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2010年03月06日12:48

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【音楽】cantare - la voix de la harpe@Isabelle Moretti, Felicity Lott

頭脳を酷使する仕事に忙殺されることを余儀なくされる生活を送るなか、なんとも癒されて心穏やかにしてくれる一枚。昨年末にリリースされたnaiveの新譜からモレッティの独奏ハープ、それにフェリシティ・ロットを加えて歌曲を織り交ぜた香り高い作品集だ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3676149

・ニコラ=シャルル・ボクサ:ロッシーニ『セビリャの理髪師』の「黙って、黙って」に基づくロンドー
・グリンカ(バラキレフ編曲):ひばり
・アルベルト・ツァーベル:グノー『ファウスト』より幻想曲op.12
・ポール・ベルナール:鳥がどこかに行ってしまうから*
・ジャン・ルノワール:愛について*
・ドビュッシー:眠れる森の美女*
・プーランク:ギターに寄せる*
・マルティーニ:愛の喜び*
・ブリテン:民謡「夏の最後のばら」*
・ブリテン:民謡「父の家にいたとき」*
・オキャロラン:エレアノール・プランケット
・エリアス・パリッシュ=アルヴァース:ベッリーニ『ノルマ』による序奏と変奏
・リスト:うぐいす(アラビエフの歌曲に基づく)
・フェリックス・ゴドブロワ:ヴェニスの謝肉祭
・ハロルド・アーレン:虹の彼方に(オズの魔法使い)*

 フェリシティ・ロット(ソプラノ)*
 イザベル・モレッティ(ハープ/カマック・ハープ使用)

モレッティと言えば超絶技巧のハーピストで、手許にある録音ではハープ版アランフェス http://musicarena.exblog.jp/10584657 が記憶に残る。ハープはもちろん撥弦楽器ではあるが、この人が紡ぎ出す音は複雑な曲面を描く多面で構成された、いわば擦弦楽器またはオルガンのような連続和音を出せる鍵盤楽器のような複雑なテクスチャを示すのだ。白眉はグリンカの「ひばり」、リストの「うぐいす」あたりで、これはもう実際に聴いてみるしか真価を知る方法がない名演だ。ハープが出す音の多様性に驚くばかりではなく懐が深い歌心というか音楽性というか、とにかく解釈と演奏の完成度という点においては尊敬に値する人物である。

フェリシティ・ロットのソプラノはどこにも刺激のない、それでいて抜群の透過性をもった美しい声質だ。歌曲はどれもが素晴らしい出来映えで、ドビュッシー「眠れる森の美女」、プーランク「ギターに寄せる」、マルティーニ「愛の喜び」あたりが圧巻だ。そしてブリテン編曲の民謡を二つ挟んで再度独奏へと移り、最後にオズの魔法使いの「虹の彼方に」がゆったり静かに歌い上げられてこのアルバムは幕を閉じる。

(録音評)
naive V5186、通常CD。録音は2009年2月、場所はTemple Manin,Paris(France)とある。聴く限りではかなり広い空間で録られており、ロットの歌声は上半身と顔の揺らぎと共に四方八方にビームを散乱させる。ハープの定位は明確であるが、これまた豊かなビームをサウンドステージいっぱい、特に奥へ奥へと放散している。音質は最近のnaiveを代表する地味なもので、輪郭がソフトフォーカスで一切の強調がないにも拘わらず超高解像度であるという二律背反をいとも簡単に実現している驚異的なもの。ロットが立って歌っている場所が目に見えるほどのリアルさは凄い。

レコーディング・システムはZaxcom Deva16携帯型ハードディスクレコーダー、マイクはDPA4041無指向性+DPA4015双指向性、編集システムはPyramixという今日的な構成だ。Pyramixになってからのnaiveの音質は更に癖のない自然なものへと変貌を遂げた。


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