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2011年01月16日22:57

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【音楽】Tchaikovsky: Vn-Con Op.35@Mayuko Kamio, T.Sanderling/Halle O.

日本人演奏家シリーズの最後は、昨秋リリースされた神尾真由子のチャイVnコンとプロコVnコン#2のカップリングだ。このCDは国内向けの盤で2枚組となる。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3895997

Tchaikovsky: Violin Concerto, Op.35
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35

Prokofiev: Violin Concerto No.2, Op.63
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 作品63

Mayuko Kamio, violin 神尾真由子(ヴァイオリン)
Halle Orchestra ハレ管弦楽団
Thomas Sanderling, conductor トーマス・ザンデルリング(指揮)


神尾真由子は2007年の13回チャイコフスキー・コンクールで優勝したという華々しいキャリアの持ち主であり、そしてこの登竜門をあっさりと撃破したときのテーマは他でもないこのチャイVnコンだったわけだ。というわけで今更ながらのチャイだが。

もうなんというか、当たり前のように堂々と弾き倒しているのである。なんという余裕と風格、そして過剰なまでに歌うストラドと、どこをとっても完璧なヴィルトゥオーゾなのだ。ちょっと浅いけれども朗々としたヴィヴラート、嫌味にならない程度のアゴーギク、そしてアクロバティックな操弦技巧と疾駆するアチェレランドの繰り返しと、この曲ならではの美味しいところを全て知り尽くした上でのやりたい放題だ。

この演奏を先入観なしのブラインドで聴くと、古くはダヴィッド・オイストラフ、そして20世紀後半の金字塔で言えばアイザック・スターンやナタン・ミルシテインの壮年期の演奏を彷彿とさせるものがあって実にゴージャスかつ楽しめる円熟度合いと言える。典型的なこってり・どっぷりなチャイVnコンを聴くならこれは最適のチョイスと言えよう。ドライ&クールが流行の女流Vn界であるが、これは実に厚く、そして熱く滾る演奏だ。代償としては、聴き終えた後の脱力感も凄いものがあるが。

もう一つのプロコだが、チャイとは対照的に温度感は低くて冷静沈着な解釈だ。チャイとの温度差が余りに大きいのでちょっと引けて聞こえてしまうが、こちらも佳作でなかなか締まった良い演奏。但し、オケとの絡み具合には少々難点もあり、プロコ独特のデモーニッシュな旋律展開とバックの和声とのマッチングがちょっとずれる場面が散見される。クルト・ザンデルリングの息子、トーマスの指揮法が直進的過ぎることも影響しているかも知れない。協和音に関してはパワフルで美しいが、不協和音パートの鳴らし方に関しては神尾の少々荒くれたスケール進行を完全サポートするのは少々苦しそうだ。

このCDは日本国内向け専用盤で、リハ映像を収めたDVDが同梱される。尚、ユーロ盤はRCA 88697785592として並行して販売されているがDVDはバンドルされない。

(録音評)
RCA Red Seal(ソニーBMG)SICC1413、通常CD+DVD。録音は2010年6月30日〜7月2日、場所は英国マンチェスターのBBCスタジオ7とある。音質はセッション録音のものとしては優秀な方だ。ホールのステージ収録ではないが、オケの拡がり感と奥へ展開するパースペクティブはまずまず自然で美しいし、低音楽器のディテールも豊かに捉えていて、レンジ的にはフラット・バランスに少々のピラミッド感を付加した味付けで聴きやすい。他方、神尾のストラドの捉え方が平面的でちょっと惜しい感じの出来映えだ。音自体は綺麗だが、Vnだけがモノラル収録的であって立体感に乏しい。それゆえオケとソロVnが遊離した感じが拭えず、Vnだけがセンター前面へ張り出す聞こえ方となっている。


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