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2015年01月09日21:28

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夕方、しょぼんとなる

 ネットで偶然みつけた頭脳警察PANTAと外道・加納秀人の対談を読んだ(http://realsound.jp/2015/01/post-2168.html)。70年代ニッポンのハードロックを代表するのがこの両グループ・両ボーカルと言っても過言ではない。

「人間なんて30才になったら死ぬぞ」って思っていたからね。世界のロッカーがみんな20代だったし、どうせ短い人生なんだから、好きなことをやっていいバンド作りたいって、それだけだった。ましてや俺達みたいなものにレコード会社が付くなんて考えられない時代。当時はロックなんてやってると家も借りられないぐらいだった。(中略)
今、楽器を持って歩いている女の子もいっぱいいるけれど、当時はギターを持って歩いているだけで不良と見なされて、サラリーマンに囲まれたりしたから。「お前、日本男児のクセになんなんだよこれは? 許せない!」って。ーーー加納

「外道」を支持していたのは暴走族に代表される不良、対して「頭脳警察」は学生運動家には絶大なる人気があって、集会の待ち時間はインターナショナルやワルシャワ労働歌のあとに頭脳警察の「さようなら世界夫人よ」がよく歌われていた(当社のキャンパスとか日比谷公園などでは)。
 現在とは隔世の感がある。加納の言うとおりで、70年代はエレキギターを所有しているだけで不良扱いされていた。エレキを持っていることが知れると特高に検挙され、拷問をかけられたという話も伝わっているくらいだ(笑)。歴史は後年になってでっちあげられるのが常だが、60年代後半から70年代前半の象徴「ビートルズ」は、こと日本に於いて、不良が聴くゲスな音楽という風潮が蔓延していた。団塊世代はビートルズ、という図式は全くの嘘で、後付けだ。自分が中高生の頃を語るのに橋幸夫よりビートルズのほうがかっこいいから、記憶を思いっきり歪曲しているに過ぎない。太平洋戦争の美化と似たようなものだ。極論だが、日本史の正史はもちろんのこと、庶民の口を介して伝えられてきた俗史さえも、かなり脚色されて現在に至る。戦国時代で勝ち残っていった武将(と家臣)など、アルカイダの過激ゲリラよりも荒ぶれ者で、農民が顔を上げて武将を見送っただけで首を一刀両断されてたんだから。

 マイミクさんがメッセージに挙げてらしたが、自民党の沖縄県知事に対する扱いが非道い。選挙で敗北した県や市町村にはそれなりの対応をさせてもらう、という党利党略を露骨に(国民の眼前で)示したという意味で、号泣兵庫県議のモラル以下、贈賄罪に問われた衆院議員の悪質さ以上だ。朝刊を読んで、この件で非常に不快になったし、ある種の絶望感を持ってしまった。民主主義を取り込まない資本主義など、一片の救いさえない。よくもこの国、暴動が起きないもんだ。
 と威勢のいいことを言いつつ、夕方、しょぼんとなる。
 ラズリと散歩に出たら、数軒先の家の人から声を掛けられた。「隣接する家の犬の様子がへんだ、見てやって」と。彼女はリードが首にぐるぐる巻きになっているのではないか、と心配している。
 塀越しに見たのだが、よくわからない。この犬はラズリに吠えかかり、噛み癖もあるらしいので苦手なのだが、塀から身をせり出しても今日は私に吠えない。よく見たら、全身が震えていた。寒いせいなのか、食餌を与えられていないせいか? それとも病気に罹っているのかもしれない。
「耳をよく見て。ぶるぶると震えてますね」と私は犬を指差して言った。
「さっきワッフルを買ってきたので、あげようか」と彼女が答える。
 リードが首にからんでいるかどうかをチェックするため、渡されたワッフルを半分もらって塀を乗り越え、手で直に犬に与えた。その隙にリードをチェックし、低木の枝にからんでいたのでほどいてあげた。なお、ワッフルの半分はラズリが食った。
 彼女から指摘を受けるまでもなく、虐待犬だ。飼われ始めた当初は毎日のように散歩で会った。犬の毛艶もよかった。が、半年経ち1年経ち2年経ち、夫婦も子どもも犬に飽きていった。
 当然ご近所さんゆえ、ある程度のおつきあいもある。だから率直に「もう少し親身に飼えばどうでしょう?」と言える間柄なのだが、当たり障りのない関係でいたいと思うと、言えないのだ。夫妻はともに難関国立大医学部卒の医者、穏やかな人柄、正義感のある政治的立場、ファッションもクルマもオシャレ……。ケチをつけにくい。が、塀を超えて侵入してわかった。広々した庭に花一本も植えられていない。隅に放りっぱなしのゴミがある。犬の糞も散乱し、ビニールシートの上に溜まった水が黒く腐ったようになっていた。邸宅だけに荒涼とした印象が強い。
 犬のそばに立って、犬の目を見た。視線が弱い。震えは治まらない。
 飼い主は優秀な医師だ。病気については私より1万倍詳しい。
 虐待児なら何をさておいても進言するべきだろうが、こういう場合、どうしたらいいのかわからない。彼女にそう言ったら、「私なんて接している家なのだから余計、何も言えない」と哀しそうに答えた。
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