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2010年10月02日13:41

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【音楽】Chopin:Rondo in C min. Op.1 Etc@Nikolai Demidenko

NIFCレーベルの春の新譜から、ショパンのロンドやタランテラ、モーツァルトの「お手をどうぞ」の主題による変奏曲など、ちょっとマイナーなコレクションだ。このシリーズは以前にも取り上げた http://musicarena.exblog.jp/12910004/ が、NIFC、つまりNarodowy Instytut Fryderyka Chopinaの略、英語表記だとThe Fryderyk Chopin Instituteの自主制作レーベルである。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3795733

ショパン:
子守歌変ニ長調Op.57
夜想曲第7番嬰ハ短調Op.27-1
タランテラ変イ長調Op.43
ボレロ ハ長調Op.19
ロンド ハ短調Op.1
ロンド変ホ長調Op.16
演奏会用アレグロ イ長調Op.46
ポロネーズ第8番ニ短調Op.71-1
モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲変ロ長調Op.2

 ニコライ・デミジェンコ(フォルテピアノ/プレイエル1848)

このシリーズには白いジャケットのモダンピアノのシリーズ、そして黒のアンシェント・ピアノのシリーズがあって、これは後者に属する。ピアニストはニコライ・デミジェンコというロシア系ピアニストで1978年チャイコフスキー国際コンクールで入賞している。

ベルセウスが冒頭トラックに入っているのはかなり変わった構成だ。普通は最後から2〜3番目だったり、真ん中あたりの箸休め的な位置だったりするが、これは冒頭。のっけからプレイエルの超美音にやられてしまう。

普段、演奏会用正規プログラムにはあまり登場しなくて、精々がアンコールで軽く流す程度の曲が多く並ぶ。しかし、このデミジェンコという人は手抜きが無くて厚く、そして熱くショパンを弾く人だ。タランテラ、ロンド、ボレロと続く、やるせなく、そして儚くも美しいショパンならではの旋律が連発する辺りがこのアルバムの真骨頂である。モーツァルトのドン・ジョヴァンニ/「お手をどうぞ」の変奏曲は珍しい曲だが、浮き浮きと楽しげに弾いているデミジェンコの姿が浮かぶような好演だ。

この人のピアノは乗りの良い独特のリズム感、極短時間のパウゼを断続的に挟みつつ疾駆するアーティキュレーションに特徴があるようで、今風のヴィルトゥオーゾが聴かせる剛健で絢爛なテクニック中心の曲想とは少々路線が異なる。ある意味渋いのであるが、しかし技巧的にはほぼ100点満点の領域に達しており、非常に速いパッセージ廻しは超一流で、ショパンやリストあたりを弾かせる上ではかなりのアドバンテージを持っている。

この演奏のもう一つの特徴は、プレイエルやエラールといったヴィンテージ楽器、それもサイズ的にフォルテピアノに属する楽器らしからぬパワーとダイナミックレンジを獲得していることで、音色がファツィオリ、もしくはカワイ的なブリリアンスを湛えながらも芯を突くアタック感やハイスピードなアクション機構の動作は現代ピアノに劣後しないのだ。それは、この楽器の状態や調律が良いこともあろうが、デミジェンコのテクニックによるところが大きいと思われる。スタインウェイによるソリッドで冷徹なショパンではないが、復古調のカビくさいベタベタなショパンでもなく、これはこれで特異な方向性を見せるショパンなのだ。

(録音評)
NIFCレーベル、NIFCCD014、通常CD。録音は2008年12月15日〜17日、場所はワルシャワ、ヴィトルト・ルトスワフスキ・ポーランド放送コンサート・スタジオとある。ライブらしいが会場ノイズはほぼ皆無。こんなに頑強で鮮明な音を出すヴィンテージのプレイエル・フォルテピアノは初めてだ。求道的で疾駆感の強い演奏は素晴らしいが、これを中庸位置から克明に捕らえた録音も素晴らしく、フォルテピアノに対する認識を改めさせられた一枚。


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