本当にさらばだ・・・ゴトー

新八柱から武蔵野線の南船橋行の電車に乗った。先頭車両に乗るそのほとんどの人は手に新聞を持ち船橋法典の駅で降りることをボクは経験上知っている。

しかし、今日はその中に若いカップルがいた。並んでシートに座っている女性の膝の上のトートバックからは花束がのぞいている。白を基調に少しばかり黄色の混ざったその花束が献花であることが誰にでも分かる。


駅に着くといつものように足早に競馬場に向かう。そしてボクは早速献花台に向かった。「ゴトー何やってんだ。下手な生き方しやがって！さらばだ」と記帳した。後藤騎手に下手に乗ってんじゃねぇ！と叫んだことが何度もある。しかし、もうこれからはそんな罵声を飛ばすことすらできない。

ボクがお参りを済ませる頃、先ほど電車で見かけたカップルがやってきた。神妙な表情で花を捧げ両手を合わせた。

それぞれに思いがあるはずだ。

競馬新聞の馬柱を見るとまだ後藤の名前はたくさん出てくる。今日もまたボクは阪神のメインでキングヒーローの単勝を買った。彼が亡くなった翌日のメインレースで競馬新聞の騎手欄にはまだ後藤の名があった馬だ。

急遽柴田大知騎手に乗り替わってレースには敗れたが、その馬がまたこの日に出てきた。そしてレースでは見せ場もなく終わった・・・


しかし、本当にさらばだ。彼は競馬ファンがいつまでもめそめそとしていることを望んではいないはずだ。今日、彼の写真の前で両手を合わせてそう思った。土曜日の競馬中継でリハビリ中の厳しいなかでふざけてボクたちを楽しませてくれた彼を思い出すと、本当にその時には涙が溢れそうになった。ボクがそんなふうになるとは思ってもいなかったが、それでも・・・・

本当にさらばだ・・・・


これからも競馬を楽しむから・・・・・当たらない予想をしながらゴタクをならべるから・・・・そして、たまに当たったらまるで何年も前からこの結果を知っていたかのように自慢するから・・・・・

いつものように・・・・


だから、本当にさらばだ・・・・

さようなら、ゴトー・・・・・天国でまた会おう。ボクが天国に行けたらだけど・・・・