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2015年03月03日20:09

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ゴトウマッテタゼ

ボクは何度かこの日記に書いているが、初めて競馬をやったのは第1回ジャパンカップだ。こんな素晴らしいレースがボクの競馬のデビュー戦だったことは、なんと運のいいことかと今でも思っている。

そのレースが行われたのは昭和56年、1981年のことだ。ボクが大学4年で翌年から社会人になる時だったからよく覚えている。(この時の勝ち馬投票券購入は競馬法違反ですが、時効ということで・・・・)

それから、何年だ??2015−1981=34・・・・か・・・・

いろいろな思い出がある。

初めて取った馬券がその第1回ジャパンカップの年の年末の有馬記念だった。アンバーシャダイの単勝を学生だったボクは1000円も買っていた。当時は特券と言われた1000円馬券だ。配当は9倍ちょっとだったが、大学生のボクには大金だった。

それからは語りつくせない。

92年春の天皇賞はトウカイテイオーとメジロマックイーンの馬連を5万円勝った。しかし、それでは満足できず、さらに5万円買い足した。マックイーンは優勝しテイオーは5着に敗れた。地の果てまで駈けていくと岡部さんが称賛したトウカイテイオーが・・・・・

10万円は紙くずとなった。バブルの時代だ。

引退するというテイエムプリキュアが二ケタ人気を覆し逃げ切った日経新春杯は記念に勝っていた単複と馬連が大的中した。

最近のスマッシュヒットは京都記念。キズナとハープスターの2強に対して崩すのは前々から競馬ができるラブリーデイとスズカデヴィアスと決めつけこの2頭軸マルチで2強に流した3連単だ。12点で24,210円を仕留めた。

開門と同時に競馬場に入り12レースのすべてを外したこともある。

友人と合宿と称して土曜日の始発の新幹線で新潟まで行き、一泊二日で土日の全レースを勝負したこともある。馬券で負けて飲んでまた負けて・・・・

ボクが買ったほとんどの馬券は外れているが、それでも屁理屈をこねて正当化し、友人のはずれ馬券をあざ笑いながら、楽しく飲みながら語り合った日々・・・・・

自分でもなんでそんな馬券を買ったんだと思う時がある。その馬券が外れていても、そして当たっていても・・・・だ・・・・・

競馬は楽しい。短い距離のレースなら1分もかからず終わってしまうのに、そのために1週間も前からああでもないこうでもないとゴタクを並べる。旅行の楽しさはその行程を考えている時だというのに似ている。




だが・・・・・

この週末ほど楽しくない競馬はなかった。馬券が的中したとか、大金をすったとかではない。もっと言えば競馬が楽しくなかったのではない。この週末に競馬にかかわることがつらかったのだ。

そして、それはボクだけではない。みんながわかっているはずだ。

土曜日のテレ東のウィニイング競馬・・・・いつものように番組は始まる・・・・が・・・・

パステルカラーの衣装を身にまとい肉感的な魅力を爆発させる鷲見玲奈アナウンサーが黒のストッキングをはいている。ジャンポケ斎藤はいつものグレーのジャケットだが蝶ネクタイが黒・・・・

そして、何よりキャプテンとジャンポケの当たらない同士の掛け合いがまったく盛り上がらない・・・・


日曜のみんなのKEIBA・・・・いつものように番組は始まる・・・・が・・・・

細江純子さんは紺色、大島麻衣は黒を基調に真珠のネックレスをしていた。ヒロシさんは黒の水玉のネクタイだった。優木まおみはベージュの春らしい衣装だったが、反して足元は黒だった。


みんな喪服など着ていない。喪章もつけていない。だけど、みんなが心の中で喪に服しているのがわかる。


競馬関係者がみんな無理していた。競馬関係者とはファンを含んだすべての人だ。みんなが泣きたかったはずだ。

バカ野郎・・・そんなに死にたいならオレが殺してやるから、もう一回生き返ってこい!!!チクショウ!!!

ボクはそう言って泣きたかった。だけど、もちろん放送関係者たちはそんなことはできない。さらにはボクなんかよりずっと関わりのあった人たちだ。

両番組とも後藤騎手に関することを最後に持ってきた。何事もなかったように放送し、レースを伝えた。大いに無理があったが・・・・そして、番組の終了間際の数分でこの悲報を伝えた。

でも、思う。もし最初にやったら、恐らく番組そのものを構成できなかったのだろうと・・・・


ジョッキーは喪章をつけてレースに臨んだ。乗り代わりで勝った三浦騎手はゴールと同時に喪章を握りしめ、神妙な顔でカップを受け取った。


多くの人が多くの思いで過ごしたこの週末・・・・騎手たちも関係者もファンも、そして親族の方々も・・・・


それでも時間が経てばたぶんボクは忘れる。完全に忘れなくてもずっと彼のことばかり考えているわけはない。でも・・・・

ボクは何度も思い出すだろう。


ボクが妻と三浦半島に行った時に突然土砂ぶりになって、高速道路の視界がものすごく悪くなった。その頃、府中ではエリンコートがオークスを勝った。

哲三さんの馬だったエスポワールシティを引き継いでG1で勝った。


彼は多くのことを引き継いでいる。エリンコートはルーラーシップとの仔を生んだ。順当にいけば今年にもデビューする。

エスポワールの仔もこれから出てくるだろう。


ボクは初めて馬券を取ったアンバーシャダイの仔はいつも意識していた。メジロライアンや、その孫のメジロブライトにも・・・・

これからは後藤の馬を買うだろう。


そしてその都度、思い出すはずだ。後藤の馬だって・・・そしてボクはその馬の馬券を買い、またいつものように外れる。

それでも、その馬券で後藤騎手のことを思い出しただけでボクは満足するはずだ。


競馬は人生に似ている。うまくいかないことばっかりで、たまにうまくいくから面白いのだ。うれしいのだ。

後藤の人生をボクは知っているわけではないが、彼だってうまくいかないことばっかりだったはずだ。それは落馬事故だけではなく・・・・それでも、たまにうまくいったことの喜びを彼は知っている。

ボクがアンバーシャダイの馬券を当てたことと、彼がオークスで優勝したことはもちろん同じレベルでの話ではないが、人生における成功という意味では同じだ。

ボクが天皇賞で10万円をすったことと彼が自死してしまったことも、もしかしたら同じなのかもしれない。人生においてたまたまうまくいかなかったこと、少し間違えたこととしては・・・・・



後藤の馬が勝ったら、ボクは間違いなく思い出す。へたくそなお笑い芸人と一緒にふざけてボクたちを笑わせてくれた姿を、510番で馬名ゴトウマッテタゼのファンから送られたゼッケンを掲げて、自前のハンドマイクで復活をファンと喜び合ったパフォーマンスを、そして、絶望的な事故から何度も立ち上がってきた勇姿を・・・・


だから、また言える日を楽しみにしている。

後藤の馬が勝った時に・・・・・

ゴトウマッテタゼ!!!

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