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2014年11月14日08:05

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【バレエ】新国「眠れる森の美女」(11日)

見ている暇のなかったチラシをようやく整理したら、
来年も散財の年だということがわかった。

5月にダンチェンコこと、
モスクワ音楽劇場バレエ団。
http://www.kyodotokyo.com/mamt

チケット代金一覧のすぐ下に、なぜか目立たない字で、
「2演目セットS席:25,000円(200セット限定)★3,000円もお得!」
とあるけれど、これは電話でないと申し込めない。
支払いもコンビニでの現金払いだけだという。

先日届いた案内によると、
光藍社の夏ガラ(クラシックハイライト)、
今年はサンクトペテルブルク・シティ・バレエとあるので、
なあんだ、とがっかりしたら、
2行目に「ミハイロフスキーのソリスト」とある!
ちょっとだけ、期待しちゃうじゃないか。(笑)

夏はもうひとつ、
キエフ・クラシックの「眠り」と「三大(ガラ?)」も。
これは観るべきか、少々悩む。

9月には、待望のタッチキンが来る。
目的はもちろん、コレスニコワさんだが、
ダンサーが鍛えているところは、
きっかけさえあればすぐ化けるから、
前回の来日から4年、団の現状も気になる。

そして11〜12月はマリインスキー。
http://www.japanarts.co.jp/concert/concert_plan.php?lang=1

相変わらず手抜きメンバーで来るのだろうが、
(今回はボリショイも居残り組の方が豪華なのが悔しい)
ロシアのベテラン・ダンサーたちが
こぞって「踊りたい!」と語る「愛の伝説」が楽しみ。

このほかにも一連のNBS招聘公演、
国内バレエ団公演もある...。

*   *   *

表題公演も最初はパスのつもりだったが、
「新製作」の文字が気になりうろうろしていたら、
また座席に呼ばれてしまった。(笑)

新国が「眠り」を新製作する企画は、
ビントレー版としてスタートしたが、
残念ながらそれは果たせず、
イーグリングさんの手に委ねられた。

プログラムに載った彼のコメントによると、
原典を尊重しつつ新たな振付を加えたとあり、
実際、奇を衒った展開はないが、
他の版よりも踊るカラボスや、
目覚めの後に挿入されたPDDが話題になった。

しかしこれらは彼が一から思いついたのではなく、
セルゲイエフの旧版から着想を得ているようだ。

旧版では、冒頭の印象的な演奏に合わせて、
カラボスとリラの絡みが描かれるし、
イーグリング版によく似た衣装の女性カラボスが、
これまたポワントで踊る。

オーロラが目覚めた後も、
そこで幕になるのではなく、
2人は森の中でグランパのアダージョを踊る。
(3幕宮殿の中ではヴァリアシオンとコーダのみ)

上級妖精を6人にすると、
時間短縮とは相反するものの、
リラをセンターに置いた時の対称性が良くなるが、
これはニジンスカ版に倣っているのだろう。

これらを取り入れたアイディアは良かったが、
手放しで讃える気分にはなれない要素も、
残念ながらいろいろあった。

振付面では、
パを増やして動きを複雑にしているが、
ダンサーの力量を考えずに
演奏のテンポを決めているため、
多くの踊り手が振付を追うのに一杯となり、
結果として優雅さに欠け気味となり、
曲と動きがシンクロしない場面も多々あった。

舞台装置は、
「眠り」らしく豪華できらびやかなものに
仕上がってはいたが斬新さはなく、
しかもオーロラのベッドが下手奥に置かれたため、
上階からは肝心の場面が見えないという欠陥もある。
(あえてそこに置かなければならない演出上の理由はない)

海外バレエ団の引っ越し公演の装置ならいざしらず、
ここの劇場のために造られたものが、
その観客を無視してどうする、と言いたい。

衣装については賛否両論のようで、
こだわりのない私は、こういうのもありかな、
葉っぱの妖精群舞など面白いかも、
と思ったりもしていたのだが、
我が師はあまり気に入らなかったようだ。

いろいろ凝ってはいるのたが、
総じて野暮ったいというか垢抜けず、
「眠り」のイメージとはマッチしていないのも事実で、
王子とオーロラ、リラの衣装が地味かと思えば、
宝石たちの衣装、色使いは派手だがデザインが古くさい。

