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2015年03月24日09:06

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ありのままで 〜3〜 高校野球として

第1日の第3試合、大阪桐蔭対東海大菅生という大一番が終わって、この日最後の試合は何度も優勝経験のある常総学院と米子北との対戦だった。今回の日本代表に選ばれているサッカーの昌子選手の出身校である米子北はサッカーでは全国上位レベルであるが野球は初出場。しかも大観衆が詰め掛けた第2試合の後のアルプススタンドの応援団の入れ替えは時間を要するはずだ。それでも・・・・

テレビでは解説者が試合の見所を話しているときに聞こえてきたのは「フレー、フレー、北高!」と「フレー、フレー、常総!」の大きな声のエールだった。

初めての出場であればアルプスでの準備だけでも戸惑い、試合が始まってもまだ応援体勢が整わないというチームもあるが、この米子北は立派なエールを見せてくれた。

試合は残念ながら大差で負けてしまったが・・・・




東京、新橋、品川、川崎、横浜・・・・・鉄道ファンが東海道線の各駅を暗記しているように、ボクも夏の甲子園の歴代優勝校を小学校のとき、覚えようとしたことがある。

京都二中、慶應普通、愛知一中、神戸一中、関学中、和歌山中、和歌山中、甲陽中・・・・


和歌山中学は高校野球史上初めて2年連続優勝を果たしたチームだ。しかも3連覇は惜しくも準優勝で逃している。

その旧制中学は戦後和歌山県立桐蔭高校と名を変え県内屈指の進学校として数々の人材を輩出してきた。その桐蔭が21世紀枠でこのセンバツに帰ってきたのだ。相手は愛媛の県立校である今治西。

ともに進学校対決となったこの試合・・・・

今治西には思い出がある。桐光学園の松井投手が奪三振記録を打ち立てたときの対戦相手だった。その試合をボクは甲子園で見ていた。今治西の選手は松井投手の変化球にまったくタイミングが合わず三振の山を築いていく。しかし、誰もが大会新記録を意識し始めても彼らはバントなどをせず、最後まで自分のスイングでバットに当てようとした。

不名誉な記録を立役者になりたくないと思うか、自分たちの力で何とか最後まで切り開こうと思うか・・・・・

ボクは松井投手の記録樹立に拍手を送りながらも、今治西の潔い戦いぶりにより大きな拍手をした記憶がある。


この日の対戦は今治西が圧勝した。桐蔭は何度も反撃したが、最後はミスが出て大差がついてしまった。

それでも桐蔭の伊沢投手はチェンジとなると必ずマウンドに残って野手が処理したボールを受け取ると丁寧にそのボールを手でこねてきれいにしてからプレートの横においてベンチに帰った。


些細なことだ。というよりどうでもいいことだ。だけど、それは桐蔭の伝統だという。

試合に勝つための作戦でもなんでもないこの行為にボクは引き付けられた。

おそらく負けた桐蔭も勝った今治西も浦和学院とか大阪桐蔭や仙台育英といった強豪と試合をすればもっと大差をつけられるかもしれない。だけど、この試合に感じた高校野球らしさ。

プロから声がかかるような選手は甲子園に出ようが出まいがドラフトにかかる。しかし、こんなチームが甲子園で試合をするということの意義深さをボクは感じる。

今年のセンバツは大差ゲームが多い。

初日はこれが予選ならすべてコールドゲームという結果となったが、それでもこの晴れ舞台での彼らのプレーや応援する人たちの姿にボクたちは感動を覚えることがある。


立派なエールの交換を行うことやチェンジの際にボールを丁寧に扱うことは、たとえその試合が息詰まるような好ゲームになろうと、思わぬミスが出て試合が壊れてしまおうと、それには関係なくできることだ。

将来性豊かな選手を見る事は楽しい。しかし、そんな些細で、そして大切な事を見つけるのも高校野球の楽しみのひとつである。

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