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2015年03月26日00:03

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ありのままで 〜5〜 大歓声

最終回、こんな甲子園の雰囲気はいつ以来だろう。

あの時とは状況も観客数も立場も違う。だけど、ボクはあの決勝戦を思い出した。

中京大中京と日本文理との決勝戦・・・・・大差でリードされていた日本文理は9回2死走者なしから1点差まで追い上げたなおもチャンスは続いていた。しかし・・・・

最後の打者が放った打球は3塁頭上を襲う強烈なライナー、これを中京の3塁手は好捕し試合は終わった。あのときの雰囲気・・・・・

判官贔屓の精神が残る甲子園では数々の記録を持つ中京よりも県勢として初めて決勝戦に進んできた新潟代表の日本文理の粘りに球場全体が異様な空気に包まれた。

あのときの雰囲気・・・・


最初に書いたようにあの時とは状況も観客数も立場も違う。今日の試合は1回戦、平日のセンバツが満員になることはない。しかも、その雰囲気を作っているのはリードしている松山東のほうである。

だけど、ボクにはそう見えた。

春は82年ぶりの出場となった松山東。旧制松山中学からの歴史を持つ県内トップ校であり、またベースボールを野球と名づけた正岡子規によって県内最古の野球部が発足した歴史あるチームである。戦後松山商業との統合があり、夏の大会は一度の優勝という記録も有している。

その松山東が21世紀枠で出場した今年のセンバツ。旧制和歌山中学の桐蔭とともに戦前からの野球ファンはこの大会を楽しみにしてきたはずだ。試合の相手は二松学舎、夏目漱石は二松学舎に学び松山中学の教壇に立ったことから、坊ちゃん対決とも言われたこの試合。

大会前の予想ではもちろん昨夏1年生バッテリーで甲子園を沸かせた二松学舎の経験が試合をより優位に進めると見られていた。しかし、シーソーゲームの中で最後の守備についたときには松山東が1点リードしていた。

先頭打者を打ち取ったものの次の打者はエラーで出塁。さらに3ボールノーストライクとなると、俄然二松学舎は活気に包まれる。その後だった。

空席の目立つ甲子園の中でそこだけは異次元であるかのように見える3塁側アルプス、入りきれない観客が内外野まであふれ出ている。そこから亀岡コールが沸きあがったのだ。

そう、あの日本文理のときのように・・・・

松山東のエース亀岡君はそこからストライクを2つ取り、内野フライに打ち取った。2アウト、しかし、次打者には内野安打を許す。亀岡君のグラブをはじいたボールは遊撃手の前で止まってしまった。2死1・2塁。

ほとんど初出場のようなものである松山東は経験豊富な二松学舎に追い込まれたように見えた。しかし、3塁側からの大声援は止まない。それに後押しされるように亀岡君は最後の打者を2塁ゴロに打ち取った。

ボクは年度末の繁忙期で会社近くのサウナに泊り込んで4月4日の土曜日まで家にも帰れない。高校野球を見るのは1時間の休憩時間にマンガ喫茶で見るだけだ。今日はこの9回裏だけを見た。

試合終了後その経過がビデオ映像で流れ試合の概要を知ることができたが、それよりも堀内監督のインタビューがとても印象深い。監督としてではなく自分もOBとしてうれしいと満面の笑顔で語った。


公立の旧制中学からの進学校、優勝経験もある。そして21世紀枠での出場。そんなチームに私学が負けた。

しかし、それでも二松学舎のエース大江君は16もの三振を奪い、4番の北本君は本塁打も放った。だから決してその敗戦は末代の恥ではない。

試合の結果を超えて、野球って素晴らしいんだということを堀内監督のあのすばらしい笑顔が教えてくれたように思う。


2015年3月25日 第87回選抜高校野球大会 第5日第3試合1回戦(於 阪神甲子園球場)
松山東
000 202 100 = 5
000 103 000 = 4
二松学舎

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