先日、写真撮影を趣味にしているマイミクさんが、
カメラが壊れてしまった顛末を日記に書かれていて、
シャッターを切る回数には限界値があるんだ、
と驚かれていた。
シャッターやミラーの駆動は機械式だから、
そういう数値があっても不思議ではないのだが、
プロではない一般人が、限界までシャッターを切るなど、
フィルム・カメラではまずなかったから、
そのような数字があったということに、正直私も驚いた。
まだデジカメがおもちゃ程度の性能しかなかった頃、
といってもそれほど昔の話ではないというのが、
電子機器の進化速度の凄いところ...
というのはおいといて、
プロカメラマンの仕事を間近で見る機会があった。
まず驚いたのは、
高額なボディに同じ単焦点レンズを装着したものを、
3台手近に並べていたこと。
しかも望遠を装着したボディも、別途スタンバイしてある。
撮影が始まるや、1ショットをモードラで複数コマ撮るから、
弾(フイルム)はあっと言う間に尽き、次のカメラを手にする。
撮影済みのカメラを受け取った助手は、
慣れた手つきでフイルムを交換し、所定の場所に置く。
一応一眼レフではあるが、
ズームレンズ(笑)を付けたカメラを手にした私は、
撮るのも忘れてプロの神業にしばし見入っていた。
デジカメにはさまざまなメリットがあるが、
プロカメラマンにとって一番の福音は、
フイルム交換の手間が省けるのと、
ランニング・コストが格段に下がったことだろう。
先日観たフィールド・バレエでは、
カメラ絡みで気なることがあった。
カメラのシャッター音が、うるさいのだ。
もちろん観客のではなく、
記録写真を撮る公式カメラマンのである。
バレエ公演では、
チラシやポスター、記録/次回プログラム用に、
公演中の写真を撮ること自体は珍しくない。
しかしシャッター音が気になることは、これまでなかった。
ところがフィールド・バレエでは、
いい場面になると、カシャカシャカシャ...。
賑やかな曲の時ならまだしも、
アダージョの場面でまでやられると、
いいかげんにしろ! と言いたくなる。
そして今回、バレエ・エキシビションでは、さらに酷かった。
1ショットで2,3回シャッターを切り、
それが公演中延々と続くから、うっとうしいことこのうえない。
カメラマンとしては、それが仕事だから、
少しでも良い映像を、一コマでも多く撮ろうとする。
けれどフイルム・カメラの時は、
フィルム1本のコマ数と交換という制約があるから、
あらかじめ撮る場面を厳格に吟味し、
残コマ数と交換のタイミングを常に図りつつ、
緻密で丁寧な仕事をしていた(はず(笑))。
ところがデジカメの登場とメモリ容量の増大は、
その縛りからカメラマンを解放する。
撮影の仕方も、とりあえずたくさん撮り、
その中から良いものを選べばいいから、
必然的に撮り方はラフになる。
結果、耳障りな雑音は、無遠慮に、傍若無人に、
いつまでも会場に響き渡る...。
おそらく長年バレエなどの公演を
撮り続けているカメラマンは、
そのあたりの配慮もしているだろうし、
撮り慣れているから無駄撃ちもしない。
そういう意味では、カシャカシャうるさい奴は、
少なくともバレエ公演の撮影に関しては、
プロとは名ばかりの二流と言えるだろう。
メジャー・バレエ団なら、
リハ中にも撮る機会はいくらでもあるし、
それこそプロモ用に専用の時間を取ることもできる。
しかしアマチュア・バレエ団/バレエ教室ではそうもいかず、
年に1回あるかないかの貴重な晴れ舞台の本番映像を、
少しでも多く記録に残したい、
という気持ちもわからないではない。
だが、総合芸術というバレエの本質、
そして誰のために踊るのか、ということを考えれば、
答えは明らかだろう。
幸いにして、昨今はミラーレス、
電子シャッター式の一眼レフも普及しつつあり、
ハイビジョン・カメラも買いやすい値段になったから、
画像のデジタル加工も併用すれば、
動画の一コマを使うという方法もある。
いずれにせよ、主催者は、
観客の視点での配慮を忘れないでほしい。
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