フィールド・バレエは、
天候不良で公演が中止された場合、
返金はしてくれないが、別の日に振り替えてくれる。
もちろん、希望の席が空いていればの話だから、
来年へ持越してもいいという。
では、東京も清里も朝から雨、
天気予報も終日雨というケースで、
行くのをやめたところ、たまたま清里では雨が上がり、
公演が実施されたらどうなるのだろう?
東京と清里は直線距離で約100キロ、
間には奥秩父山塊もあるから、
そのようなケースは十分考えられるが、
往復にかかる手間暇費用を考えると、
来なかったお客が悪い、と切り捨てるのは酷であろう。
台風11号の動向が気になる先週週明け、
フィールド・バレエの主宰者に、
そのようなケースの対応を聞いてみた。
すると、あまり大きな声では言えないけれど、と前置きして、
4日前までなら、キャンセル・返金に応じる、
状況に応じて観覧日の変更もあり、とのことだった。
公私を問わず、お気楽にドタキャンする輩が多い中、
(された側の損失を考えたことはあるのか、と問いたい)
いくらハコ公演とは環境が違うとはいえ、
なんと良心的な対応であろう。
ちなみに、山の天候は本当に気まぐれだから、
天変地異でも起こらない限り、
いつも直前まで準備を進めています、とも。
たしかに、行くたびに夕立が気になるし、
数年前から開演時間が20時と遅くなったのは、
レストランや土産物屋への配慮もあるだろうが、
最大の理由はやはり夕立をやり過ごすためだろう。
というわけで8日当日。
想定とは逆に、東京は曇だが、
現地は18時から雨という天気予報だったが、
とりあえず山間ドライブを楽しむことにして、
あとは野となれ山となれ、臨機応変の自然体。
開き直りとも言う。(笑)
夕刻、現地で見上げる空は雲でいっぱい。
レストランで腹ごしらえをしていると、
(やはり地物の野菜は味がしっかりしていて旨い)
観光客と店員のやり取りが耳に入ってくる。
お客「雨でも(バレエ)やるのかい?」
店員「ええ、少しくらい降ってもやりますよ。」
・・・やるんだ。(苦笑)
最後まで諦めない代わり、
ダンサーが足を滑らせては大変だから、
少しでも降ったら中止だと思っていたよ。
そして開演30分前。
雨具の準備などをしていると、突如大粒の雨。
あわてて飛び込んだ車の屋根が騒々しい。
カーナビに雨雲レーダー画面を呼び出すと、
周囲一帯雨表示。やれやれ。
ま、こういうこともあるさ。(笑)
なかば諦めつつ聞いていた雨音、
一律ではなく強弱がある。
もしやと思っていたら、15分ほどで音がしなくなった。
街灯の明かりにも雨粒は見えない。
窓を開ければ、雨は止んでいた。
舞台の様子を見にいくと、照明の中、
スタッフが横一列で舞台に雑巾がけをしている。
開演を25分遅らせるとのアナウンスも。
25年の試行錯誤のひとつに、
舞台の下の温風機があるという。
モップや雑巾だけでは床が滑るので、
温風で温めて完全に乾かすのだそうだ。
ちなみに仮設舞台の下には通路もあって、
ダンサーたちが行き来しているという。
2030時。
聞き慣れたチャイコフスキーの音楽が、
照明に葉が煌めく梢の間を抜け、
夜闇に吸い込まれていった。
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