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2014年12月09日21:50

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「自信力」が消え行くニッポン人

 正午のNHKニュースを見たあと分厚い地図帳を手に取った。徳島県の地図を見る。三好市とつるぎ町が大雪で孤立状態だ、とニュースは繰り返し報道している。
 つるぎ町が剣山の麓の町かもしれない、と今日になってようやく思い至った。迂闊にもつるぎ町の「つるぎ」と「剣」が結びつかなかった。
 地図を開いて、豪雪に見舞われた三好市やつるぎ町を確認した。
 祖谷から三嶺。三嶺から剣岳を縦走。高校1年の冬2月、屋島中学でそこそこワルだった同級生3人がつるんで、四国でいちばん難度の高い冬山を縦走しようという無謀な夢想をし、引込みがつかなくなって実行に移した。標高1893メートルの三嶺や1955メートルの剱山があるのがつるぎ町だった。麓の古老たちが口々に「こんな大雪は初めて!」と言っていたが、山を2時間ほど登ると、膝くらいまでの積雪があった。だからというわけではないが、積雪40センチというのは標高が高いところだと珍しいというわけでもない。たぶん標高1000メートル以下の集落では、これまで降ってもニュースになるほどの大雪にならなかっただけだ。あと600メートルほど標高が高くなると、温度も4度か5度くらい低くなって、雪は確実に積もる。でも、経験値からよもや災害は自分の住む町に起こらない、と慢心してしまうのだろうな。ロクでもない少年3人も絵に描いたような慢心で、たとえ世界が滅びても自分たちの冬山縦走で事故は起きない、という根拠なき自信で冒険(というより一種の犯罪であろう)を企てたのだった。
 大人になって欠けたもの、それは私にあっては根拠なき自信だろう、と思う。他人から「根拠レスな自信家」と思われるのはみっともないことだが、自分を恃む気持ちが強ければ強いほど人生は成功するものだ。別に人生、成功したいと思ってはいないのだが。
 今日は『自縄自縛の私』(蛭田亜紗子著)を読んだ。解説まで来て、初めてこの短編が竹中直人によって映画化されていることを知った。竹中が解説を書いていたから。
 6編の短編に出てくる主人公は倒錯的だ。性癖もだが、世の中に完全(完璧)な人間なんていないが、それにしても昨日読んだ『ここは退屈迎えに来て』然り『自縄自縛の私』然りで、社会的に生きる上で必要な推進力の何かが欠落し、ぎりぎりのところで何とか踏みとどまっている脆弱な女性ばかりが主人公だった。いまはまだ、力の弱い人間が生きていける世の中だが、この先、さらに厳しい生存競争を強いられるようになると、半分くらいの人間は脱落する時代が到来するだろうな。
 昨日、テレビのニュースでNHKの女性記者がひったくり犯に遭ったという嘘の通報をした件で書類送検された、というのを聞いて、暗い気持ちになった。記者は「職場から貸与された携帯電話を紛失したことを隠したかった」と供述したらしいが、こんな軽微な失策でビビるような労働環境というのは、明らかに社会や会社(NHK)のほうがおかしい。記者の人権はケータイ一台より軽いのか、と思う。いまや北朝鮮を嗤っているような場合か、一億総ブラック化なニッポン。
 
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