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2010年01月19日19:47

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【バレエ】新芸術監督による演目説明会(その2)

*(ぱろ注)
次の質問に入る前に、
新シーズンのトップ・バッターとなる「ペンギン・カフェ」のダイジェスト映像が、
用意されていた大型モニターに映し出されました。

この作品は、音楽大好き人間のビントレーさん(だそうです)が、
ペンギン・カフェ・オーケストラの音楽に振付たもので、
1988年、ロイヤルで初演されました。着ぐるみバレエと耳にしていたので、
「ぴーらび」(ああ! Kでまたやってくれないかなぁ!)みたいなものを
想像していたのですが、衣裳ははるかに踊りやすそうです。(^^)

映像に続き、ビントレーさんの解説です。


この作品では消えていこうとする動物たちを描いていますが、
登場する動物は、当時絶滅危惧種に指定されていました。
その後幸いにして指定を解除されたものもいます。

私は動物に国を結びつけてダンスに変化を持たせましたが、
これは当時、文化の固有性もまた失われようとしており、
文化の違いというものは大切なんだということを、
観客に伝えたかったからでした。
ただし、シリアスなメッセージを大上段に説くのではなく、
楽しみながら知ってほしいと思いました。


ここでまた別の映像。こんどは初演時の「アラジン」です。
なにか思うところがあるのか、画面に見入るビントレーさん。


次回は改訂版とおっしゃってましたね?


改訂と言っても技術的なものなので、
ご覧になった方がすぐに「ここが違う」とわかるような直しではありません。
いずれにしても、次のシーズンは、ダンサーたちにとって
チャレンジングなプログラムになることでしょう。


コンテンポラリーのラインナップについて、お話をうかがえますか?


新国は2010〜11シーズンに4本のコンテンポラリー・ダンスを予定しています。
http://www.nntt.jac.go.jp/cgi-bin/cms/kouen_list03.cgi#season2
ただしビントレーさんは制作には関わっていません。


英国やヨーロッパでは、コンテンポラリーとバレエは親しい関係にあります。
コンテンポラリーのコリオグラファーがバレエ団に作品を提供することもあります。
日本のコンテ作品については詳しくありませんが、
DVDを観たり、監督から話を聞いて選びました。

また私が最も興味があるのが「DANCE to the Future 2011」です。
まだ詳細は決まっていません が、
これには新国のバレエ・ダンサーたちが参加する予定なので、
彼らがどのように踊るか注目しています。


ビントレーさんはバーミンガムの芸監も兼任されますね。
いろいろとご苦労もあると思うのですが。


子供の頃はバスで時間を過ごしましたが、これからは飛行機です。
マイレージがたまるのが楽しみで、映画もたくさん観られそうです。


ここで司会者からの質問はおしまい。つづいて今回の参加者からの質問です。


古典の上演は今後どうなるのでしょう。
特に日本ではドル箱公演であるチャイコフスキーの「3大」を、
あえて外したのはなぜですか。


まず「くるみ」ですが、新国では「くるみ」と「シンデレラ」を
毎年交互に演っています。「くるみ」はこの暮れに演りましたから、
次は「シンデレラ」というわけです。
「白鳥」は今やってるので、来シーズンやるのは意味がないと思います。


需要がある限り、まずそれに応えるというのが商売の基本だと思うのですが。
もし黒字になるのが確実なら、「白鳥」「くるみ」もラインナップに加え、
公演数を増やすべきではないでしょうか。
それとも、「白鳥」「くるみ」ですら、ここは席を埋められないとか?


そして「眠り」ですが、
これはまだ確定ではありませんが、新制作を検討しています。
ただし現実化しても時間がかかるので、その次のシーズンとなります。


新国は、世界の一流バレエ団と比べると、その実力は?
今後、日本発のバレエ団が世界に通用するようになる時はあるのでしょうか?


日本の場合、その最も優れているダンサーが
海外へ出てしまうのが一番の問題で、
これはなんとか変えたいと思っています。

バレエ団にはアイデンティティが必要です。
NYCBならバランシンやロビンスの作品、
ロイヤルならアシュトンやマクミラン作品というように、
そのバレエ団ならではのもの、スタイルが必要です。

そして、それは新しい作品を通して創り上げていくものです。
ですから古典ばかり演っていたのでは、築き上げることはできません。
いずれにせよ、このバレエ団しか持っていない、
というものを創り上げていくべきなのです。


それは日本固有の作品でなければならないのですか?


そういう意味ではありません。
私が何か創ったとしても、それが日本の物語というわけではありません。

「白鳥の湖」はマリインスキーのために創られたものです。
だからマリインスキーは上手く踊れるのです。


蘇演の話ですね、と突っ込みを入れたりして。(^m^)


でも、アラジンは彼らのために振付たものですから、
彼らの方が上手く踊れます。


配役はなにを基準に決めているのでしょう?


新シーズン、贔屓の人が配役されていなかったのかな。(^m^)


才能に尽きます。
たとえば小野さん、彼女はまだ若いですが、
アラジンで初の大役を務めた時、その成長には目を見張るものがありました。
小野さんを例に挙げましたが、すべてのダンサーが才能を持っています。
それを探し出すのが私の仕事です。バーミンガムでは15年間、
この役、あのダンサーならどうだろう? と考えてきました。


再び司会者からの質問です。


今年5月、ビントレーさんの「カルミナ・ブラーナ」が再演されますが、
見どころを教えてください。

*モニターに映像が流されます。


これはカール・オルフが作曲した「世俗カンタータ」に振付たもので、
とても変わったバレエです。
文字通りセックスやドラッグに堕落していく僧の話ですが、
私とデザイナーは15世紀から20世紀のポップカルチャーに話を移して
表現してみたかったのです。


では、最後にひとこと。


本日ここに集まってくださったのは、
バレエ・ファンの中のコアな人たちだと思いますが、
このプログラムで皆さんに興奮をもたらしたいと思っています。
そして皆さんが、新しい観客を呼んでください。

またいつの日か、イベントやリハーサルを通じ、
ダンサーと皆さんが直接つながりを持てる場を設けたいと考えています。
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