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2014年01月06日08:23

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【バレエ】シェフチェンコ/キエフ「眠りの森の美女」(4日)

「ツインリンクもてぎ」では、この暮れから、
バックヤード・ツアーを始めていました。

もっとも、何をどう見せたらお客に喜んでもらえるのか、
まだ模索している最中のようで、
とりあえずコントロールタワーやコーナーポスト、
整備用通路など一般客が入れないところを、
説明を加えつつ小一時間ほど案内してくれるというもの。

たとえば、コース脇のフェンスには、
あちこちに「F」と書かれたプレートがあり、
整備通路側に消火器が4本設置されています。

それを見て思い出したのが、昨年のF1韓国GP。
火災を起こした車両にコースマーシャルが粉消火器をかけたところ、
自称F1に詳しいネチズンから、時節柄ぼこぼこに叩かれたのです。
粉消火器は、精密機械である車両にダメージを与えるので、
昨今は二酸化炭素噴射が当然、
粉を使うなど二流国の証明! などなど。

そこで案内のスタッフに、これ、二酸化炭素消火器なんですね?
とたずねたところ、意外にも、半分は粉消火器とのこと。

韓国の例を出してもう少し話を聞くと、
車両に良くないというのは本当なので、
基本は二酸化炭素なのだけど、消火力は粉消火器の方が強い。
また火災は初期消火がとにかく大事。
だから、最初は二酸化炭素で、というルールもなく、
火災の規模や状況に応じて、
どちらを使うかは現場のスタッフが適宜判断する、
とのことでした。

たしかに、韓国GPのニュース映像では、
激しく炎が上がっていましたから、
これは粉消火器でないと無理だ、
と現場が判断した可能性は十分あります。
(本当にそうだったのかどうかはわかりませんが)

ケースはまったく違いますが、
特殊部隊の使用するメイン・ウェポンというと、
昔からMP5というドイツ製のサブマシンガンの名が挙げられ、
そう信じている人は今もたくさんいます。
でも現在は、一流国の部隊は、もっと威力のあるアサルトライフルを、
状況に応じて弾のパワーを変えて投入しているとのこと。

したがって、いまもMP5を使っているのは、
代替えできないか、代替えで放出された中古銃を揃えた、
お金に余裕のない国の部隊なんだよ、
とその筋に詳しい方が教えてくれました。

何事も中途半端な知識はいかん、
時とともに万事変化する、
ということを年初の教訓として、
改めて心にとめておこうと思います。


さて、2014年最初のバレエ観覧は、
新春にふさわしい華やかな演目、
「眠りの森の美女」(シェフチェンコ/キエフ、4日)。
年末平日でマイナー演目だった「バヤ」の時に比べると、
上野のホワイエも多くの観客で賑わっていました。

この日も、普段のバレエ公演に比べると、
年配の男性客が多かったのは、
やはりクラファンが足を運んでいたのでしょうか。
そして彼らをも満足させたであろう、良い演奏でした。
生オケがいい! というセリフは、
こういう時にこそ使うべきだな。
口の悪さは今年も変えません。(笑)

舞台の方も、これまた素晴らしい出来でした。
オーロラはマツァークさん。
16歳の初々しさはあまりないけれど、
バレエ・ダンサーに要求される3つの要素、
技術、演技、容姿のうちの2つを備え、
特に万人の目を引く華やかな見た目と、
ダイナミックで大きな踊りはグランパを盛り上げました。

端々の処理がまだ甘いので、大雑把な印象はありますが、
鍛えているので基本の動きに不安はなく、体も柔らかい。
いまはまだ若いのだから、細かいところにこだわりすぎて、
ちまちまするよりも、大きく気持ちの良い踊りをしなさいね、
という指導なのかしら、と笑顔のお師匠さま。

一見近寄りがたい美人系の彼女ですが、
カテコでは大きな拍手をもらうと本当に嬉しそうに笑う。
QPの矢が、ちょっと胸を掠めました。(笑)

デジレはニェダクさん。
彼もまた初々しさはないけれど、
逞しい上半身はカラボスにも対抗できそうで、
舞台狭しと旋回する様は頼りになる王子ですが、
手足の使い方は優雅で柔らかい。
シドルスキーさんの姿を観られなかったのは残念ですが、
今後も楽しみな踊り手です。

今回の「眠り」は、1990年にリリースされた、
当時の芸監リトヴィノフさんによる改訂版で、
カラボスは男性、リラ精+妖精5人、
間奏曲はなく(残念!)、
ダイヤモンド以外の財宝はセットで踊り、
人食い鬼はいないけれど踊るシンデレラが登場します。

