mixiユーザー(id:6400308)

2015年01月28日21:59

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悲しみよ、消えないでくれ

 東京芸術劇場でモダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」を見る。雪の山荘。ここを管理する父親とその娘。娘は翌日東京へ出ていくことになっている。そして姉は土砂崩れで死んでおり、その同棲相手の男が、そこに居候している。そして男がした山岳会のメンバーが集まってくる。ほぼ24時間の話だ。
 一見和やかだが、それぞれ欠落と秘密を抱えている。それが見え隠れする緊張感。その中で思わぬ笑いが生まれたり、ぎょっとする台詞が出てきたりする。
 後半は秘密が暴露され、登場人物たちは対立し、人間関係が見る見るうちに崩れる。唯一メンバーたちを繋ぎとめていた温厚な父親も、娘の思わぬ告白から激怒する。ここの畳み掛けは迫力がある。
 全ての元凶は、亡き娘の同棲相手だった男の自己正当化と他者への共感力のなさ。しかしよく聞いてみると、自らもそれに苦しんでいるのかと思える。芝居の最初と最後は、この男が彼女の動画を見ている場面。題名は、男の本音だろうか。
 それを理解したからこそ、父親は本来娘のためのあの歌を、去りゆく男に向かって歌うのではないか。また登場人物たちの感情も、さまざまな想像が可能であり、見ごたえのある人間ドラマだった。
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