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2015年02月28日19:56

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オランダ国立公文書館写真部門展覧会のオープニングに出かけた



ハーグ中央駅のそばにオランダ国立図書館があり近年、といってももう20年以上前からそのそばに国立公文書館ができている。 そこには様々な歴史的な公文書が保存されていて日本関係であれば徳川将軍のオランダ政府あての公文書、長崎オランダ商館を通じてさまざまな取引の書類・資料類などもあって日蘭交渉史を研究する学者たちには必ず一度は訪れなければいけないところでもある。 そこに写真部門があって1500万枚の写真が保存されていると知ったのは何か月か前、オランダの写真家故エド・ヴァンデル エルスケンの写真展のオープニングの折、その写真部門の責任者から聞いたからである。 エドの日本で撮った写真も含まれているという話で写真部門の初めての展覧会には彼の写真も展示されるというのでそのオープニングに招かれて夫婦で出かけたのだった。 

1500万枚から450枚を選んで展示してあった。 公文書館の収蔵写真が美術館の写真部門、写真美術館などのものと違うのは芸術性は当然としても写真の記録としての価値、資料性に重点が置かれている点であり、例えば産業革命以後、各国が帝国主義化していくなかでインフラ整備に欠かせなかった架橋、建築、都市計画の状態を示す写真は芸術というより設計図の実現された公文書としての働きを示すものであり陰影や構図の芸術性より透明性、具体性、記録性を重視するものである。 しかし写真史での資料としての写真としてやはりオランダ内外の名のある写真師、写真家の作品も収蔵されておりオランダの写真史を辿る上でもエド・ヴァン エルスケンは欠くことのできない名前ではあるようだ。 彼が日本で1950年代末期に撮って残した写真は風俗資料・記録としてもその視点は評価されるものであり1870年代に横浜で開業したドイツ人の写真師が撮った風俗写真とのつながりでも論じられているようにその展示順路からは感じられた。 1500万枚から450枚という選択には全容を捉えることの不可能さに戸惑うことにもなるのだが限られたスペースで一般の来館者にアピールするためには肩の力を抜いたいくつかの試みも見られるようだ。 古今のテーマからそれに対応するような写真を時代を逍遥して選んでいるのが分かる。 たとえば、会場への導入部では、喜び、悲しみ、怒り、風景、見る、食餌、餓え、洪水、などがテーマとしてまとめられ徐々に植民地、戦争、など比較的重い歴史的記録が画像として示される仕組みである。 時にはその中に髪型や覗く、といったテーマもあり時代背景をもちながらも普遍的な人間の行動を微笑みをもって類型的に眺めることができる体裁でもある。

日本の幕末、明治時代の写真についてはライデン大学のプリント館には銀板写真のコレクションがあったような記憶があり、その中には幕府の留学生としてライデンに滞在した侍たち、日本初の鉄製軍艦を発注してそのためにオランダに滞在して操船技術を学んでいった日本人たちの写真もあったのではないか。 芸術写真としての美術館でのコレクションと公文書館の写真収集には重複する部分もあり、オランダではアムステルダム市立美術館、アムステルダム写真美術館、ロッテルダム写真美術館等は芸術写真を主にしたコレクションがあるのだがそれぞれの関係について、収蔵作品はデータベースとして統合されているのか、もしその計画があるのならどのようになるのか等の質問があったのだが200人ほどの参列者に対応する責任者にそれを尋ねるにはせわしなすぎ、あいさつ程度しか話す機会がなかったから次回ゆっくりここを再度訪問して例えば日本写真史であれば幕末、明治の上野彦馬、下岡蓮杖に類するコレクションを薦めたいのだがここはあくまでオランダ公文書館であるので必ずしもそうもいかないのかもしれない。  



オランダ国立公文書館 写真展:Eyecatchers の HP;

http://www.gahetna.nl/en/themaplein/eyecatchers
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