カラボスは先日ドロッセルマイヤーを演じていた
ザヴゴロドニーさんと発表されていましたが、
リトヴィネンコさんに変更。ねずみの王様や大僧正で活躍した、
大柄でちょっと怖い雰囲気の人です。まさに適役。(笑)
しかも見た目と違い、マイムの表現もわかりやすく丁寧で、
細部まできちんと演じている。
式典長がもっとアドリブを効かせてくれれば、
面白い掛け合いになっただろうな。そこがちょっと残念。

対するリラの精は、カザチェンコさん。
フィリピエワさん、ハニュコワさんとともに、
ここのお気に入り三人娘の一人です。

スタイルが良いと評されるバレエ・ダンサーも、
手足、胴、首の長さや肩のライン、
頭部の形や大きさ、胴体の断面形など、
それぞれに特徴があって、
スタイルの良さの代表格ザハロワさんは、
実は全体のバランスは良いけれど、
特に手足が長いというわけではない。

ザハロワさんの体の各パーツを理想型の85%平均とするなら、
カザチェンコさんは90%平均でしょうか。
マリインスキーのコンダウーロワさん似のスタイルです。

さらにテクニックに加えて表現力もあるから、
私とお師匠様の中では
この日の主役マツァークさんよりも評価は高い。
2幕後半、王子とオーロラ、リラ精のトロワでは、
どちらが主役かわからなくなるほど。

そこまで優れているのに、
なぜ主役に配役されないのか実に不思議。
でも、マールイでもミリツェワさんの例はあるし、
ヴィシニョーワさんも昔は本国では
オデットを踊らせてもらえなかった話は有名だから、
そういうところは老舗の悪い面、
柔軟性の欠如を感じてしまいます。

圧巻は大ラス、アポテオーズの場面。
舞台奥中央に現れた彼女の神々しく威厳に満ちた立ち姿は、
ああ、この物語の真の主役はリラの精だったのだな、
と改めて納得させられました。

配下の5人の妖精たちも素晴らしかった。
ふつう、ひとりふたり、レベルの低い人が混ざっているものですが、
5人揃って出来が良いというのは、そうそうあるものではない。

年末年始の休み中、
手元の「眠り」映像をBGM代わりに流しては、
ついつい見入ってしまったものですが、
妖精全滅、というところもあったし。(笑)
ボリショイはさすがでしたが、生舞台効果のせいもあってか、
印象はこの日の方が良いくらい見応えありました。

5人の中では、
振付と音楽が地味な呑気の精を踊ったシーラさん、
この人、上手いかも、と配役表を眺めると、
3幕のシンデレラも踊るとある。
楽しみにしていたら、期待どおりでした。

鷹揚の精のモスカレンコさん、
優しさの精とゴールドのシェフチェンコさん、
シルバーのムロムツェワさんも、
長い手足と上半身を柔らかく優雅に使う踊りのスタイルは、
まさに好みのツボ。教科書どおりのぱきぱきした動きは、
静止画なら美しいかもしれないけれど、
動画としては流れが途絶えるうえ、
広がりもないから面白味に欠けるんですよね。

妖精にキフィアクさん、ダイヤモンドにゴリッツァさんと、
主役級がしれっと混ざるあたり、
マールイに通ずる贅沢というか反則感もありますが、(笑)
その最たるものがフィリピエワさんのフロリナ王女。
美しい動きとはこうあるべしという、まさにお手本。
円熟の総合美でした。

3幕ではもうひとり、
赤ずきん役のカルチェンコさんも印象に残りました。
スタイルの良い人ぞろいのソリストの中では、
小柄で手足もさほど長くないのですが、
動きの連続性、音楽性が際立っているのです。

まだまだ顔と名前の一致しないシェフチェンコですが、
こうして毎年のように来てくれるなら、
上手な人は自然と覚えてくることでしょう。

たぶん、いまマールイが来日しても、
われわれの観たい人たちは、あまり配役されないだろう、
もちろん世界的に名の通ったダンサーのパフォーマンスは
観たいけれど、それはそれ、これはこれ、
というのが会場でであったマールイ・ファンとの共通意見。
新しい版も評判悪いし。

光藍社の場合、チケット代金の安さも相変わらず魅力的です。
メジャー・バレエ団は、もともとの契約額が高いだろうし、
人気があれば興業側が強気の値付けをするのも商法の王道、
そこに文句を付けるつもりはありません。

けれど良いものを安く、
というのもまた買い手の自然な欲求であって、
素晴らしい生オケ付きの、ハイレベルな舞台を、
他の半額で観られるのならば、
配役違いで回数をこなしたいバレエ好きとしては、
その方がありがたいわけです。

今年もたくさん、素晴らしい舞台に出会えますように!
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