プロローグの貴族の女性たちの衣装も、
最初はメイドさん? と思ったほど微妙。
おもちゃのような大蜘蛛の乗り物や、
アニメ顔の狼と長猫は小道具の領分か。(笑)

見分けがつかん!
と叩かれている上級妖精たちの衣装は、
縁取りとティアラの一部分の色が違うだけで、
しかも色違いの部分の面積が小さいから、
並ばれると群舞に見えてしまう。

これについては、思うことが2つある。
ひとつは、新国のダンサーは、
よく言えばすらりとして背が高く、体型も揃っているが、
悪く言えば個性に欠けるから、
衣装に差を付けないと見分けづらい。

英国のバレエ団のように、
背格好がもっと凸凹した人たちが着たら、
印象は違っていたかもしれない。

もうひとつは、衣装をデザインした
シャイクさんのイメージが、
どこまで正確に再現されているかだ。
衣装を製作した際、
彼の意図を汲みきれていなかった可能性もある。

演出面でも気になるところがあった。
舞台上に人の姿は多いのに、
踊っている群舞が少なかったり、
綺麗だが散漫で印象に残らない装置、
短くしたはずなのに山場が強調されない展開と、
すべてにおいてメリハリがないのだ。
このため、観終わったあと真っ先に思ったのは、
「熊さん、演出上手い。」(笑)

我が師も含めて、
「長く感じた」と言う人が少なからずいたが、
25分の休憩2回を挟んでの3時間半だから、
特に長いというわけではない。

ロシアの版には、
もっと短い休憩で4時間というのもあるが、
冗長に感じたことはあまりなかったから、
やはり演出とダンサーの力量差なのだろう。

それにしても、短くしたいはずの「眠り」の休憩が、
なぜ25分×2なのか。
そういえば、休憩時間中、
40名限定のバイキングをやっていたな。(笑)

悪口ついでにオケにも触れておくと、
録画します、とのアナウンスが入ったので、
ちょっと期待したのだが、テレビ放映用ではなかったらしい。

終盤、音は出ていたから、
「良かった」と騙された人もいると思うが、
はっきり言って雑。音が汚い。ザラついている。(怒)

いろいろ悪態をついてはみたが、
改訂版として下手な冒険はしていないから、
古典の「眠り」として普通に楽しめたし、
ダンサーも上手い人は上手く、
得意とする群舞もそれなりに魅せてくれた。

中でも特筆しておきたいのは、
オーロラ役を務めた米沢さんの進化。

私の持っていた彼女のイメージは、
動きが直線的でぶんぶん振り回し系の、
つまらない踊りをする人、だった。

それが今回観覧を敬遠していた理由のひとつで、
いくら相方のムンタギロフくんが贔屓だからと言っても、
デジレは出番、少ないし。(笑)
もし、彼の相手が小野さんか長田さんだったら、
最初から迷うことなくチケットを取っていただろう。

しかも9日も御覧になっていたお師匠さまは、
(米沢さんはフロリナ役だった)
「彼女の踊りはぱろの好みではないよ」
と、過度の期待はするなと気遣ってくださる。

ところが、蓋を開けて驚いた。
想像していた踊りと、まったく違うのだ。
下半身の動きはまだぎこちないが、
上半身、特に腕使いが滑らかで美しい。

評判のバランスは、
言われているほどではなかったし、
(この日は調子が悪かったらしい)
曲が速くなると地が出たりもしたが、
こういう踊りができるとわかっていたら、
もっと早くチケットを手配していた。

どれほどウルサイ奴と思われているのだろうと、
我が師に問うたところ、
フロリナはいつものぶんぶん系だったそうで、
12日の舞台には我が師も驚かれたそうだ。

さっそくクレメントヴァさん効果か!? と喜んだら、
プログラムのオーロラたちのコメントに
彼女の名前は登場しなかったから、
イーグリングさんの直伝なのだろう。
まだ贔屓というレベルではないが、
またひとり、将来が楽しみなダンサーに出会えた。

