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2014年11月28日08:56

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Martijn van Iterson の後に Kurt Elling が出てきて驚いた



オランダのテレビで週日毎晩夕方7時から1時間若者から中年に至るまでその日の政治・経済・科学・文化などの分野のニュースをゲストを招き知的で手際よく一般聴衆にアピールする刺激的なトークショーがある。 「世界は廻る(De Wereld Draai Door)」というのだが夜中にも再放送があるので時々眺めている。

DJやポップなど若者にアピールする音楽にはあまり興味がないから仕方なく若者のギター談義をやっていてる画面を眺めていると若いのがギターを弾いている後ろに頭を掻いたり要らぬ方をポケーっと口を開けて馬鹿面を見せてギターを抱えている中年男がいるので見たらわが町の誇るジャズギタリスト、Martijn van Iterson ではないか。 ギターのことなら彼の音大の師匠から形見分けに譲り受けて愛用にしている古いギブソン・ジャズモデルのことでも話し、彼の音大の教え子などが登場するのかと見ていた。 

すると司会者がオランダの音楽大賞・エジソン賞のジャズ部門で今年はジャズ・ヴォーカルの Kurt Elling が授賞し、その式でオランダのフル・オーケストラ、メトロポール・オーケストラをバックに数曲歌い、それと共に11月から12月にかけて何回かオランダの各地をオランダの誇るジャズ・ビッグバンドである The Jazzorchestra Of The Concertgebouw とともにクリスマス公演をするといい、本日、本人とビッグバンドを招いてここで一曲披露するとのアナウンスと共に KE が現れてジャズの定番「The Lady Is A Tramp」を2コーラス歌った。 そこではそれぞれ優秀なバンド・メンバーのソロもなく全く物足りない思いがしたのだが圧倒的な喝采を受けて一同は退場した。 2分あったかどうか。 しかし、この番組に登場するという事は数百万人に顔を覚えさせるという効果もあり、それぞれの話題が矢のような会話と共に過ぎていく番組であることからすればここでは宝の持ち腐れとジャズ好きが文句を言ってもそれは仕方のないことだ。 ジャズなど今時聴くものなどどこにいるのだろうか。 けれどその2分はそれまでのやわなポップグループの若者達のギター談義を吹き飛ばすほどのプロの破壊力を持っていたことは確かだ。

KE がオランダのテレビに登場したのは3年半ほど前で以下のように記している。 

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/61688418.html

当時と今ではテレビに出るという現れ方に違いがある。 それは今回はオランダでは毎年話題になる大賞のことでもあり、これにより格段に知名度が上がり「一般大衆」にアピール出来る機会なのだ。 3年半前の番組は「知的階級」対象の「芸術番組」の中であり芸術番組などに眼を向ける視聴者はほんの一握りなのだ。 「芸術」のみとは捉えられていないのが今回の、ジャズの大御所・ビッグ・アーチストと紹介されていることでも明らかで、今時の小さなギター・電気楽器だけ中心の半素人ポップにビッグ・バンドのどちらかというとスクエアなジャズヴォーカルで刺激を与えようとの意図なのだろう。 もう何年も前から中規模なホールで小さなコンボで歌う KE に親和性を持ち接してきたものではあっても過去にシカゴのボブ・ミンツァーのビッグバンドをホームバンドとして歌うアルバムに接しているものにはその歌唱の華やかさとダイナミズムには疑いを挟まない。 けれどそろそろニューアルバムか、と期待しているものには今でも比較しながらいている前回、前々回のアルバム 「1619Broadway, The Brill Building Project (2012)」と「The Gate (2011)」に続いて刺激の豊かなものを期待するのだが KE のコンサート予定をみると忙しくヨーロッパ各地で様々なバンドをバックに公演することになっており、その出来により録音した音源でアルバムを構成するつもりなのだろうか。 ただ各国の第一級のバンドをバックにしていても KE のスコアをバンドが慌しく消化するという形になり果たしてバンドのメンバーとの実のある交歓の場が保障されるのかということが疑問視される。 

残念ながらこれから年末にかけオランダ公演に陪席するチャンスがないのは残念だけれど来年になれば3回バックを務める The Jazzorchestra Of The Concertgebouw のメンバーや MvI からその模様を聴くことにしようと楽しみにしている。 ノース・シー・ジャズ・フェスティバルは別としても20年ほど前まではオランダでもまだジャズのコンサートがテレビに登場するということがあったけれど現在ではそれが殆どなくなっている。  世代の交代と資金力の不足がそれらの理由だろう。 それにしてももう10年ほど聴いている KE がアメリカでの評価どおりにヨーロッパでも知られるようになってきているというのは喜ぶべきことなのだがエンターテーナーとして実力のある Micheal Buble に比較して大衆受けしない点は創造的ジャズヴォーカルとしては甘受しなければならない仕方のないことかもしれず、今回はそれを吹き飛ばすクリスマス・コンサートとしてスタンダード・ジャズの大エンターテーメント大会になるかもしれない。 その結果は来年になってから近頃はそれぞれ腹に肉もつき体の幅が出来てきたメンバーに訊けばわかることだ。
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