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2015年04月19日22:08

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椎名林檎と中村敦夫と愛川欽也

 ♪ 時よ止まれ 何ひとつ変わってはならないのさ

 朝、新聞を読んだあとに椎名林檎の「青春の瞬き」をYouTubeご本人のチャンネル(SheenaRingoVEVO)で聴く。もっとクリアな音で聴きたくなったので、アマゾンでこの曲だけダウンロード。



 読まないといけない本と原稿があるので、罪悪感めいた気分を抱きながら中村敦夫の『簡素なる国』を読み始めた。「第一時限」(同志社大学院での講義録を基にしている)は彼がこれまで辿ってきた道を30ページ弱で語る個人史なのだが、もうこの時点で思想と生き方に共感。「第二時限」は世界に於ける戦争について乱暴にも20ページでまとめあげ、現在のアメリカがいかに欺瞞に満ちた国家であるかということを語り、「第三時限」では環境破壊に於ける氏の歴史認識を示す。独自な史観と知のパースペクティブと冷めた諧謔がちりばめられていて、こういう講義を中村の口から聞かされた院生はさぞや楽しかっただろう、と羨ましくなった。自然環境の有限性を明かし、仏教の教えをベースに人類はいまこそ「小欲知足」に向かうべきだという提唱をを14章にわたって説く教えを、自身、もっと身につけたい、と激しく思う。図書館本だが、本棚に置いておきたい気持ちだ。椎名林檎と同様、この本もアマゾンで買うかな。
 
 愛川欽也さんが亡くなられ、夜、日テレ系の「バンキシャ」というエンタメなニュース番組で30分近く特集されていた。「昭和9年会」仲間の大橋巨泉と森山周一郎がゲスト出演して愛川さんの思い出を語っていたのだが、静かなる感動を覚えた。仕事をすることについて、友情について、死ぬということについて……。昭和9年会で最も喋るのが過日亡くなった長門浩之さんと愛川さんで、この二人が討論を始めると巨泉のようなお喋りタイプでも口を挟めなかったという。で、巨泉が「天国で浩之とまたいっぱい喋ればいい」と言ったのだが、その言葉にストンと合点がいった。理由はわからないのだが、「死んでも人は生きている」というきれいごとを耳にするたび、(そんな馬鹿な話があるものか)と反発を覚えてばかりいたのだが、そうか、こんな風に人は死んでも他人の記憶のなかで生き続け、さらに天国でまた再会できるって信じられるものなのだ、と素直に思えたのだった。私は愛川さんがMCのテレビ番組を見ていないし、彼が出演したり監督を務めた映画もまったく観ていない。にもかかわらず、野澤一が言うところの「なつかしい」という、人を讃えるときに涌き出る温かな感情を覚えた。愛川さんも、彼の仲間の昭和9年会も、そのもっと前に生まれた人も後に生まれた人も、すべてなつかしく思う。
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