1710時ゆうぽうと発、
1745時上野のハコに到着。
喉をアルコールで消毒しながら、
開演が実質05分なことを勘案すると、
都さんたちも観られたなあ、とちょっと後悔していたら、
例の地震。
電車もしばらく止まっていたようなので、
結果として判断は正しく、賭けには勝ちましたが、
でも、ね。あまり嬉しくはない。
マチソワは結構やりますが、
ここまでリスキーかつもったいないのは、
やったことがありません。
下手したら、虻蜂取らずの可能性もあったのですからね。
今回は、土曜日に「インテンシオ」を観て、
夜はお気に入りのイタリアンでゆっくり食事、
日曜日は「バヤ」を堪能し、やはりお気に入りの店で和食を、
という絵を描いていたのですが、(笑)
エフセーエワさんの参戦で、状況がすっかり変わってしまいました。
ふと新しいパンフの配役をみれば、
彼女の初日の相手はコンダウーロワさんではないですか。
これはもう、取るしかない。
でもマチソワするには時間が...苦渋の決断でした。(苦笑)
それはさておき、15日の「バヤ」初日と比べると、
オケもダンサーも、これが同じバレエ団か!?
というほど良くなっていました。
今回の日本公演は韓国ツアーとセットになっていて、
15日は本当に直前になっての到着、
ダンサー、オケともに準備万端ではなかったようです。
...時差ぼけではなかったんだな。
ダンサーと奏者には、事情はわかったよ、お疲れさま。
...と言いたいところですが、そうなるとこんどは、
無理なスケジュールを承諾してしまったバレエ団と、
そんな予定を組んだ招聘元に文句をつけたい。
複数日ないし後半の舞台を観られた観客はいいでしょうが、
初日しか観られなかった観客が可哀想すぎる。
2日目は、主役以外の配役もだいぶ代わっていました。
大僧正のクラーエフさんは若手のようで、
ニキヤに言い寄っても「若気のいたり」が通用します。
作戦が失敗したときも、がびーん! とショックを受けてたし。(笑)
初日のポノマリョフさんはベテランなので、
若いスコーリクさん相手だと、セクハラ狒々親父。(苦笑)
苦行僧、マヌーは甲乙付けがたく、
ジャンペ、黄金像はこちらのキャストの方が良かった。
群舞もしゃきっとしてきたし。
ただ、精霊たちは...むにゃむにゃ。
ソロルはイワンチェンコさん。先日の白鳥王子です。
体格もいいし、戦士してました。
...得物に足を載せるのかと思ったら、
思い切り踏んづけていたのはなぜだろう。
コルスン・ソロルと違って、
完全にガムザに乗り換えてましたね。なんて野郎だ。
物語の解釈としてはそれもありですが、
やはりこの演目はニキヤ一途でいてくれないとなー。
コンダウーロワ・ニキヤは、踊りは正確で凄いのですが、
役の解釈が単調で、いろいろな意味で色気がない。
この日はガムザがステレオ・タイプではなかったから、
相応に対比が出ていたけれど、典型的な高慢ガムザだったら、
南国の物語なのに、やたら冷たい話になっていたことでしょう。
ベールの踊りは本当に難しいのですね。
さすがのコンダウーロワさんも苦戦していました。
ちょっと失敗していたかも。うまく誤魔化していましたが。
でも、それすら些細なことに思えてくる、
彼女のテクは大したもの。
これで演技力に磨きがかかれば、まさに鬼に金棒です。
さて、エフセーエワさんですが、微妙に体型が丸くなってました。
移籍前は、絞り過ぎて体壊すなよー、
と心配になるほど細くなっていましたからねえ。
また、期待していたほど、上達していませんでした。
彼女は、回転の時に顎が止まらず、
戻そうと無理な力を加えるのか、
そのせいで軸がぶれるという悪い癖があるのですが、
それがまた出てしまっていました。
動きも全般にシャープさに欠け、ちょっと残念。
彼女も暖気運転が終わっていないと思いたい。
2日目に期待です。
テクニックに関しては少々残念でしたが、
観たかった優しいガムザを演ってくれたので、
いいことにしよう。(笑)
初日のコンダウーロワ・ガムザがセレブな傲慢お嬢なら、
(4日目は、もっと怖くなるようですね...)
エフセーエワ・ガムザは根は優しいお嬢様。
婚礼を告げられた時は、彼女も、
ついにこの時が来たのね、と驚きはしませんでしたが、
続く肖像画を見上げる場面では、はにかむ姿が愛らしい。(笑)
立ち聞き場面では、聞いてびっくり、
アイヤにニキヤを呼びに行かせる時もあわてふためき、
待つ間もそわそわ。
肖像画に「私、どうしたらいいの?」と問いかける仕草も。
せっかくの婚礼を汚したくない、というのもあるのでしょうが、
できればニキヤを殺めたくない、なんとかしたい、
という思いが伝わってきます。
宝飾品を差し出す時も、他の人はくれてやる感一杯ですが、
どうかこれを受け取って、ソロルのことは諦めて、
と懇願するかのようでした。
1幕の終わりでは、一応「殺す」のポーズは取っていたものの、
迫力はなく、代わりに困惑が漂っていました。
2幕のニキヤが踊る場面でも、
他のガムザは平然と、冷然と座し、
ニキヤには勝ち誇ったような笑みを向けますが、
エフセーエワさんの場合は、ソロルを見たと思ったら、
父親にすがる仕草をしたりと、終始そわそわ、
ニキヤとは視線を合わせようともしません。
そしてニキヤが倒れた時のソロルの様子を見て、
自分は暗殺を知っていた、それを止めようともしなかった、
にもかかわらず、彼の心も得られなかった、
と言わんばかりの絶望と悲しみの表情は哀れをさそいます。
ガムザと「ジゼル」のバチルダは憎まれ役の双璧で、
彼女たちを可哀想に思うことはまずありませんが、
たまに「優しい令嬢」を演じるダンサーもいて、
そういう舞台を観ると、
物語に複雑さ、厚みがでるように感じます。
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