ムンタギロフ王子、
2幕の衣装が村人に扮したアルブレヒトだったが、
速い演奏にも余裕の笑み。
PDDの追加があったとはいえ、もったいなさすぎる...。

クレメントヴァさんが
まだ踊れるコンディションにあるのなら、
一回くらい彼と組んで、
新国の舞台に立ってくれないだろうか。

リラ精は“ゲストの”瀬島さん。
都さんだけ観て、あとは忘れていた、
饗宴の映像を掘ってみたところ、
なぜこの人がゲストに?と思ったのだが、
その疑問は解消されなかった。

下手な人ではないけれど、
この程度の人をわざわざ呼ぶくらいなら、
もっと経験を積ませたいダンサーは、
新国には何人もいる。
ゲストにこだわりたいのなら、
登録ですらなくなってしまった(もったいない!)
島添さんを呼べばいい。

数字が絶対のはずのF1ですら、
持参金(スポンサー)に目がくらむご時世だから、
実力とは違う世界のしがらみがあるのもわかるが、
自前で金を払って観にきている観客としては、
文句のひとつやふたつ、言ってもバチは当たるまい。

それに対してカラボスの本島さんは、
期待通りの大活躍。
彼女が登場すると、ダレた舞台が引き締まる。
悪そうな目付きがなんとも言えん。(笑)

ただし、「踊るカラボスが新鮮!」
と盛んに宣伝されている割りには、
がんがん踊っているわけではない。
そこまでアピールするのなら、
シュツットガルトのハイデ版くらいやってくれないと。

それに2幕になると、とたんに影が薄くなる演出は、
どうにかしてほしい。

このほか良かったのは、
王子の知人マイレンさん、
ゴールドの福岡くん、フロリナの長田さん、
親指トム八幡さん、赤ずきん五月女さん。

マイレンさんは踊らないのがもったいない。
あるいは、今回は女性配役だったが、
彼のカラボスも面白いのではなかろうか。

福岡くんは別の日にデジレを踊るだけあって、
気持ちの良い踊りをしてくれたが、
彼の場合、太もものラインをなんとかしないと、
ビジュアル的につらいものがある。

前回観た時いまひとつだった長田さん、
今回は無難にまとめていたが、
曲が速くなると余裕が以前よりもなくなっていた。

八幡さんも、踊りの出番がこれだけというのは、
なんとももったいない使い方だ。

五月女さんは、地味に上手い人なので、
(実際赤ずきんは良かった)
プロローグの妖精に名前を見かけた時は嬉しかったが、
期待したほどではなかった。

今回の舞台、後の幕ほど良くなったが、
プロローグを観終えた時は、帰ろうかと思った。
これほど盛り下がるプロローグを観るのは、
本当に久しぶりだ。(苦笑)

上級妖精の前半3人と、
宝石シスターズ3人(一部重複)は、
彼女たちにとっては演奏が速すぎたという
情状酌量要素はあるものの、
目立つポジションにしては、
動きがアマチュアレベルすぎる。

しかし、後半登場する少人数の群舞と、
夢の場の葉っぱの妖精群舞はまあまあで、
ちょっと安心した。


ロシアの上級バレエ団や最近のKの舞台は、
パーフェクトとは言わないが、
「良かった成分」の方が優っているから、
ああ楽しかった! と幸せな気分で帰宅できる。

けれど新国の舞台はいつも微妙で、
もやもやしたものを抱えながら帰ることが多い。
良いところと悪いところの要素が拮抗しているからで、
新体制となった今回もそれは変わらなかった。

感想を記す時、よくチケ代を引き合いに出すのは、
内外の多種多様な公演に共通の物差しとして
ちょうど良いからなのだが、
そう思う人はほかにもいるようで、
「(今回の公演は)1.6万は高い、 従来価格なら可」
とネットに書き込む人がいた。

私も同意で、話のネタにととりあえず観てみたが、
これを人に勧めるかと問われたら、
もう2千円足してKの熊さんの出る日か、
でなければお得な熊さん出ない日を推薦したい。

それに対し、
新制作が旧作と同じチケ代で上演できるのなら、
バンバン新作が出来るよね、と反論する人もいたが、
やってるところがあるんだけど? とツッコミ返したい。(笑)
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