。 皆彼に任していると楽なことは楽だからぞろぞろついていく。 この日はノルマンディー風料理屋の Le Poivre d'Ane というところでそこは昼に食事したレストランのすぐ近くだった。 

http://www.restaurantlepoivredane.com/index.php?PS=0

昼食事したレストランのテラスにならんでここのテラスもあるけれど小さなレストランの中のテーブルに落ち着いて37ユーロのセットメニューを選んだ。 突き出しから前菜、本菜、デザート、コーヒーと料理は旨いものだったが客が多かったからか時間がかかり3時間近く居ることになった。 昼買ったサポーターのことを話していると皆はホテルからここまで歩いて来たのを観察していてちゃんと歩けることに驚き、明日の1100mサント=ヴィクトワール連山登攀が実際にサポーターの効果があるかどうかのテストケースになると言った。 明日のことがあるので早々に宿に戻り就寝。 10時半だった。
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