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2014年12月30日20:46

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与那原恵さんのこと

 久しぶりに暖かな一日。
 朝、アジサイの苗に水をやっていると、NHKを名乗る男がやって来た。
「明日の晩はテレビ、何を見られますか?」
 と訊かれたので、「テレビは見ないと思います」と答えたら、「今年は紅白歌合戦をぜひ見るよようにしてください、全員参加なので」と言われた。で、曖昧に笑ったら、「粗品ですが……」と小さな箱をくれた。あとで見てみたら紅白饅頭だった。
 昨夜、年賀状を書き終わったので、郵便局へ出しに行く。計111枚。日を追うごとに字が荒っぽくなっていった。来年は表書きをプリントアウトにするか。と思ったのは、2人の「さいたま市」在住者の宛名書きだった。町名ならまだしも、最初に書く都市名がひらがなというのはなんとも締まらない字配りに映り、言っちゃなんだが、馬鹿っぽい。選挙の候補者名で難しい名前ではないにもかかわらず、名字か名前でひらがなを使う者がいるが、あれよりまだ低俗だ。「さいたま市」の住民は自分の住所を書くたび違和感がないのだろうか。母が疎開していた龍野市(兵庫県)もいつのまにやら「たつの市」になっていた。素麺と醤油づくりが盛んな旧城下町だが、ひらがなになると一気に伝統色が褪せて胡散臭く見える。もはや書道のようなトメとかハネが見える楷書体で書くのがふさわしい住所でもあるまい。
 ブックオフで買った与那原恵さんの『街を泳ぐ、海を歩く』を読み始めた。220ページの本なので一気読み出来るか、と思っていたら、3時間もかかってまだ半分だ。沢木耕太郎は別格に置いといて、与那原の旅モノは他に例を見ないほど秀逸だ。1990年代の後半、ある種の編集者にとって与那原さんは最高のランク付けをされていた。「ある種」とは、批評性とオリジナリティと時代性と観察力などを総合的に判断する生真面目さがある編集者群で、インテリと言えなくもない(この種のインテリは自分の潜在願望を実現してくれるビンボーライターが好き、という傾向があって、かなりインチキっぽい種族とも言える)。
 で、なぜ前に進まないかというと、ルポのなかで彼女が聞いた現地の音楽や舞踊について様々に書かれているからだ。いまはYouTubeでバリの音楽も石垣島の伝統舞踊もある程度、動画で見られる。観光地もよほどマイナーな場所ならいざ知らず、ほとんどの名勝はアップロードされている。たとえばバリ島から飛行機で1時間、さらに空港からクルマで1時間のところにあるボロブドールという世界遺産(与那原さんが訪ねた時は世界遺産ではなかった)、釈迦の生涯を描いたとされる巨大な回廊だ。ボロブドールについて書かれた章を読み終えると、ウブドのチャロナランという舞踏やボロブドールの景色を見たくなって、パソコンに頼ってしまう。本当はその本を持ってバリへ行けばいいのだけど、感動するたび旅行に行っていると、1年に400日くらい自宅を離れなければいけない。こんな私でもせいぜい40日くらいしか無理だ。
 ああ、のんびりとその日暮らし日記なんぞを綴ってないで、早くこの本に戻りたい。
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