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2014年11月25日21:50

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リー・クアンユーの言の葉(11月26日)

「常にシニカルに見ることが、ボケないで長生きする僕の秘訣だよ。」(リー・クアンユー(李光輝)、元シンガポール首相)

 今では1人当たりの国民所得は日本を凌駕したシンガポール。だが50年前は資源国・マレーシアから利用価値の無い漁村として見捨てられた地域だった。呆然自失の国民を彼は率いて、見事先進国の仲間入りを果たした。それゆえ彼は「国父」と言われる。

彼の政治手法は「開発独裁」とよく言われ、欧米では評判は今ひとつだが、衣食住も貧しいままでは国民に考える余裕はない、だからそのレベルをクリアできるまで、ある程度の強引さは必要という考え方なのだろう。1990年代、東欧諸国、CIS諸国を中心に民主化が起きたが、混乱を極めたのは国民が貧しかったからである。ジャスミン革命が北アフリカ、中東を中心に起きたが、産油国では起きていない。これは偏に産油国では政治的に未熟であっても、国民が何とか食べていけるからである。

 リー・クアンユーはそうしたことも熟知していた。それゆえまだ中進国の段階でも際立った革命などは起きていない。更に彼の代で隣国・マレーシアとの関係を修復した。マレーシアにはマハティール氏という有能な政治家が首相になったことも大きいだろう。

 首相引退後は世界各国の中進国の経済顧問として招かれる。未だにアドバイスやビジョンを求めに彼のところを訪ねて行く世界の政治家は後を絶たない。90歳を越えた今でもかくしゃくとしていて、切れ味の鋭い批判力、アイデアは健在だ。その秘訣を麻生元総理が尋ねると、

 「誰かの言う事に素直に従ったり、何かを無分別に信じたりすることはとてもラクなことです。それはアタマを全然使っていないですからね。でもモノをシニカルに見ることは脳に良いですよ。脳は使えば使うほど良くなる唯一の臓器ですから。」

 と答えている。勿論、シニカルという言葉は謙遜だろう。彼自身、皮肉屋だと思っている訳ではあるまい。誰かの言う事に素直に従い、無分別に信じてしまう大半の人から見ると、という話だ。他人とは違った視点で見ろ、という意味だと思う。

 日本の平均寿命は東日本大震災で一時香港に抜かれたこともあったが、再び世界一になっている。そのメンタル面の秘訣について、「素直に何でも受け入れる」、「正直でいること」などとよく言われる。しかし、リー・クアンユー氏のように傍から見ればシニカルに見ることで脳が活性化し、メンタル面でも元気でいられる方法があることも心に留めておきたいものである。

 いっそ彼のような人材を経済顧問として招いたら良いのにと思うが。こんなことを書くと

「外国人が日本人の為の政策をするはずがないだろうが」

という反論が聞こえてきそうだ。しかし冗談ではない。実際日本の国会議員が選挙区民のことは色々とやっても(こんなことは本来県議会議員がやることであって、国会議員の仕事ではない)、日本人全体が豊かになれる政策をバブル崩壊以後、何かしただろうか?本来「おらが村の先生」は「日本国の大先生」でなければならないはずだ。

 日本の名目は1997年の522兆円をピークにこの水準をもう越えたことが無い。今は467兆円まで下がった。ざっと55兆円下がったのである。世界経済の平均の半分以下の経済成長でもGDPで750兆円くらいになっていたはずだ。それがこの数字。生活水準の低下も著しい。日本人は貯蓄好きと言われたのは最早過去の話。今では一銭も貯金が無い世帯が実に30%を越えている。平均貯蓄率は消費税増税でたった0.9%だというから驚きだ。消費税10%で更なる低下が濃厚だ。個人的には消費税10%に増税でもしようものならば、1997年比で100兆円くらい下がっても全く驚かない。

 どんどん豊かになったシンガポールと対照的に日本は凋落している。歴代政権(特に1997年以降)の経済無策が招いた「人災」である。そして嫌な話だが、この人災は次の選挙以後、更に拡大しそうだ。日本政府は希望的観測、言霊的世界で「この不景気は大したことがない。台風のせい。」と夏場は発表していた。秋の不景気は何と言いわけするのかとシニカルな見方で観察していたら、言い訳に苦慮したのか、言葉を失ったのか、どちらなのか定かではないが、総選挙となってしまった。流石に二期連続のマイナス成長では最早下手な言い訳は出来まい。いい加減少しはシニカルな(せめて現実的)視点から経済の観測したらどうだろうか。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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